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2章
44話 黒神の祝福
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「〈黒神の祝福〉? って何それ?」
「我も知り得ぬ。必要ならば読んでみるが良い」
司書はそう言って僕に読んでいた本を差し出してくる。
僕はそれを受け取り、指定された辺りを読みだした。
そこには、司書に言われた通りの事が書いてあった。
黒蛇病は自然に発病することはあるが極めてまれ。それよりも、儀式によって発病することがある。
そして、その儀式を行なっている組織の名前は〈黒神の祝福〉。
どんな目的で儀式を行なっているのか理由や目的は一切が不明。
ただ、その名前のみが書かれているだけなのだ。
本にもこれ以上の記述はなく、全てが謎に包まれている。
「司書は……この〈黒神の祝福〉っていう組織について知ってる?」
「知らぬ。それに関する本も調べようか?」
「そうしてくれる?」
「承った」
司書はそうして飛んでいこうとするけれど、僕は止める。
「ちょっと待って」
「なんだ?」
「今から外にこの事を話して来たい。いいかな?」
「構わぬ。ここが保全されるのであれば一切の文句はない。むしろ、知識は使うためにあるのだ。存分に行なうが良い」
「また入ってくる時に試練を受け直すとかないよね?」
「ない」
「分かった。またくると思うから、邪魔なら本は片付けておいて」
「承知した」
僕は司書にそれだけ残して外に出る。
皆の部屋……まずはレイラが良いだろうか。
そこに行って、〈黒神の祝福〉の事について教会に聞いてもらうように頼まなければ。
そう思っていたのだけれど、禁書庫の外に3人はいたのだ。
「え? 皆……どうして?」
僕はレイラに目を向けると、ちょっとそっぽを向いて話す。
「別に、フェリスがまだ休みたそうだったからよ」
「フェリス様は行けると何度も言っていましたよ?」
「うるさいわねアルセラ。ショックだったんだから少しは休ませてあげないさいよ」
「素直にクトーを待っていたと言った方が好感度も高いと思いますが?」
「y……勝手なこと言わないで頂戴。こんなに待たせて……それでクトー。何かわかったの?」
ちょっと顔を赤くしながらレイラが尋ねてくる。
アルセラは首をかしげていて、フェリスは少し離れた場所で苦笑いをしていた。
「ごめんね皆……待たせちゃって。少し分かったことがあって、〈黒神の祝福〉。っていう組織は知ってる?」
「?」
「?」
「!」
3人の反応は違った。
レイラとアルセラは知らないと首を傾げるが、フェリスは顔を真っ青にして僕から視線を逸らす。
他の2人もフェリスの様子に気付いたのかそちらを見る。
「フェリス。教えてもらってもいいかな?」
「いえ……わたくしは……何も知りません」
「ここまで来て? なら、レイラ、これから〈黒神の祝福〉のことについて調べようと思うから、協力してくれない?」
「ええ、もちろ……」
「ダメです!」
ボクがレイラと話していると、フェリスが力強くそう言いきる。
一体どうしたのだろう。
彼女を見ると、その体はガタガタと震えているのだ。
「フェリス……?」
「ダメです……ダメなんです。その組織は……その組織だけはダメなんです。関わっては……いえ、知ることさえダメなんです。もしも、その組織を知っているとバレたら……」
「バレたら?」
「消されるかもしれません」
フェリスが感情の抜け落ちた声でそう言って来る。
「どう……いうこと?」
僕は訳が分からずに彼女を見つめる。
フェリスは少し迷っていたけれど、覚悟を決めたのか真っすぐに僕を見て話し始めた。
「わたくしの両手が……呪いに侵されている。という事は既に話ましたね?」
「うん」
「本当の事を言うと……この両手に呪いをかけた組織の名前は分かっているのです」
「まさか……」
「はい。その組織の名は、〈黒神の祝福〉。この国にはるか昔から存在している組織の名前です」
僕は信じられなかった。
まさかフェリスがその組織の名前を知っているだなんて。
そして、同時に疑問にも思う。
組織の名前を知っているなら、どうして対処しないのだろうか……と。
「組織の名前……知っているなら潰そうとはしなかったの? 王女に呪いをかけるなんて処刑されてもおかしく無いと思うんだけど……」
