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4章
94話 vs魔陣②
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「『召喚魔陣構築:サモン・守り神』」
「なん……だと……」
【魔陣】はそう言ってから大きな召喚陣を起動した。
「!?」
遠くから見ても分かる。
あれはやばい。
というか、守り神を召喚? そんなことがされたらこの街は崩壊してしまう。
急いで戻り、壊さなければ!
「ほっほ。無駄じゃ。もう発動した」
【魔陣】がそういうやいなや、魔法陣は強烈な光を放つ。
そして、魔法陣は跡形もなく消え去った。
「なん……じゃと……?」
「何?」
俺は驚くが、【魔陣】も同様に驚いている。
どういうことだろうか?
「そんな……まさか……守り神につけていた召喚陣が消されていたというのか?」
「なるほどな……」
ここにくる途中、サラスの街に寄ってきた。
そこで守り神に書かれている召喚陣はアントゥーラやリュミエールが消したのだ。
それがここに来て功を奏しているらしい。
俺は呆然と立ち尽くしている【魔陣】に話しかける。
「守り神ならここに来る道中で助けて来たぞ」
「ば、バカな……。奴を倒せる者がいる等……ありえん」
「別に倒していないぞ?」
「は……? 倒して……いない? そんなはず……。ならなぜ来ない?」
「決まっている。貴様の魔法陣を全て壊して来たからに決まっている。理解したか?」
「そんな……そんなはずは……。あ奴はワシとゴライアスで不意をついてなんとかやったのじゃぞ? それを……」
「まぁ、そうかもしれないな。確かにあいつは強いが、俺程ではない」
「……そうか。そうなのか。では仕方ない。本来は呼んでから使うつもりじゃったが……。これを使わせてもらおうかのう。【技能模倣:技能無効】』」
「これは!?」
俺の体が少し前に味わった衝撃が駆け抜ける。
今回は血こそ吐かなかったけれど、少しよろけてしまった。
そんな俺の様子を見た【魔陣】はニヤリと笑みを浮かべた。
「ほっほ。ミリアムの奴のをコピーしておいて良かった。さて、これでお主も終わりかのう?」
「そんな訳ないだろうが。俺は最強。それはスキルがあるからではない。俺が俺であるからこそ最強なのだ。現に、ミリアムも同じことをしたが死んだぞ?」
「ほっほ……。そこまで強く言えるとは、人とは思えんの」
「そうでもないさ。さて……どうするか……」
スキルが封じられた程度では俺は揺るがない。
しかし、敵の居場所が分からないことの方が問題だ。
【魔陣】の位置は最初から変わっていない。
幻影のある位置だと示し続けている。
だが、そこには何もなかった。
俺はそんな事を考えていると、奴が動いてくる。
「中々に強気じゃのう。死ぬ以外に貴様に選択肢はない。よいのか?」
「俺が死ぬなどありえない」
「ではこ奴らは死ぬが……いいんじゃな?」
「た、助けて……」
奴はどこかから街の人々を近くに引き寄せる。
彼らは黒い茨に縛られていて、今も苦しそうにしていた。
「お前達魔族は……いつも同じようにしか出来んのか?」
「ほっほ。それが一番効率的じゃからのう。それに、貴様の様に強い連中はこうでもせんとどうにもならん」
「全く……これだからお前達を滅ぼしたくなるんだろうが」
これまであった魔族は皆人を殺してもなんとも思わない魔族しか居なかった。
魔族の領地にいる者も同じような感じだったりするのだろうか。
それとも……。
「まずはお前を殺す所から始めるとしよう」
「ワシの本当の位置も分からんのにか?」
「すぐに見つけて見せる。その前に……はぁ!」
俺は体に力を貯め、一瞬で黒い茨に絡まれた人々を救出していく。
スキルが封じられているからと言って俺の力が減っている訳ではない。
だから【魔陣】が反応できない速度で助ければ人質は人質足りえない。
「は……これは……想像以上じゃのう……人質をワシが知覚できない速度で助けた……のか?」
「その通りだ。俺は最強。この程度できて当然だ」
これだけは誰にも譲らない。
謙遜をすることもしない。
俺が最強であると、他の誰でもない。
俺が確信することから最強への道は始まるのだ。
「ほっほっほ。なるほどのう。それがお主の強さの所以か」
「気にする必要はないぞ。お前が最強に至る事はないのだから」
俺はそうやって奴と話をしつつ、人質が逃げていくのを確認する。
【魔陣】が俺の時間稼ぎに乗ってくれるとは思わなかったけれど、奴も何かを待っているのかもしれない。
「ほっほ。そろそろいいかのう?」
「なんだ? 人質が離れて行くのを待っていたのか?」
「そんな訳あるまい。簡単じゃよ。貴様に勝つための算段がついただけじゃ」
「ほう。楽しみだ」
俺を前にしてここまで言ってくる敵は初めてだ。
どれほどの力を持つ積もりなのか、一体どんなことをして来るのか。
楽しみで胸が高鳴る。
奴はそれから魔法陣を作り、口を開く。
「【技能模倣:最強】』」
奴の口から放たれたのは、俺のスキルのコピーだった。
「なん……だと……」
【魔陣】はそう言ってから大きな召喚陣を起動した。
「!?」
遠くから見ても分かる。
あれはやばい。
というか、守り神を召喚? そんなことがされたらこの街は崩壊してしまう。
急いで戻り、壊さなければ!
