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兄上は、義姉上に許していただき、陛下と一緒に仕事に戻っていく。父上と先王は、まだ床に座らせられている。目線が、動くなと告げている。

その時ヴィアが、「叔父ちゃま。私の誕生日覚えてる?新しいドレスの仮縫いが出来たのよ。」と話された。「そうなのかい?じゃあ。誕生会を心待ちにしているよ。」と微笑んでおく。テオも俺も仕事に行かなくては、ならないので、ここら辺で切り上げる。父は無視し「では、お先に失礼いたします。」とテオと一緒に 退出する。

陛下の執務室に行くと、上層部がそろっていた。大会などに向けての警備や町の治安の悪化を説明された。いつもなら、俺とテオも警備に当たるが、今回は出なければならない。上位者が大会に参加するのだ、他を強化しないと駄目だ。昔から軍の訓練は 見学不可だ、この大会はその見学の代わりに行われていた。今は番にアピールする為のようだがな・・・・番持ちは、張り切っている。

今回も前大会で優勝した奴が、軍の大会に出る。その逆もある、大会は手を抜き2位に収まるか。だが嬢ちゃんが 見に来ると話していたがさてどうするか・・・考えていたら、咳払いが聞こえてきた。宰相が俺を睨んでいた、警備が手薄になりそうな所を、指摘していく。会議が終わったのが、深夜になる頃だった。

今日は屋敷に帰れそうに無い、執務室の仮眠ベットか・・・残りの仕事の為、テオの執務室に向かう。
晩ご飯を食べそこねた為に、メイドに執務室に何か持って来させる。すると、嬢ちゃんが帰り際にサンドイッチも包んでくれたのを、思い出す。
自分でお茶を入れ。メイドが持ってきたのはテオにやる。テオを見ると「なぜ、ルトと我のは違うのだ?」無視するが、欲しそうにするので、仕方ないから分け与える。
「これは?何処で手に入れたのだ?スズネなのか?ルト?」ため息が出る。するとそこに父上が入ってきた。「また、お前は美味しそうな物を、食している?」うるさい。
「どうでも良いですが、父上ヴィアのプレゼントは決まったのですか?」と話しを変える。「今回のヴィアのプレゼントは宝石箱。と言いたいがディアには、ヴィアのプレゼントで名誉挽回すると約束をした。」・・・うなっている。

「では、父上 私達と協力して、プレゼントを買いませんか?」
「お前達と?それほど自信がある物なのか?」頷いておく。自信がある態度で、父も首を縦にした。
「では、父上と兄上には、私の仕事を少しだけ手伝っていただきましょう。まだ、隠居は早いのですから、頑張ってください」「なっ!」小声で母上には、まだまだ面白い話が・・・と囁くと。
「わかった。ヴィアの誕生日までだ。」頷いておく。「では、閣下。私はこれで、全ては父上が、しますから。」これで父上は、逃げられない、まっ。先王も道連れになるな。二人が加われば仕事が速くなる。一石二鳥だ。


朝からダトの店に来る。 ダトの出迎えで部屋に通される。「誕生日プレゼントを 購入しに来た。」「ヴィア様の誕生日プレゼントですニャ。5歳の特別な日ニャね。」すると、色とりどりの布地 宝石が運びこまれた。首を横に振る「今回 欲しいのは、糸だ。手触りの良い。編み物用が欲しい。」
「糸ニャね。手触りなら スパイダーシルクかニャ?」色とりどりの糸を出された。分からないから、このまま全て購入していく。「感謝する。」ニヤッとされた。腹が立つケットシーだ。購入した糸を、氷河に届けに行く。


昨日は、寝ずに編みぐるみを、作りました。完成品を、クラフトに見せに行く。

「クラフト。見て。」クラフトが、すごく驚いている。そうです。裁縫がこんなに楽しいと、思う日が来るなんて思わなかった。今までの普通の裁縫レベルが 最高になるなんて思わなかったわ。
50㎝の女のコ人形ができた。糸もこだわりましたので、手触りも良い。黒髪黒目の人形です。かぎ針も本当に極細で作りました、極上の一品です。多分次はもっと早く編めると思います。

人形を鞄に詰めて。食堂に行く。今日はパンとオムレツにスープです。オムレツ。トマトソースでいただきます。

後ろを振り向くと・・・いましたよ。リーンハルト様が、ここは食堂ですが、毎日食べに来られるのでしょうか?

