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ドニー村
王国騎士団長
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民家へ突入したセルジールは中を探していた。
いない…そんな馬鹿な事があるか。
事前に確認もした。誰かが必ずこの家の中にいたんだ。そしてその正体はおそらく音宮奏と安藤桜だ。一体どこに隠れ…まさか!!
セルジールは複合スキル『空間認識』を発動する。
範囲を徐々に広げていき、一番近くにいる人間を見つける事に全神経を注ぐ。
何処だ…何処に逃げた。…見つけた!転々と移動を繰り返しているな。そこまでの距離を飛べるわけではないが、その分インターバルは短い様だ。間に合うか…
セルジールは白馬に乗り、2人の魔力を感知した方向へと走り出す。
彼らの居場所を捉えるには、常に『空間認識』を使い続ける必要がある。急がねば。
このスキルはそこそこ魔力を消費する。見つけた時に戦えないでは本末転倒だ。
「急ぐぞ、シャルル。頼めるか?」
愛馬であるシャルルがヒヒーンと鳴き声をあげると同時に、駆けるスピードが上がった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
2人は平地の崖の上へと来ていた。
スキルが視認できる範囲という条件なので最大活用するために、高所に向かう事が多いのだ。
「ハーベスティアが向こうだから…あの山を越えなきゃいけないね。
うーん。此処からだと微妙にしか見えないけど…村が近くにありそうかな?」
「流石に山越えは準備してから行きたいからね。地図上にも村は載ってるし、大丈夫じゃないかな。村の名前はデルトナか。じゃあ、次はそこに行こう。」
ドルトナ目指して出発しようとしたその時、音宮は遠くから何か音が聞こえた。
なんだ…何かが近づいて来ている気が…
「音宮くん!ドニー村の方角から馬に乗った人が猛スピードで近づいて来てる!
たぶん、騎士団長って言ってた人だと思う。」
まさか、もう追って来るとは…だが一人か。
逆に今がチャンスかもしれない。
此処で騎士団長をやっておけば、王国も下手に追手を寄越しては来ないだろう。
「安藤さん、手だけはずっと繋いでて。
いつでも逃げれる様に。ちょっとだけ戦う必要があるかも。」
崖下へとセルジールが辿り着く。
「音宮奏だな。騎士団長のセルジール・スクライドだ。大人しく投降すれば危害は加えない。抵抗するというのであればそれなりに怪我は覚悟して貰う。」
「騎士団って奴はみんな自信に溢れた人ばかりなのか?今朝同じ様なセリフを言ってかかってきた奴がいたが、そいつは無様に負けてしまったが…お前は同じ結果にならないと良いな。」
「フェルトも本来であれば貴様に負ける事はなかったのだ。貴様の能力さえわかっていれば…」
「驚いた!騎士団長ともあろう者がまさかたらればの話をするか…予想以上に無能なんだな。たらればなんてのは意味のない妄想だろう。結果を受け入れられない弱者の逃げ道だ。上に立つものは常に結果だけに目を向けなければいけない。…お前の器の底が知れるよ。」
「貴様はどうやら、人の神経を逆撫でするのが上手いと見える。いいだろう。乗ってやる。だがその前に一つ聞かせろ。ドニー村の住人が一人もいなかったが、これをやったのはお前たちか?」
「違うといえば信じるのか?
それを調べるのがお前の仕事だろうが。
人に答えを求めるなよ。みっともない。」
「それもそうだな…貴様を捕らえてゆっくり調べる事にしようか。」
2人の戦いが今始まった。
「地の利を理解しているか?
上を陣取るっていうのは思っているよりも重要なんだぞ。」
近くにあった大岩を手当たり次第セルジールの頭上に転移させていく。
数は10個と言ったところか…
「知っているとも…だが、それはあくまで同じくらいの戦力ならの話だろう。
貴様は知っているか?スキルを持つもの同士の戦い方というものを!」
セルジールの剣の光が集まる。
剣を横凪に振り抜くと、光の斬撃が飛び頭上に大岩を全て粉々に砕いた。
「スキルを持つ者同士の戦いで必要なのは相手のスキルを如何に早く看破するかの洞察力だ。スキルさえわかって仕舞えば対策はいくらでも出来るからな。貴様は洞察力があるため、一見厄介な相手に思えるが決定的に足りない部分がある。対応力だ。
お前たちが私から逃げ切る事が出来ていない時点で確信した。…魔力をコントロール出来ていないな?まあ、なにも知らないのだろうから無理もない。魔力を使いこなせなければ、如何に相手のスキルを見破ろうとも、対応出来る力がない。今の貴様は正にそれだろう。」
瞬きをした瞬間、セルジールの姿が消えた。
ーーーまずい!
音宮は瞬時に転移を発動し、遠く離れた場所へと移動した。
「ほう…よく私が背後にいるとわかったな。
…だが!」
またしてもセルジールの姿が消える。
まだインターバルの3秒経っていない。
くそ!
振り返り一か八か防御を試みるがそこにセルジールの姿はなかった。
「背後に回るだけが戦術ではない」
ーーー前か!