「ほっほ。無駄じゃ。もう発動した」
【魔陣】がそういうやいなや、魔法陣は強烈な光を放つ。
そして、魔法陣は跡形もなく消え去った。
「なん……じゃと……?」
「何?」
俺は驚くが、【魔陣】も同様に驚いている。
どういうことだろうか?
「そんな……まさか……守り神につけていた召喚陣が消されていたというのか?」
「なるほどな……」
ここにくる途中、サラスの街に寄ってきた。
そこで守り神に書かれている召喚陣はアントゥーラやリュミエールが消したのだ。
それがここに来て功を奏しているらしい。
俺は呆然と立ち尽くしている【魔陣】に話しかける。
「守り神ならここに来る道中で助けて来たぞ」
「ば、バカな……。奴を倒せる者がいる等……ありえん」
「別に倒していないぞ?」
「は……? 倒して……いない? そんなはず……。ならなぜ来ない?」
「決まっている。貴様の魔法陣を全て壊して来たからに決まっている。理解したか?」
「そんな……そんなはずは……。あ奴はワシとゴライアスで不意をついてなんとかやったのじゃぞ? それを……」
「まぁ、そうかもしれないな。確かにあいつは強いが、俺程ではない」
「……そうか。そうなのか。では仕方ない。本来は呼んでから使うつもりじゃったが……。これを使わせてもらおうかのう。【技能模倣:技能無効】』」
「これは!?」
俺の体が少し前に味わった衝撃が駆け抜ける。
今回は血こそ吐かなかったけれど、少しよろけてしまった。
そんな俺の様子を見た【魔陣】はニヤリと笑みを浮かべた。
「ほっほ。ミリアムの奴のをコピーしておいて良かった。さて、これでお主も終わりかのう?」
「そんな訳ないだろうが。俺は最強。それはスキルがあるからではない。俺が俺であるからこそ最強なのだ。現に、ミリアムも同じことをしたが死んだぞ?」
「ほっほ……。そこまで強く言えるとは、人とは思えんの」
「そうでもないさ。さて……どうするか……」
スキルが封じられた程度では俺は揺るがない。
しかし、敵の居場所が分からないことの方が問題だ。
【魔陣】の位置は最初から変わっていない。
幻影のある位置だと示し続けている。
だが、そこには何もなかった。
俺はそんな事を考えていると、奴が動いてくる。
「中々に強気じゃのう。死ぬ以外に貴様に選択肢はない。よいのか?」
「俺が死ぬなどありえない」
「ではこ奴らは死ぬが……いいんじゃな?」
「た、助けて……」
奴はどこかから街の人々を近くに引き寄せる。
彼らは黒い茨に縛られていて、今も苦しそうにしていた。
「お前達魔族は……いつも同じようにしか出来んのか?」
「ほっほ。それが一番効率的じゃからのう。それに、貴様の様に強い連中はこうでもせんとどうにもならん」
「全く……これだからお前達を滅ぼしたくなるんだろうが」
これまであった魔族は皆人を殺してもなんとも思わない魔族しか居なかった。
魔族の領地にいる者も同じような感じだったりするのだろうか。
それとも……。
「まずはお前を殺す所から始めるとしよう」
「ワシの本当の位置も分からんのにか?」
「すぐに見つけて見せる。その前に……はぁ!」
俺は体に力を貯め、一瞬で黒い茨に絡まれた人々を救出していく。
スキルが封じられているからと言って俺の力が減っている訳ではない。
だから【魔陣】が反応できない速度で助ければ人質は人質足りえない。
「は……これは……想像以上じゃのう……人質をワシが知覚できない速度で助けた……のか?」
「その通りだ。俺は最強。この程度できて当然だ」
これだけは誰にも譲らない。
謙遜をすることもしない。
俺が最強であると、他の誰でもない。
俺が確信することから最強への道は始まるのだ。
「ほっほっほ。なるほどのう。それがお主の強さの所以か」
「気にする必要はないぞ。お前が最強に至る事はないのだから」
俺はそうやって奴と話をしつつ、人質が逃げていくのを確認する。
【魔陣】が俺の時間稼ぎに乗ってくれるとは思わなかったけれど、奴も何かを待っているのかもしれない。
「ほっほ。そろそろいいかのう?」
「なんだ? 人質が離れて行くのを待っていたのか?」
「そんな訳あるまい。簡単じゃよ。貴様に勝つための算段がついただけじゃ」
「ほう。楽しみだ」
俺を前にしてここまで言ってくる敵は初めてだ。
どれほどの力を持つ積もりなのか、一体どんなことをして来るのか。
楽しみで胸が高鳴る。
奴はそれから魔法陣を作り、口を開く。
「【技能模倣:最強】』」
奴の口から放たれたのは、俺のスキルのコピーだった。
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