「順序が逆なのです」
「逆?」
わからずに彼女の話を聞くと、彼女は目を下に落として話す。
「わたくしの父は王です。そして、王族には代々受け継がれる知識が存在しています。そして、その中に〈黒神の祝福〉に関わってはいけない。という知識が存在するのです」
「そんな……知識が?」
「ええ、わたくしも全てを知る訳ではありませんが、確かに存在しているのです。そして、父はその謎の組織を潰そうとしました」
「潰す?」
「はい。そんな謎の組織を残しておいていいことは一つもない。父はこの国を良くするためにそんな組織が存在してはならないと思ったのでしょう。〈黒神の祝福〉は良くないことをしている。彼らが起こす犯罪は全犯罪の20%も関係している。という風に言われることすらあるのです」
「そんな組織が……」
「だから潰そうとしたのです。けれど、出来なかった」
「どうして?」
「わたくしの両手が呪われたからです」
「!」
「つまり、父である王が〈黒神の祝福〉を潰そうと動いて数日、城から出たことの無かったわたくしの両手が突如として呪われた。それと同時に、手紙もあったそうです。もしもこれ以上彼らに手を出そうとするのであれば、王子王女全てを呪い殺す事になるが、いいのか……と」
「城でそんな事が……」
「それ以来、父は彼らと関わる事を辞めました。そして、わたくしも個人的に調べさせようとしましたが……そのいずれの者も消されました。だから、関わってはいけないのです」
「……」
僕は何も言えなくなってしまう。
まさかそんな大きな組織が関わっているとは。
でも、サナを守る為であれば、僕は……。
そこに、レイラが入ってきた。
「ちょっと待って。クトーそれでその……〈黒神の祝福〉っていう組織と、サナちゃんの黒蛇病は何が関係しているの? もしかしたら、そこには触らずに解決出来たりしないの?」
「難しいと思う」
「どうして?」
「〈黒神の祝福〉という組織が、黒蛇病をばらまいているかも知れない。そう本には書かれていた」
「黒蛇病を……ばらまく?」
「うん。本では、黒蛇病が自然にかかる可能性は低いんだけれど、とある儀式をしたら黒蛇病にかかる。そんな事が書かれていたんだ」
「嘘でしょ……?」
「本当。だから、余計に〈黒神の祝福〉について知らないといけないと思ったんだけど……。教会のことも……」
「ああ……教会での不審死……もしかしたら、その組織が関わっている可能性もあるのね……」
そう。
教会の方でも不審死した人がいたことをレイラは言っていた。
だから、王族ですらも手にかけることが出来るのであれば、教会でも……。
しかも呪いによって……という事がより同一犯か……。
その組織の中に呪術専用の部隊等がいるのかもしれない。
関係を考えずにはいられない。
「なら、当面は誰にも話さずに、禁書庫だけで調べる。これで良いのではないか? その組織のことを調べていると知られなければ問題ないかと思うが……」
僕はアルセラの言葉に同意する。
「僕もそうしたいと思う。禁書庫でなら誰かに聞かれる事もないし、問題ないと思うんだ」
「それがいい。とりあえずは、その組織の事は厳禁だ」
アルセラがそういって話をまとめる。
「それと、これからやることだが……。まずはクトーが禁書庫でもっと多くの情報を集める。それくらいしかすることがないだろう。どうだ?」
「うん。僕もそう思う」
「しかし……クトー様だけに任せるのは……」
「そうね……。あたし達にも出来る事はないかしら?」
「もし出来るなら、検討違いの事を調べる振りとかしていて欲しいかも。組織の事を知らない。そんな風にしておけば、多少はごまかせるかも知れない」
「そうね。それならいいわ」
「畏まりました」
「良かった。それじゃあお願いするよ。僕も……出来る限りここに籠るから」
禁書庫に入れるのが僕しかいない以上、出来る限りいなければならない。
でも、レイラがそれを少し止めて来る。
「待ちなさい。貴方もずっとここに籠るのは怪しまれるかもしれない。誰かと遊びに行ったりしなさい。あたしが付き合ってあげてもいいわよ?」
「……そうだね。ありがとう。確かに僕だけずっといなかったら怪しまれるか。今度サナと町にでも出掛けるよ」
「……まぁ、いいわ」
少しムスッとしているけれど、レイラには本当に助けられる。
