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33 帝都へ
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社交シーズンがやってきた。
ルークと共に、アカリエル領を出て、帝都へ向かう。帝都は初めてで、旅行気分もあって、馬車で揺られている間もわくわくしていた。
馬車の中では、ルークがずっと私の腰に手を回したままで、他愛もない話をしながら馬車に揺られていたけれど、それはそれで楽しい。
急にルークの愛想が良くなってから、早二ヶ月。
離縁もしなくて済みそうだということで、普段三着のみのドレスに制限していたものを止めた。というのも、ルークと夕食を共にしだして数日経った頃、ルークに「前も見たドレスを着ているな。他の色のドレスを着ているところも見たい」と言われてしまったためだ。
まさかルークにドレスの色をチェックされているとは思わなかった。女性が髪型を変えようが、同じ色でも違う服を着ていようが、化粧を変えようが、気づかないのが男性、という認識を前世の記憶から持っていたため、ちょっとルークは細かいな、と思ったのは内緒だ。
そういう理由で、他のドレスも着ることにしたのだ。いつか売ろうと思っていたので残念だけれど、やはり私も女性だからなのか、色んな色やデザインのドレスを着ることができるのは、心躍るのだ。
それに、ドレスが似合うと、いつもルークが褒めてくれる。時々「可愛い」とも言ってくれる。毎夜の夕食が最近はいつも私は楽しみで、話をするのも嬉しくて、そして夕食後に私が溺愛でもされているような甘い時間も、ずっとドキドキしっぱなし。
勘違いするな。ルークには愛人がいるのだから、ルークとの甘く感じる時間は、全て妻のご機嫌を取ろうとする夫の労いみたいなもの。全てまやかしなのだから、本気にしてはいけない。
「眠くなったのか? 寝てもいいぞ」
私が考え込み過ぎているのを眠いと思ったようで、ルークは私の瞼にキスを落とす。私は笑みを浮かべて頷き、ルークの肩に頭を預けて目を瞑った。
優しい夫、一緒にいて楽しい夫。ルークと一緒に過ごすうち、ルークの態度から好意を感じていた。もしかしたら、勘違いではなくて、本当に私を好きなのではないかと、私は期待してしまっていた。だって、あんなふうに甘やかされれば、ルークを好きになってしまう。できることなら、少しは互いに『好き』で結ばれた関係になりたい。私の気持ちが、もう引き返せないところに来ている気がした。
少し前まで、ルークの愛人と話し合って、妻と愛人の平和な関係を結ぶことを計画していたのに、私は愛人を目の前にしたら、笑えるのだろうか。冷静な話し合いができるのだろうか。すでに自信がなくなっていた。
途中で宿に泊まりつつ、帝都に到着した。
帝都のアカリエル別邸は、別邸なのに大きく豪華な邸宅であった。私が初めて帝都の屋敷に来たこともあり、執事を筆頭に別邸で働く使用人を紹介された。ちなみにだ、私の侍女のリアとミアは一緒に帝都についてきていて、ロニーも私の護衛としてついてきてくれた。
最初の数日はパーティーなどの日程がないため、ルークが帝都の街を案内してくれた。
オシャレな落ち着いた雰囲気のカフェ、チョコレートが有名な店、可愛らしい雑貨が売っている店、宝石の店なんかを回る。
美形すぎるルークはとても目立つ。ルークを見て感嘆の声を出す女性もいた。今更ながらに、ルークの美貌を再認識する。
アカリエル別邸での夜。
いつものようにルークと夕食をして、甘い時間を過ごし、明日から夜会などの日程があるために、自室に戻ってきた。
侍女のリアやミアと、明日着るドレスなどの確認をする。明日、私は初めて社交の場に出る。初日から皇宮の宮殿でのパーティーで、いわゆる勝負服になるから、入念にチェックする。
「今日購入されたサファイアのネックレスは、明日お使いになりますか?」
「ええ。明日のドレスの色にも合うと思うから」
実は、今日出かけた先で入った宝石の店で、ルークがネックレスを買ってくれたのだ。男性用のサファイアのタイブローチとお揃いでセットになっていて、私が熱心に見ていたらルークが買ってくれた。急遽、明日のパーティーでお揃いで付けることにしたのだ。
ルークとお揃いだなんて、少し恥ずかしいけれど、なんだか愛し合っている夫婦のようで、一緒に付けられるのが嬉しい。
