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第2章 姫
27話 パルマと依頼①
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次の日。
俺はパルマと一緒に街に出てきていた。
パルマはいつもの水色の鎧を着ていて、周囲の注目を浴びている。
「セレット」
「なんだ」
「なんでこんなことになってんだ?」
「オレが聞きたい」
こんな会話昨日もした気がする。
「今日は外に行く必要があると聞いたんだがよ。詳しい内容はセレットに聞けって言われてんだ。何しに行くんだ?」
「ああ、それなんだが……。パルマの服を一緒に買いに行けということらしい」
「服……オレの?」
「ああ、よくわからないけど、指定された店に行けば全てやってくれるらしい」
「何でオレの服を依頼で買いに行かされんだよ。意味がわかんねぇ」
「俺に聞かれても」
「……」
「……」
昨日の依頼も意味が分からなかったけど、今回の依頼は特に意味が分からない。
ただの服を買いに行くなんて、どう考えても城に言われてやるようなことじゃない。
昨日のことといい、何か考えがあるのだろうか?
「まぁいい。買い物を済ませてさっさと城に戻るぞ。訓練をしねぇと」
そう言ってパルマは歩き出す。
俺は彼女の背を追いかけて歩く。
「何か急いでいるのか? それなら早めに行くが……」
「そんなわけじゃねぇ……。早く戻って訓練はしたいだけなんだよ」
「そういうことか」
「どういうことだ?」
「昨日もアイシャと一緒に城下町に依頼の品をとって来い。意味の分からない依頼が来たんだよ」
「その後は?」
「普通に闘技場で楽しんで帰った」
「は?」
パルマは足を止めてこちらをみる。
「問題無かったのか?」
「うん。依頼の品を渡した時も、楽しかったですか? っていう風に聞かれただけだった」
「なんなんだよそれは……」
パルマがそう言って頭を抱えている。
「俺も昨日からだから分からないんだ」
「そうなのか……。まぁいい。さっさと終わらせんぞ」
「分かった」
俺はそう返すが、きっと違う依頼を渡されるなりして違うことをすることになりそうな予感がした。
到着した店の場所は、貴族街にある高級な服飾品店だった。
中に入ると1組に1人店員が付き添うようになっていて、彼らは皆服装がビシッと決まっている。
店の中にいる他の客も、かなり仕立てのいい服を着ているのを見ると、貴族の人達なのだろう。貴族街にあるから当然かもしれない。
俺達が店に入ると早速女性の店員が近づいてくる。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件ですか?」
「えっと、彼女の服を見繕って欲しいんです。これを」
俺は持っていた依頼書を渡す。店員にそれを渡せばすぐに用意してくれると書いてあったからだ。
「失礼いたします」
店員は受け取って、一読すると動きが石になったかのように固まった。
「店員さん?」
「は!? はい。何でしょう?」
「それで、どうすればいいんだ? 自分たちで探し回った方がいいのか?」
「オレは服の良し悪しなんて分かんねえぞ」
「では色々試着してみましょう。お気に召したものがありましたらそれをお選びになられては?」
「それでいいか?」
「ああ、分かった」
パルマは言っていたように感じ服には興味がなく、着れれば何でもいいという感じだった。ここら辺はアイシャとちょっと似てるな……。龍脈の研究以外にほとんど興味が無いとか相当近い何かを感じる。
ただアイシャは自分の立場とかを考えて、ある程度の服装とかは気を付けていたけど。
(そう言ってもほとんど城から支給された服ばっかりだったような……)
「こちらへどうぞ」
店員さんがそう言ってパルマの試着が始まったのだが……。
試着室の中ではパルマと店員さんの口論になっていた。
「な! こんな薄い物着られるか! 龍に襲われたらどうすんだ!?」
「これは街中で着るものであって龍脈で着るものではありません。第一あの鎧で街を歩くのはかなり大変でしょう?」
「だけど防御力がな」
「街中では防御力は要りません。ですから大人しく着てください」
「暴漢が現れた時はどうすんだ? これだと好きにしてくれと言っているようなものじゃねえか」
「ここは帝都カイガノスですよ? 余程の小道に入って行かない限りは問題ありません」
「だけどよ」
「もう、いいから脱がせます。大人しくしていてください」
「ひゃ!」
「おお、ちょっと嫉妬してしまいたくなるくらいいい体をしていますね……」
そんな会話が中から聞えてきて、5分後にカーテンが少しだけ開いた。
「そ、その。おかしくはないだろうか……」
パルマはそう言っているが、彼女がカーテンから出しているのは頭だけでそれ以外の部分は全く見えない。
「なら見せてくれないか? さっきまでと全然違いが分からないんだ」
「うぅ……」
パルマはもじもじしていてカーテンを取る気配が無い。
「パルマ様、そういう時は迷ってる時の方が困るんですよ!」
バッ!
