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デルトナ村

助っ人

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「痛えなぁ、一体誰だ!
俺が誰だかわかってやってんだろうな!
泣く子も黙る王国兵士第2部隊、ダグラ・イドリック様とは俺の事だ!
今更泣いて謝っても許さねえからなぁ」

ダグラ・イドリック
     攻撃力B
     防御力C-
      魔力E
     敏捷力B+
       運C
専用スキル『擬態《ミミクリー》』
兵士スキル『剣術《けんじゅつ》』
兵士スキル『騎術《きじゅつ》』
兵士スキル『気配察知《けはいさっち》』

「全く、王国から勇者が脱走したって噂を聞いて来てみたら、こんな事になってるなんて…。貴方、今までどうやって逃げてきたの?それじゃあ、この世界で生きていけないわよ。それと貴方!
別に貴方に許して貰う必要なんてないわ。
だって…貴方はここで死ぬんだもの。」

「生意気な口聞きやがる女だぜ。
…お前も良い体つきしてんなあ。
よし決めた。今日は豪華に2人まとめてと行こうや。みんなで楽しく遊ぼうぜえ!」

ダグラの体が変化する。
獅子の頭に両腕からは凶悪な爪が、尻尾が生え蛇の形になり、背中からは羽が生える。
様々なモンスターが混ざったキメラの様な姿に変貌した。

「俺のスキル『擬態』は俺が接触した生物の見た目と性能をコピーする。それは死体でも可能だ。お前は運がないぜ。俺はここに来る前にドラゴンに触れた。俺に勝てる相手じゃねえが死体に触れるだけでこの能力は使えるからな。お前にドラゴンが倒せるかなぁ!」

「貴方さっきから五月蝿いわよ。
その下品な口閉じた方が良さそうね。」

女性が持っていた杖をダグラに向ける。
その瞬間、ダグラの体が凍っていった。

「これは…氷の魔法。
テメエ、魔術師か⁉︎」

「そうだとしたら?」

「なに、少し張り合いが出てくるだけさ。
氷って事はテメエの属性は水と風ってところか。魔術師は一流でも3~4つの属性魔術を覚えるのが限界。複合魔法を使える点は評価してやるが、その程度で勝てると思うなよ!」

「あら、そう。だったらこれは?」

今度は地面から木が生えてきて、ダグラを拘束する。

「これもオマケ。」

拘束していた木がダグラを巻き込みながら業火に包まれていく。

「待て…やめろ…うわぁぁあ!!」

「女性を軽んじた罪を受けなさい。
さてと、貴方とゆっくり話したいところだったんだけど…邪魔が入ったみたいね。」

「…まさか彼女がこんな所にいるとはな」

「副団長!突撃の許可を」

「いや、今日は引き上げよう。
この戦力では些か分が悪い。」

「なぜです!相手は女性2人ではありませんか!それに安藤桜は戦力外と見て間違いありません。彼女が何者だと言うですか⁉︎」

「彼女の名はビビアン・グレモアナ。
混沌魔導師《カオス・ルーラー》と言えば聞き覚えがあるか?」

「なっ!かつて王国に単身乗り込んできてたった一人で騎士団と渡り合ったというあの魔術師が…噂話と思っていましたが、実在したのですね。」

「ああ、戦いがあった時はまだ下っ端だったから参戦してないが…
噂によると彼女は全属性の魔術を使いこなすらしい。
どちらにしても、俺一人でどうにかなる相手ではない。ここは引くぞ。」

「あら、今の隊長さんは随分と慎重なのね。」

「貴方みたいな相手とやり合うには準備が必要なんですよ。なんせも持ってきていないもので」

「それじゃあ勝負にならないわね。
いいわ。見逃してあげるからどっか行きなさい。」

「感謝する。」

グレイソン率いる王国兵士たちが引き上げて行った。

「あの…助けて下さり、ありがとうございます。」

「いいのよ。それよりも場所を変えましょう。ここにいったらまたあいつらが来るわよ。しかも次は魔導具を持って。
流石にそんな連中を何人も相手にする程暇じゃないからさっさと準備して」

「えっ…あっ…はい」

言われた通りにとりあえず荷物を集めるが一体どこに向かえばいいのだろうか?

「あの…一体どこに…」

「そこに立ってたらいいわよ。
あとこの店の店主さん?
あの兵士たちからなんか嫌がらせされたらこれを地面に投げなさい。直ぐに飛んできてあげるから。あと娘さん?だっけ。家で元気にしてるわよ。あれハッタリだから気になるなら魔導具使って通信の一つでも入れてみなさい。じゃあね。」

ビビアンが杖を地面にコンッと叩くと魔法陣が浮かび上がり光が2人を包み込んだ。
光が消えた頃には2人の姿もその場から無くなっていた。

「一体なんだったんだ?
…ってそれどころじゃねえ。
アニーは無事なんだろうな!」

店主は慌てて娘の安全を確かめる為に通信する。今が真夜中だという事も忘れて。
娘のアニーにはなんの様になく連絡するなと怒られてしまったが、店主…いや、ロドルフ・ヘルムの目には涙が溢れていた。
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