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ハナツオモイの章
3.妖精との再会
しおりを挟む蓮也とヘティス一行は、日が暮れようとする森の中を進もうとしている。
すると、道が二手に別れている。蓮也は馬を止めた。
ヘティス
「左右に道が分かれているけど、どっちにいくの?」
蓮也
「わからない」
ヘティス
(こういう時にドローンがあるといいんだけど、ヘパには搭載されてないし、3Dプリンターで作るには材料と時間がなさそうね・・・)
「ねえ、蓮也は以前、行ったことあるんでしょ?」
蓮也
「いや、行ったことはない。人に聞いただけだ。その目的地までは一本道だと聞いていたが」
ヘティス
「んー、だとすると新しい道ができた可能性があるわね」
「ということは、古い道の方が正解ってことね」
「ねえ、ペパ」
汎用性AIロボット・ヘパイトスを作動させるための呼びかけが「ねえ、ヘパ」である。
ヘパイトス@汎用性AIロボット
「はい、何でしょう」
ヘティス
「どっちの道が古いか調べてほしいの」
ヘパイトス@汎用性AIロボット
「了解です。画像解析・強度測定・成分分析に入ります。しばらくお待ちください」
「画像解析完了」
「強度測定完了」
「成分分析完了」
「左の道が古い道の可能性が98%です」
「理由としては、左の道は、画像解析から、今までの道に沿って作られていないことと、地面の強度と成分の解析によるものです」
汎用性AIロボット・ヘパイトスには、ディープラーニング・アルゴリズムはスパークシャー社製、画像解析はFudan社製、応用技術としてはHeroines社製を搭載した超ハイテクロボットである。
ヘティス
「ありがとう、ヘパ。とすると、左の道が古い道だから、左に行く方がいいわ」
蓮也
「その者は生体のオーラを感じない。ゴーレムか?」
ヘティス
「ん?ねえ、ヘパ。ゴーレムって何?」
ヘパイトス
「検索結果から分かったことは、魔法よって泥から作られた人造人間のことです」
ヘティス
「ロボットは魔法じゃないし、機械だし、ちょっと違うのよね。けど、どう説明したらいいのかしら」
「とりあえず、この子はヘパイトスっていうんだけど、とーっても頭がいいし、材料さえあれば色々なものを作れちゃうの」
蓮也
「ふむ、なるほど」
「とりあえず、お前たちの言っていることが正しいと思われる。左に行こう」
ヘティス
「ちょっと、何でいつも上からなの?アナタ、友達いないでしょ?“お前”じゃなく、私はヘティス!それに人がせっかく教えてあげたんだから“ありがとう”くらい言いなさいよ!そんなんだと友達なくすわよ?てゆーか、アナタ、友達いないでしょ?」
蓮也
「向こうから来るのが私の友だ」
目的地の方角と思われる左の道から、光り輝く何かがフワフワと飛んで近づいてくる。
「ポコ~!」
「蓮也~!」
「こっちだポコー!」
丸くて白い身体に短い手足、頭と尻尾に蓮のようなものがあり、蓮の葉のような羽が生えている。フラワードラゴンという竜でもあり妖精でもあるが、どちらかというと妖精に分類される。
蓮也
「やあ、ポコー、見てきてくれたのかい」
ポコー
「間に合ってよかったポコ」
「ポコッ!」
「ところでコイツら誰だ?」
蓮也
「道の途中で知り合った」
ヘティス
「コイツらじゃないわよ!私の名前はねぇ、ヘティス・・・って、、、」
「アレ?以前、どこかで見たことあるような」
ポコー
「ポコ!以前、どっかで会ったことあるようなポコ」
ヘティス
「思い出した!ずっーと前に公園でヘンテコな踊りを踊ってた蓮の妖怪だわね!」(1)
ポコー
「ズコー!妖怪じゃないぽこ、妖精ぽこ!」
ヘティス
「何でこんなところにいるのよ」
ポコー
「ここはオレの世界ポコ。お前たちがいることの方が不思議ポコよ。フツーは来れんポコ」
蓮也
「ヘティス、ポコーが見えるのか?」
ヘティス
「見えるわよ!」
蓮也
「なるほど、覚醒の片鱗があるのだな」
ヘティス
「何よ、ソレ。カクセーって」
ポコー
「そうだ蓮也、目的地の方角がわかったぽこ。オレの来た道を行くポコよ」
ヘティス
「そんなのもう解析済みでわかっちゃってるわよ!」
ポコー
「なんだとポコ!お前、蓮也に気に入られようとして、オレの手柄を横取りしようとしているなポコ!」
ヘティス
「ナニソレ、なんで私がそんなことしなきゃなんないのよ!」
蓮也
「とりあえず方向はわかった。日が暮れないうちに行くぞ」
ポコー
「それが大変ポコ!」
「スーパー強そうなドラゴンが二体、道を塞いでいるポコ。んで、パーティが竜狩りをしているみたいだけど、逆に狩られそうだポコ」
蓮也
「ほぅ、ポコーが強そうというからには、それなりのドラゴンなのだろう」
「一応、心していくこととしよう」
ヘティス
「えーっ!さっきの恐竜よりも、もっとヤバそうなのがいるの?先に言っておくけど、もう、オトリは嫌だからね・・・!」
ということで、蓮也、ヘティス、ヘパイトス、ブーバ、キキに加え、妖精のポコーが一行に加わり、目的地を目指すこととなった。
【解説】
(1) ヘティスは中学生の頃、公園でポコーと出会っている。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/548869271/757415627/episode/3595321
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