上 下
19 / 41

じゅーきゅう

しおりを挟む


 連れて行かれたのは昔執務室として使われていた部屋で、今は仮眠室となっている所だ。
「ユリス?」
「…お前、王妃様のこと抱いたんだろ」
「え?」
「マリアが言っていた」
 ーーそんな感じの嘘をついた気もするけど。まさかそれ、ユリスに話してたのか…?
「…抱けない。俺、抱かれるしか出来ないし」
「王妃様と恋愛結婚しただろ」
「それは、表だけ。幼馴染だから、キャロルは、俺がユリスを好きっていうの、知ってる」
「……まさか……だからか!?俺がお前を連れて行く時、簡単に了承出されたのは!!」
「…そう、なのかな?」
「……んだよ、それー……」
「…ユリス?」
「……からかわれてるのかと思った、お前が告白してきたとき」
「え?」
「お前が即位して、結婚して、すぐに言ってきたから、からかわれてるのかと思って」
「そんな、からかったりしない!」
「…意地張ってマリアと結婚するって言ったときお前、おめでとうって言ったし」
「結婚するななんて言えないだろ!」
「……お前、うちの料理人とヤってるし」
「それはっ!」
「んだよ」
「…ユリスが、虐めるから」
「は?お前がドMなんだろ!」
「でも偶には優しくされたいし」
「……言えよ!!!」
「えっ」
「他の奴にヤられるくらいならいくらでも俺が優しく抱いてやるに決まってるだろ!!」
「…うそ、だって、そんなの」
「好きな奴が他の男に抱かれてるの見て、どんな気分になったと思ってんだよ!!」
「す、好きな奴?」
 誰のこと?なんて、そこまで鈍感にはなれない。
「…もう分かってんだろ。お前が好きなこと」
 そう言ってキスされる。優しくて温かくて、涙が溢れそうな甘い、口付け。
「…言えよ、お前も」
「……でも」
 俺にはキャロルがいて、ユリスにはマリアがいて。
「まだ言うか、この!」
「わっ!?」
 ベッドの上にゆっくりと倒される。
「ん、っ…」
「…愛してる、リゼ。…愛してる」
「あ、愛してるって!!」
「なに、お前は愛してないの?俺のこと」
「…そこまでは考えたことなかった…」
「なら考えられるようにしてやるよ」
 そう言ってユリスは、リゼの服のボタンを外していった。

「なんだ、準備して来たのかよ」
「ひぅ…っ」
 丸裸にされた上に、それを見て楽しむユリス。
「…可愛いな。凄い、ふくらんでる」
 そう言ってユリスは胸の突起を指の上で転がし、ペロリと舐める。
「あ、だめっ、それ…!」
「…胸、すごい感じてる。凄いよここも」
 股の間のモノを掴まれ、また甘い嬌声を上げる。
「こんなに感じやすくなってたなんて知らなかった。…かわいい、リゼ…」
「それ、やだってぇ…」
 目に涙を浮かべても、ユリスは相変わらず言葉にすることをやめない。早く疼いている後ろを触ってほしい。
「ね、もう、いいから」
「…駄目。俺じゃないとイケない身体にする」
「怖いこと言うなっ…!」
「後継人なんて知らない、国の行く末なんて、どうでもいい。お前に女なんて抱かせない。他の男のところにも、行かせない」
「お前…。俺をどうしたいんだよ…」
「…決まってる。俺だけでしか勃たない身体にしたい」
 ドロドロの熱が篭った瞳にキュンとしてしまう。我ながら本当、この男に溺れ過ぎた。
「…もうとっくに、そうなってる」
「……まだ足りない」
「早く、ユリスの、欲しい。いつもみたいにグチャグチャにして?」
 この時の俺は忘れていた。
 ユリスは一度言い出したことは最後までやり切る男だということ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

葵君は調教されて………

さくらさく
BL
昔書いた小説を掲載させていただきます。 葵君という少年が田中という男に調教されてしまうお話です。 ハードなエッちぃ内容になります。 ところによって胸糞要素有。 お読みになるときは上記のことを了承していただくようお願いします。

兄たちが弟を可愛がりすぎです~こんなに大きくなりました~

クロユキ
BL
ベルスタ王国に第五王子として転生した坂田春人は第五ウィル王子として城での生活をしていた。 いつものようにメイドのマリアに足のマッサージをして貰い、いつものように寝たはずなのに……目が覚めたら大きく成っていた。 本編の兄たちのお話しが違いますが、短編集として読んで下さい。 誤字に脱字が多い作品ですが、読んで貰えたら嬉しいです。

兄が媚薬を飲まされた弟に狙われる話

ْ
BL
弟×兄

悪役令息に転生したら、王太子に即ハメされまして……

ラフレシア
BL
 王太子に即ハメされまして……

小さい頃、近所のお兄さんに赤ちゃんみたいに甘えた事がきっかけで性癖が歪んでしまって困ってる

海野
BL
小さい頃、妹の誕生で赤ちゃん返りをした事のある雄介少年。少年も大人になり青年になった。しかし一般男性の性の興味とは外れ、幼児プレイにしかときめかなくなってしまった。あの時お世話になった「近所のお兄さん」は結婚してしまったし、彼ももう赤ちゃんになれる程可愛い背格好では無い。そんなある日、職場で「お兄さん」に似た雰囲気の人を見つける。いつしか目で追う様になった彼は次第にその人を妄想の材料に使うようになる。ある日の残業中、眠ってしまった雄介は、起こしに来た人物に寝ぼけてママと言って抱きついてしまい…?

R-18♡BL短編集♡

ぽんちょ♂
BL
頭をカラにして読む短編BL集(R18)です。 ♡喘ぎや特殊性癖などなどバンバン出てきます。苦手な方はお気をつけくださいね。感想待ってます😊 リクエストも待ってます!

美形な兄に執着されているので拉致後に監禁調教されました

パイ生地製作委員会
BL
玩具緊縛拘束大好き執着美形兄貴攻め×不幸体質でひたすら可哀想な弟受け

処理中です...