僕たちは、これからの予定を少し話して、ダンジョンから出た。
「我も知り得ぬ。必要ならば読んでみるが良い」
司書はそう言って僕に読んでいた本を差し出してくる。
僕はそれを受け取り、指定された辺りを読みだした。
そこには、司書に言われた通りの事が書いてあった。
黒蛇病は自然に発病することはあるが極めてまれ。それよりも、儀式によって発病することがある。
そして、その儀式を行なっている組織の名前は〈黒神の祝福〉。
どんな目的で儀式を行なっているのか理由や目的は一切が不明。
ただ、その名前のみが書かれているだけなのだ。
本にもこれ以上の記述はなく、全てが謎に包まれている。
「司書は……この〈黒神の祝福〉っていう組織について知ってる?」
「知らぬ。それに関する本も調べようか?」
「そうしてくれる?」
「承った」
司書はそうして飛んでいこうとするけれど、僕は止める。
「ちょっと待って」
「なんだ?」
「今から外にこの事を話して来たい。いいかな?」
「構わぬ。ここが保全されるのであれば一切の文句はない。むしろ、知識は使うためにあるのだ。存分に行なうが良い」
「また入ってくる時に試練を受け直すとかないよね?」
「ない」
「分かった。またくると思うから、邪魔なら本は片付けておいて」
「承知した」
僕は司書にそれだけ残して外に出る。
皆の部屋……まずはレイラが良いだろうか。
そこに行って、〈黒神の祝福〉の事について教会に聞いてもらうように頼まなければ。
そう思っていたのだけれど、禁書庫の外に3人はいたのだ。
「え? 皆……どうして?」
僕はレイラに目を向けると、ちょっとそっぽを向いて話す。
「別に、フェリスがまだ休みたそうだったからよ」
「フェリス様は行けると何度も言っていましたよ?」
「うるさいわねアルセラ。ショックだったんだから少しは休ませてあげないさいよ」
「素直にクトーを待っていたと言った方が好感度も高いと思いますが?」
「y……勝手なこと言わないで頂戴。こんなに待たせて……それでクトー。何かわかったの?」
ちょっと顔を赤くしながらレイラが尋ねてくる。
アルセラは首をかしげていて、フェリスは少し離れた場所で苦笑いをしていた。
「ごめんね皆……待たせちゃって。少し分かったことがあって、〈黒神の祝福〉。っていう組織は知ってる?」
「?」
「?」
「!」
3人の反応は違った。
レイラとアルセラは知らないと首を傾げるが、フェリスは顔を真っ青にして僕から視線を逸らす。
他の2人もフェリスの様子に気付いたのかそちらを見る。
「フェリス。教えてもらってもいいかな?」
「いえ……わたくしは……何も知りません」
「ここまで来て? なら、レイラ、これから〈黒神の祝福〉のことについて調べようと思うから、協力してくれない?」
「ええ、もちろ……」
「ダメです!」
ボクがレイラと話していると、フェリスが力強くそう言いきる。
一体どうしたのだろう。
彼女を見ると、その体はガタガタと震えているのだ。
「フェリス……?」
「ダメです……ダメなんです。その組織は……その組織だけはダメなんです。関わっては……いえ、知ることさえダメなんです。もしも、その組織を知っているとバレたら……」
「バレたら?」
「消されるかもしれません」
フェリスが感情の抜け落ちた声でそう言って来る。
「どう……いうこと?」
僕は訳が分からずに彼女を見つめる。
フェリスは少し迷っていたけれど、覚悟を決めたのか真っすぐに僕を見て話し始めた。
「わたくしの両手が……呪いに侵されている。という事は既に話ましたね?」
「うん」
「本当の事を言うと……この両手に呪いをかけた組織の名前は分かっているのです」
「まさか……」
「はい。その組織の名は、〈黒神の祝福〉。この国にはるか昔から存在している組織の名前です」
僕は信じられなかった。
まさかフェリスがその組織の名前を知っているだなんて。
そして、同時に疑問にも思う。
組織の名前を知っているなら、どうして対処しないのだろうか……と。
「組織の名前……知っているなら潰そうとはしなかったの? 王女に呪いをかけるなんて処刑されてもおかしく無いと思うんだけど……」
「順序が逆なのです」
「逆?」
わからずに彼女の話を聞くと、彼女は目を下に落として話す。
