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ハナツオモイの章

23.神器授与

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蓮也はオオモノノヌシの試練、神の冷気と永久氷結の破壊をクリアした。



ヘティス
「あれ、何か光ものがあるわ・・・」

破壊された永久氷結の谷は空洞になっており、その中に祭壇があり、その上には赤い櫛・指輪・ベルトがあった。

ヘティス
(ネコ師匠は、櫛は三つ存在する、って言ってたわね。そういうことなのね・・・)

どこからともなくオオモノノヌシの声が聞こえてくる。

オオモノノヌシ
「これらのものをお前たちに授ける」
「オオタネコの弟子は我が弟子でもある。ヘティス、持ってゆくがよい」
ヘティス
「えっ?私のこと知ってるの?ありがとう、ヌシ様!」
(多分、ネコ師匠が私のことをヌシ様に伝えてくれてたのね・・・。何十年も私のことを忘れずに見守ってくれてたのね・・・。そして、あの世のネコ様は、あの時のメーティスがヘティスだってこともわかっていて・・・。ありがとう、ネコ師匠!)
ヘティス
「このベルトは私には大きすぎるし、似合わないから蓮也がつけてみてよ」
蓮也
「・・・ああ」



ベルトは銀色の金属でできており、竜の装飾がしてある。中央には竜の顔があり、橙色の宝石をくわえている。
蓮也がベルトをつけると、蓮也の下腹部のスヴァディシュターナチャクラが共鳴し出す。

オオモノノヌシ
「お前は元来、頭部のアジュナーチャクラが強すぎて全体のエネルギーバランスを崩している。そのベルトをつけることで下腹部のスヴァディシュターナチャクラが強化される。そうすることで、お前の不調は消え、更にその力はお前の技を補うであろう」
蓮也
「なるほど、確かに下腹部にエネルギーが充実している」
オオモノノヌシ
「さて、私も十分満足した。久しぶりに春の眠りにつくとする」

そう言うと、谷から水が流れ落ち、氷結していた川は流れ出す。
この永久氷結は、オオモノノヌシの悲しみが作り出したものであると言う言い伝えがある。この悲しみを自ら癒すのは、その方法を伝えることであるとオオモノノヌシは考え、それをオオタネコに授けた。オオタネコはエスメラルダに伝え、エスメラルダはヘティスへと伝えた。そして、そのヘティスの力をオオモノノヌシは蓮也を通じて確認した。
そして、二人は七輪山を降りた。

ヘティス
「ちょっと待って。もう一回、ネコ師匠に挨拶してくる」

ヘティスはオオタネコの墓前で再び手を合わす。



ヘティス
(ネコ師匠、見守ってくれてありがとう)

人は死んで終わりではない、人生が終わった後も、その霊は大切な人を見守り、そして残された人は見守られるのだとヘティスは思った。だから、誰かが死んでも、その時はきっと悲しいのだろうけど、そして悲しむべきなのだろうけど、大きな宇宙の観点から見ると、決して悲しいことではないのだ、ともヘティスと思った。そして、自分もいつか、命を終える時が来る、その時は、誰かを見守りたいと思うのであった。

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