腹部に衝撃が走る。
咄嗟に安藤の手は離したので彼女に被害はないが、セルジールに捕まってしまった。
ーークソ!ダメだ。
フェルト戦での傷が痛む。
しかも安藤は奴に捕まってしまっている。
状況は最悪だった。
いない…そんな馬鹿な事があるか。
事前に確認もした。誰かが必ずこの家の中にいたんだ。そしてその正体はおそらく音宮奏と安藤桜だ。一体どこに隠れ…まさか!!
セルジールは複合スキル『空間認識』を発動する。
範囲を徐々に広げていき、一番近くにいる人間を見つける事に全神経を注ぐ。
何処だ…何処に逃げた。…見つけた!転々と移動を繰り返しているな。そこまでの距離を飛べるわけではないが、その分インターバルは短い様だ。間に合うか…
セルジールは白馬に乗り、2人の魔力を感知した方向へと走り出す。
彼らの居場所を捉えるには、常に『空間認識』を使い続ける必要がある。急がねば。
このスキルはそこそこ魔力を消費する。見つけた時に戦えないでは本末転倒だ。
「急ぐぞ、シャルル。頼めるか?」
愛馬であるシャルルがヒヒーンと鳴き声をあげると同時に、駆けるスピードが上がった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
2人は平地の崖の上へと来ていた。
スキルが視認できる範囲という条件なので最大活用するために、高所に向かう事が多いのだ。
「ハーベスティアが向こうだから…あの山を越えなきゃいけないね。
うーん。此処からだと微妙にしか見えないけど…村が近くにありそうかな?」
「流石に山越えは準備してから行きたいからね。地図上にも村は載ってるし、大丈夫じゃないかな。村の名前はデルトナか。じゃあ、次はそこに行こう。」
ドルトナ目指して出発しようとしたその時、音宮は遠くから何か音が聞こえた。
なんだ…何かが近づいて来ている気が…
「音宮くん!ドニー村の方角から馬に乗った人が猛スピードで近づいて来てる!
たぶん、騎士団長って言ってた人だと思う。」
まさか、もう追って来るとは…だが一人か。
逆に今がチャンスかもしれない。
此処で騎士団長をやっておけば、王国も下手に追手を寄越しては来ないだろう。
「安藤さん、手だけはずっと繋いでて。
いつでも逃げれる様に。ちょっとだけ戦う必要があるかも。」
崖下へとセルジールが辿り着く。
「音宮奏だな。騎士団長のセルジール・スクライドだ。大人しく投降すれば危害は加えない。抵抗するというのであればそれなりに怪我は覚悟して貰う。」
「騎士団って奴はみんな自信に溢れた人ばかりなのか?今朝同じ様なセリフを言ってかかってきた奴がいたが、そいつは無様に負けてしまったが…お前は同じ結果にならないと良いな。」
「フェルトも本来であれば貴様に負ける事はなかったのだ。貴様の能力さえわかっていれば…」
「驚いた!騎士団長ともあろう者がまさかたらればの話をするか…予想以上に無能なんだな。たらればなんてのは意味のない妄想だろう。結果を受け入れられない弱者の逃げ道だ。上に立つものは常に結果だけに目を向けなければいけない。…お前の器の底が知れるよ。」
「貴様はどうやら、人の神経を逆撫でするのが上手いと見える。いいだろう。乗ってやる。だがその前に一つ聞かせろ。ドニー村の住人が一人もいなかったが、これをやったのはお前たちか?」
「違うといえば信じるのか?
それを調べるのがお前の仕事だろうが。
人に答えを求めるなよ。みっともない。」
「それもそうだな…貴様を捕らえてゆっくり調べる事にしようか。」
2人の戦いが今始まった。
「地の利を理解しているか?
上を陣取るっていうのは思っているよりも重要なんだぞ。」
近くにあった大岩を手当たり次第セルジールの頭上に転移させていく。
数は10個と言ったところか…
「知っているとも…だが、それはあくまで同じくらいの戦力ならの話だろう。
貴様は知っているか?スキルを持つもの同士の戦い方というものを!」
セルジールの剣の光が集まる。
剣を横凪に振り抜くと、光の斬撃が飛び頭上に大岩を全て粉々に砕いた。
「スキルを持つ者同士の戦いで必要なのは相手のスキルを如何に早く看破するかの洞察力だ。スキルさえわかって仕舞えば対策はいくらでも出来るからな。貴様は洞察力があるため、一見厄介な相手に思えるが決定的に足りない部分がある。対応力だ。
お前たちが私から逃げ切る事が出来ていない時点で確信した。…魔力をコントロール出来ていないな?まあ、なにも知らないのだろうから無理もない。魔力を使いこなせなければ、如何に相手のスキルを見破ろうとも、対応出来る力がない。今の貴様は正にそれだろう。」
瞬きをした瞬間、セルジールの姿が消えた。
ーーーまずい!
音宮は瞬時に転移を発動し、遠く離れた場所へと移動した。
「ほう…よく私が背後にいるとわかったな。
…だが!」
またしてもセルジールの姿が消える。
まだインターバルの3秒経っていない。
くそ!
振り返り一か八か防御を試みるがそこにセルジールの姿はなかった。
「背後に回るだけが戦術ではない」
ーーー前か!
腹部に衝撃が走る。
咄嗟に安藤の手は離したので彼女に被害はないが、セルジールに捕まってしまった。
ーークソ!ダメだ。
フェルト戦での傷が痛む。
しかも安藤は奴に捕まってしまっている。
状況は最悪だった。
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