店員さんが思い切りカーテンを開く。
「ああ!」
パルマが今まで聞いたことも無いような可愛らしい声を上げて、剥ぎ取られたカーテンを見送った。
俺は彼女の着ている服を見つめた。
「……」
「……」
パルマは俺の視線に気付いたのか自身の服を手で出来る限り隠す。それでもどこかに隠れていくようなことはせずにもじもじしている。
彼女の服はセパレートタイプの胸当て、というかへそ出しスタイルの上の服と、太ももの中ほどまでの長さのスカートをまとっている。
色合いは白と水色が綺麗にコントラストがハッキリとしている。背が高く、龍脈衆として戦ってきて、引き締まったスタイルを強調されているようだ。
「似合ってるぞ。いつも鎧ばかり来ていたから分からなかったけど、スタイルがいいと似合うな」
「!? ほ、本当か?」
「ああ、とても似合っていると思う」
「そ、そうか……。あ、ありがとう……」
「やっぱりお客様もそう思われますよね! 私も彼女にはこの服が似合っているんじゃないのかと思っていたんですよ!」
パルマの後ろから店員さんが鼻息を荒くして捲し立ててくる。
「他にも色んな服があるんですけどいかがですか? パルマ様ならきっと色々素敵に着こなせると思います!」
「そう、そうか? オレは……」
パルマがそう言ってこちらを見てくる。どうしたのだろうか。もしかして、俺を待たせるのが申し訳ないと思っているとかかもしれない。
彼女は龍脈衆の隊長として責任ある立場にいる。だから、龍騎士の称号を持つ俺の時間を無駄しないか。そんなことを気にしているのではないだろうか。
「パルマ」
「な、なんだ?」
「俺は待ってるから、色々試してみるといい」
「え」
「じゃあ店員さん。頼みます」
「オレはそんなつも……」
「まっかせてください! 彼氏さんが今夜襲わずにはいられないようにしてあげますから!」
「あ、俺達そういう……」
「さ! パルマ様! 見ただけで彼を悩殺出来るような素晴らしい物を選んで差し上げます!」
俺が否定の言葉をいう前に店員さんはカーテンを閉め、試着室に入って行ってしまった。
そして、俺はその外側で中で行なわれている狂気? 試着? を聞かせ続けられた。
「これなんてどうですか? 彼を魅惑するにはかなりいいかと」
「これのどこが服なんだ!? ただのひもじゃないのか!?」
「ちょっと刺激的過ぎると、ではもっと違った感じにして……これなんてどうですか?」
「さっきと何が違うんだ!? というかこれはどこを隠すんだ!?」
「これは最近流行の下着なんですよ。これをつければベッドで彼は貴方を襲わずにはいられません! さぁ! 一度着てみましょう!」
「待て待て待て待て! オレは服を買いに来たのであって下着までは」
「そんなことは言わずに、そんな質素な感じの子供のようなのを履いていてはいけませんよ? さ脱いでしまいましょう?」
「待て、待ってくれ。何でそんな目をしているんだ!」
「大丈夫です。私たちは服のプロですよ? これだけの素材なら最高に仕上げて見せます!」
「そこまではいい! 鎧を! オレの鎧を返してくれ!」
「それならもう城に送り返しましたよ? 諦めて着てください」
「そんな!?」
っと、言ったような事をずっと外で聞かされていた。
何度か外にでも行っていた方がいいんだろうか? と思って外に行こうとしたんだが、他の店員さんに彼女さんが頑張っているんです。すぐ近くで待っていてあげるべきでは? ということを言われて留まることを余儀なくされた。
俺はそんな会話を聞かされながら試着が終わっては見てを繰り返す。
店員さんは完全にスイッチが入ってしまい、これだ、次はこれだと次々と色んな服をパルマに着せていく。
最初は抵抗していたパルマだったが、途中からは諦めて着せ替え人形になっていた。
「ありがとうございました~!」
そして店員さんの素晴らしい笑みを背に、俺とパルマは店を出た。
俺はパルマと一緒に街に出てきていた。
パルマはいつもの水色の鎧を着ていて、周囲の注目を浴びている。
「セレット」
「なんだ」
「なんでこんなことになってんだ?」
「オレが聞きたい」
こんな会話昨日もした気がする。
「今日は外に行く必要があると聞いたんだがよ。詳しい内容はセレットに聞けって言われてんだ。何しに行くんだ?」
「ああ、それなんだが……。パルマの服を一緒に買いに行けということらしい」
「服……オレの?」
「ああ、よくわからないけど、指定された店に行けば全てやってくれるらしい」
「何でオレの服を依頼で買いに行かされんだよ。意味がわかんねぇ」
「俺に聞かれても」
「……」
「……」
昨日の依頼も意味が分からなかったけど、今回の依頼は特に意味が分からない。
ただの服を買いに行くなんて、どう考えても城に言われてやるようなことじゃない。
昨日のことといい、何か考えがあるのだろうか?
