異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

第一章 始まり

王宮では

王宮から逃げ出した音宮は、一般人になりきり、道具屋で地図の購入を終えていた。

これからどこへ向かおうかな…

◇◇◇◇◇◇◇◇

一方、音宮がいなくなった王宮内では捜索が始まっていた。

「音宮君がいなくなるなんて…真面目で良い人だったのに…なにかあったのかな？」

フワフワとした雰囲気に、栗色のショートヘアーをした身長の低い女生徒・浅風晴香《あさかぜはるか》。

「こっちに転移して来た時はまだいた筈なんだけどな。誰か！彼の行方を知っている人はいないか？」

成績優秀・容姿端麗、金髪の髪を靡かせるクラス委員長の天野光輝《あまのこうき》がクラスメイトに呼びかけるが顔を見合わせるばかりで、返事するものは現れない。

「びびってどっか言っちまったんじゃねえのか？普段は、なんでも出来ますよみたいな感じでお高く止まってやがったけど、実際は超ビビりだったりしてな～」

ゲラゲラと下品に笑う4人組の男子生徒

赤髪短髪で筋骨隆々。クラス一の問題児で喧嘩ばかりしていると噂の不良であり、反社会的勢力とも繋がりがあると言われている男子生徒・鬼頭龍一《おにがしらりゅういち》

金色の長髪でホストの様な風貌をしているイケメンで校内にはファンクラブもある。
しかし、同時に一度抱いた女には興味をなくし、相手をしなくなると言った噂もある男・聖星矢《ひじりせいや》

刈り上げた黒髪に鋭い目付き。バスケ部の部長でありながら、喫煙や飲酒などで、度々停学になっているが運動神経抜群でスポーツ推薦で入学して来た生徒・松崎陣《まつざきじん》

坊主頭で特に取り柄はないが、他の3人の機嫌を上手く取り、普段からお溢れを狙ったり、虚勢を張って脅したりしている最も性根の腐っている生徒・猿山太一《さるやまたいち》

「奏はそんな奴じゃねえよ！
ろくに話した事もねえ癖に適当な事言ってんじゃねえ！」

黒髪ショート、野球部キャプテンで、人一倍努力する姿で部員のみならず、クラスメイトからも信頼されている生徒・多田哲也《ただてつや》。

音宮と多田は別に深い仲という訳ではない。
あまり自分から人に話しかけに行かない音宮の姿を見て、多田がよく話しかけに行く。
音宮は基本的に来るもの拒まずと言った感じなので、積極的に来る人物とは自然と一緒にいる回数が増えてくる。
しかし、音宮は多田の事を友達だとは思っていない。
一般的にはいい奴なんだろうなと思いながら一緒に行動していた。
特に好きでも嫌いでもないといった感じだ。
そんな音宮のことを多田は親友だと思っている。

奏…一体どこに行っちまったんだよ…

王宮内は混乱に陥っていたが、音宮がそのことを知るのはまだ先の話だ。