「わたくしの父は王です。そして、王族には代々受け継がれる知識が存在しています。そして、その中に〈黒神の祝福〉に関わってはいけない。という知識が存在するのです」
「そんな……知識が?」
「ええ、わたくしも全てを知る訳ではありませんが、確かに存在しているのです。そして、父はその謎の組織を潰そうとしました」
「潰す?」
「はい。そんな謎の組織を残しておいていいことは一つもない。父はこの国を良くするためにそんな組織が存在してはならないと思ったのでしょう。〈黒神の祝福〉は良くないことをしている。彼らが起こす犯罪は全犯罪の20%も関係している。という風に言われることすらあるのです」
「そんな組織が……」
「だから潰そうとしたのです。けれど、出来なかった」
「どうして?」
「わたくしの両手が呪われたからです」
「!」
「つまり、父である王が〈黒神の祝福〉を潰そうと動いて数日、城から出たことの無かったわたくしの両手が突如として呪われた。それと同時に、手紙もあったそうです。もしもこれ以上彼らに手を出そうとするのであれば、王子王女全てを呪い殺す事になるが、いいのか……と」
「城でそんな事が……」
「それ以来、父は彼らと関わる事を辞めました。そして、わたくしも個人的に調べさせようとしましたが……そのいずれの者も消されました。だから、関わってはいけないのです」
「……」
僕は何も言えなくなってしまう。
まさかそんな大きな組織が関わっているとは。
でも、サナを守る為であれば、僕は……。
そこに、レイラが入ってきた。
「ちょっと待って。クトーそれでその……〈黒神の祝福〉っていう組織と、サナちゃんの黒蛇病は何が関係しているの? もしかしたら、そこには触らずに解決出来たりしないの?」
「難しいと思う」
「どうして?」
「〈黒神の祝福〉という組織が、黒蛇病をばらまいているかも知れない。そう本には書かれていた」
「黒蛇病を……ばらまく?」
「うん。本では、黒蛇病が自然にかかる可能性は低いんだけれど、とある儀式をしたら黒蛇病にかかる。そんな事が書かれていたんだ」
「嘘でしょ……?」
「本当。だから、余計に〈黒神の祝福〉について知らないといけないと思ったんだけど……。教会のことも……」
「ああ……教会での不審死……もしかしたら、その組織が関わっている可能性もあるのね……」
そう。
教会の方でも不審死した人がいたことをレイラは言っていた。
だから、王族ですらも手にかけることが出来るのであれば、教会でも……。
しかも呪いによって……という事がより同一犯か……。
その組織の中に呪術専用の部隊等がいるのかもしれない。
関係を考えずにはいられない。
「なら、当面は誰にも話さずに、禁書庫だけで調べる。これで良いのではないか? その組織のことを調べていると知られなければ問題ないかと思うが……」
僕はアルセラの言葉に同意する。
「僕もそうしたいと思う。禁書庫でなら誰かに聞かれる事もないし、問題ないと思うんだ」
「それがいい。とりあえずは、その組織の事は厳禁だ」
アルセラがそういって話をまとめる。
「それと、これからやることだが……。まずはクトーが禁書庫でもっと多くの情報を集める。それくらいしかすることがないだろう。どうだ?」
「うん。僕もそう思う」
「しかし……クトー様だけに任せるのは……」
「そうね……。あたし達にも出来る事はないかしら?」
「もし出来るなら、検討違いの事を調べる振りとかしていて欲しいかも。組織の事を知らない。そんな風にしておけば、多少はごまかせるかも知れない」
「そうね。それならいいわ」
「畏まりました」
「良かった。それじゃあお願いするよ。僕も……出来る限りここに籠るから」
禁書庫に入れるのが僕しかいない以上、出来る限りいなければならない。
でも、レイラがそれを少し止めて来る。
「待ちなさい。貴方もずっとここに籠るのは怪しまれるかもしれない。誰かと遊びに行ったりしなさい。あたしが付き合ってあげてもいいわよ?」
「……そうだね。ありがとう。確かに僕だけずっといなかったら怪しまれるか。今度サナと町にでも出掛けるよ」
「……まぁ、いいわ」
少しムスッとしているけれど、レイラには本当に助けられる。
僕たちは、これからの予定を少し話して、ダンジョンから出た。
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