「まぁいい。買い物を済ませてさっさと城に戻るぞ。訓練をしねぇと」
そう言ってパルマは歩き出す。
俺は彼女の背を追いかけて歩く。
「何か急いでいるのか? それなら早めに行くが……」
「そんなわけじゃねぇ……。早く戻って訓練はしたいだけなんだよ」
「そういうことか」
「どういうことだ?」
「昨日もアイシャと一緒に城下町に依頼の品をとって来い。意味の分からない依頼が来たんだよ」
「その後は?」
「普通に闘技場で楽しんで帰った」
「は?」
パルマは足を止めてこちらをみる。
「問題無かったのか?」
「うん。依頼の品を渡した時も、楽しかったですか? っていう風に聞かれただけだった」
「なんなんだよそれは……」
パルマがそう言って頭を抱えている。
「俺も昨日からだから分からないんだ」
「そうなのか……。まぁいい。さっさと終わらせんぞ」
「分かった」
俺はそう返すが、きっと違う依頼を渡されるなりして違うことをすることになりそうな予感がした。
到着した店の場所は、貴族街にある高級な服飾品店だった。
中に入ると1組に1人店員が付き添うようになっていて、彼らは皆服装がビシッと決まっている。
店の中にいる他の客も、かなり仕立てのいい服を着ているのを見ると、貴族の人達なのだろう。貴族街にあるから当然かもしれない。
俺達が店に入ると早速女性の店員が近づいてくる。
「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件ですか?」
「えっと、彼女の服を見繕って欲しいんです。これを」
俺は持っていた依頼書を渡す。店員にそれを渡せばすぐに用意してくれると書いてあったからだ。
「失礼いたします」
店員は受け取って、一読すると動きが石になったかのように固まった。
「店員さん?」
「は!? はい。何でしょう?」
「それで、どうすればいいんだ? 自分たちで探し回った方がいいのか?」
「オレは服の良し悪しなんて分かんねえぞ」
「では色々試着してみましょう。お気に召したものがありましたらそれをお選びになられては?」
「それでいいか?」
「ああ、分かった」
パルマは言っていたように感じ服には興味がなく、着れれば何でもいいという感じだった。ここら辺はアイシャとちょっと似てるな……。龍脈の研究以外にほとんど興味が無いとか相当近い何かを感じる。
ただアイシャは自分の立場とかを考えて、ある程度の服装とかは気を付けていたけど。
(そう言ってもほとんど城から支給された服ばっかりだったような……)
「こちらへどうぞ」
店員さんがそう言ってパルマの試着が始まったのだが……。
試着室の中ではパルマと店員さんの口論になっていた。
「な! こんな薄い物着られるか! 龍に襲われたらどうすんだ!?」
「これは街中で着るものであって龍脈で着るものではありません。第一あの鎧で街を歩くのはかなり大変でしょう?」
「だけど防御力がな」
「街中では防御力は要りません。ですから大人しく着てください」
「暴漢が現れた時はどうすんだ? これだと好きにしてくれと言っているようなものじゃねえか」
「ここは帝都カイガノスですよ? 余程の小道に入って行かない限りは問題ありません」
「だけどよ」
「もう、いいから脱がせます。大人しくしていてください」
「ひゃ!」
「おお、ちょっと嫉妬してしまいたくなるくらいいい体をしていますね……」
そんな会話が中から聞えてきて、5分後にカーテンが少しだけ開いた。
「そ、その。おかしくはないだろうか……」
パルマはそう言っているが、彼女がカーテンから出しているのは頭だけでそれ以外の部分は全く見えない。
「なら見せてくれないか? さっきまでと全然違いが分からないんだ」
「うぅ……」
パルマはもじもじしていてカーテンを取る気配が無い。
「パルマ様、そういう時は迷ってる時の方が困るんですよ!」
バッ!