その日はそうやって更けていった。
ルークと共に、アカリエル領を出て、帝都へ向かう。帝都は初めてで、旅行気分もあって、馬車で揺られている間もわくわくしていた。
馬車の中では、ルークがずっと私の腰に手を回したままで、他愛もない話をしながら馬車に揺られていたけれど、それはそれで楽しい。
急にルークの愛想が良くなってから、早二ヶ月。
離縁もしなくて済みそうだということで、普段三着のみのドレスに制限していたものを止めた。というのも、ルークと夕食を共にしだして数日経った頃、ルークに「前も見たドレスを着ているな。他の色のドレスを着ているところも見たい」と言われてしまったためだ。
まさかルークにドレスの色をチェックされているとは思わなかった。女性が髪型を変えようが、同じ色でも違う服を着ていようが、化粧を変えようが、気づかないのが男性、という認識を前世の記憶から持っていたため、ちょっとルークは細かいな、と思ったのは内緒だ。
そういう理由で、他のドレスも着ることにしたのだ。いつか売ろうと思っていたので残念だけれど、やはり私も女性だからなのか、色んな色やデザインのドレスを着ることができるのは、心躍るのだ。
それに、ドレスが似合うと、いつもルークが褒めてくれる。時々「可愛い」とも言ってくれる。毎夜の夕食が最近はいつも私は楽しみで、話をするのも嬉しくて、そして夕食後に私が溺愛でもされているような甘い時間も、ずっとドキドキしっぱなし。
勘違いするな。ルークには愛人がいるのだから、ルークとの甘く感じる時間は、全て妻のご機嫌を取ろうとする夫の労いみたいなもの。全てまやかしなのだから、本気にしてはいけない。
「眠くなったのか? 寝てもいいぞ」
私が考え込み過ぎているのを眠いと思ったようで、ルークは私の瞼にキスを落とす。私は笑みを浮かべて頷き、ルークの肩に頭を預けて目を瞑った。
優しい夫、一緒にいて楽しい夫。ルークと一緒に過ごすうち、ルークの態度から好意を感じていた。もしかしたら、勘違いではなくて、本当に私を好きなのではないかと、私は期待してしまっていた。だって、あんなふうに甘やかされれば、ルークを好きになってしまう。できることなら、少しは互いに『好き』で結ばれた関係になりたい。私の気持ちが、もう引き返せないところに来ている気がした。
少し前まで、ルークの愛人と話し合って、妻と愛人の平和な関係を結ぶことを計画していたのに、私は愛人を目の前にしたら、笑えるのだろうか。冷静な話し合いができるのだろうか。すでに自信がなくなっていた。
途中で宿に泊まりつつ、帝都に到着した。
帝都のアカリエル別邸は、別邸なのに大きく豪華な邸宅であった。私が初めて帝都の屋敷に来たこともあり、執事を筆頭に別邸で働く使用人を紹介された。ちなみにだ、私の侍女のリアとミアは一緒に帝都についてきていて、ロニーも私の護衛としてついてきてくれた。
最初の数日はパーティーなどの日程がないため、ルークが帝都の街を案内してくれた。
オシャレな落ち着いた雰囲気のカフェ、チョコレートが有名な店、可愛らしい雑貨が売っている店、宝石の店なんかを回る。
美形すぎるルークはとても目立つ。ルークを見て感嘆の声を出す女性もいた。今更ながらに、ルークの美貌を再認識する。
アカリエル別邸での夜。
いつものようにルークと夕食をして、甘い時間を過ごし、明日から夜会などの日程があるために、自室に戻ってきた。
侍女のリアやミアと、明日着るドレスなどの確認をする。明日、私は初めて社交の場に出る。初日から皇宮の宮殿でのパーティーで、いわゆる勝負服になるから、入念にチェックする。
「今日購入されたサファイアのネックレスは、明日お使いになりますか?」
「ええ。明日のドレスの色にも合うと思うから」
実は、今日出かけた先で入った宝石の店で、ルークがネックレスを買ってくれたのだ。男性用のサファイアのタイブローチとお揃いでセットになっていて、私が熱心に見ていたらルークが買ってくれた。急遽、明日のパーティーでお揃いで付けることにしたのだ。
ルークとお揃いだなんて、少し恥ずかしいけれど、なんだか愛し合っている夫婦のようで、一緒に付けられるのが嬉しい。
その日はそうやって更けていった。
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