店員さんが思い切りカーテンを開く。
「ああ!」
パルマが今まで聞いたことも無いような可愛らしい声を上げて、剥ぎ取られたカーテンを見送った。
俺は彼女の着ている服を見つめた。
「……」
「……」
パルマは俺の視線に気付いたのか自身の服を手で出来る限り隠す。それでもどこかに隠れていくようなことはせずにもじもじしている。
彼女の服はセパレートタイプの胸当て、というかへそ出しスタイルの上の服と、太ももの中ほどまでの長さのスカートをまとっている。
色合いは白と水色が綺麗にコントラストがハッキリとしている。背が高く、龍脈衆として戦ってきて、引き締まったスタイルを強調されているようだ。
「似合ってるぞ。いつも鎧ばかり来ていたから分からなかったけど、スタイルがいいと似合うな」
「!? ほ、本当か?」
「ああ、とても似合っていると思う」
「そ、そうか……。あ、ありがとう……」
「やっぱりお客様もそう思われますよね! 私も彼女にはこの服が似合っているんじゃないのかと思っていたんですよ!」
パルマの後ろから店員さんが鼻息を荒くして捲し立ててくる。
「他にも色んな服があるんですけどいかがですか? パルマ様ならきっと色々素敵に着こなせると思います!」
「そう、そうか? オレは……」
パルマがそう言ってこちらを見てくる。どうしたのだろうか。もしかして、俺を待たせるのが申し訳ないと思っているとかかもしれない。
彼女は龍脈衆の隊長として責任ある立場にいる。だから、龍騎士の称号を持つ俺の時間を無駄しないか。そんなことを気にしているのではないだろうか。
「パルマ」
「な、なんだ?」
「俺は待ってるから、色々試してみるといい」
「え」
「じゃあ店員さん。頼みます」
「オレはそんなつも……」
「まっかせてください! 彼氏さんが今夜襲わずにはいられないようにしてあげますから!」
「あ、俺達そういう……」
「さ! パルマ様! 見ただけで彼を悩殺出来るような素晴らしい物を選んで差し上げます!」
俺が否定の言葉をいう前に店員さんはカーテンを閉め、試着室に入って行ってしまった。
そして、俺はその外側で中で行なわれている狂気? 試着? を聞かせ続けられた。
「これなんてどうですか? 彼を魅惑するにはかなりいいかと」
「これのどこが服なんだ!? ただのひもじゃないのか!?」
「ちょっと刺激的過ぎると、ではもっと違った感じにして……これなんてどうですか?」
「さっきと何が違うんだ!? というかこれはどこを隠すんだ!?」
「これは最近流行の下着なんですよ。これをつければベッドで彼は貴方を襲わずにはいられません! さぁ! 一度着てみましょう!」
「待て待て待て待て! オレは服を買いに来たのであって下着までは」
「そんなことは言わずに、そんな質素な感じの子供のようなのを履いていてはいけませんよ? さ脱いでしまいましょう?」
「待て、待ってくれ。何でそんな目をしているんだ!」
「大丈夫です。私たちは服のプロですよ? これだけの素材なら最高に仕上げて見せます!」
「そこまではいい! 鎧を! オレの鎧を返してくれ!」
「それならもう城に送り返しましたよ? 諦めて着てください」
「そんな!?」
っと、言ったような事をずっと外で聞かされていた。
何度か外にでも行っていた方がいいんだろうか? と思って外に行こうとしたんだが、他の店員さんに彼女さんが頑張っているんです。すぐ近くで待っていてあげるべきでは? ということを言われて留まることを余儀なくされた。
俺はそんな会話を聞かされながら試着が終わっては見てを繰り返す。
店員さんは完全にスイッチが入ってしまい、これだ、次はこれだと次々と色んな服をパルマに着せていく。
最初は抵抗していたパルマだったが、途中からは諦めて着せ替え人形になっていた。
「ありがとうございました~!」
そして店員さんの素晴らしい笑みを背に、俺とパルマは店を出た。
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