「おはようございます。」「嬢ちゃん。おはよう。」ニッコリ笑顔で席に着いた。えっと。これって7人前作るのですか?はい、ネイドをこき使います。できあがったのが、巨大オムレツです。
焼いたのは私 卵をかき混ぜたのが、ネイドさんです。
食事も終わり。リーンハルト様に 出来上がった人形を見せる。
「ッ」息をのんだ。ルディさんも「これは、可愛いわね。これなら 持ち歩けるし 抱っこしていても 柔らかい糸だからケガもしないわね。」とお褒めの言葉をいただいた。

「これは、凄い出来だ。これを譲って欲しいぐらいだ。」「あくまでも試作品ですので、リーンハルト様のご要望の人形は 髪と目の色も違うのにいたしますね。」と話すと。カイとリンは朝食後、遊びに行ってしまった・・・・(あれ。絶対に商売にニャルニャ。また頭が痛いニャ)うなずくネイドさん。(すぐに、ダドを呼んで来い。2妖精は逃げたな・・・)クラフトが慌てて宿を出て行く。リーンハルトとスズネは、人形の話しに夢中だ。
「フフフ。また凄いの作ってきたわね。」ルディの言葉に、目尻にしわが寄るのは、仕方が無い。なぜこう次から次へと、問題を起こすんだ。

「嬢ちゃん。他に何か プレゼントで、アイデアは無いか?人形だけを大人4人で贈るのはな・・・」

「アイデアですか?それでしたら、一人は人形。2人目は人形とおそろいのドレス 3人目は、人形の家具 4人目は、人形の着せ替えの服でいかがでしょうか?」スズネから、驚きのアイデアが出てきた。「凄いな。それだけで話題になる。」
私が作った? 着せ替え人形が、話題って、あり得ないよ。「着替は作れても、家具までは作れません。」すると ドアが開き。
「大丈夫ニャ。後はこちらが引き受けるニャ。スズネは人形を完成させるニャ」クックック。出た 腹黒猫、ダドさん。
「間に合ったニャ。」「そうだ嬢ちゃん。糸は これで良いか?」触らせてもらい 鑑定を掛ける。

(今のレベルならok。最高級のシルク素材。)「出来ます。後 目の ボタンですが。色とりどりの人形のボタンを出す。(向こうで買ってきたブランド商品の目です。)どれが良いですか?」緑の目を指し示した。

「では、これで作りますね。後ダドさん 人形の服は クローゼットの鞄にした方が可愛いですよ」と絵を描いてみる。クローゼットを持ち運べる鞄 2つに開き左右に服が掛けられ、下はタンスになる。「スズネ。おそろいの人形の服は作れるかニャ?」
「作れますよ。その際 同じ布を貰い。ドレスの型 完成図を見せて貰うことが条件です。」「わかった。ドレスのことは、こちらに任せて貰う。できあがり次第、ダドの店に届けよう。」チラッと クラフトを見た。(ニャが。動くのニャ。禿げにニャル)
「まずは 商業ギルドに 登録するニャ。大々的なお披露目は、誕生日後になるニャね。」急に頭を叩かれた。
「また、イラン物を」とネイドさんに怒られた。
「着せ替え人形無いのですか?おままごとセットは?後は「しゃべるな。スズネ。そんな物は無い。そんな人形なんか無い。丸太で遊んでる子供はいるが、そこまでの人型は、初めて見たぞ。」おー。丸太って?丸太遊べるの?いつの時代ですか?何して遊んでるんだ、子供達よ。
「貴族は、女の子は茶会。男の子は、武芸に励む。庶民はお手伝いとか・・・」あー。昔だね。
「スズネは。子供の頃何をしていたの?」「鬼ごっことか外遊び。おままごと 着せ替え人形。絵本とか」後は何していただろう?分からないな?
「もう、黙ってろ。」誕生日と大会、日にち近くないのかな?と思うが、ルディさんとクラフトの手元の 紐がチラッと見えたので、口を固く閉じておく。

「嬢ちゃん。人形はどれくらい時間がかかる?」うーん。「宿の掃除もありますので、それも含めて、1週間~10日ほどかかります。」リーンハルト様が、ダド ネイド クラフトと、話し合ってる。「スズネ。宿の掃除は良い。人形を完成させてしまえ。」「誕生日は大会前日でね。仕方ないから、忙しくなる前にと、大会の3日前にするんだ。予選通知のお祝いも兼ねることになる。宿の掃除は こちらが都合をつけるので、人形をお願いできないか?俺も明日から、大会の予選に参加するのでな、当分来られん。・・」

エエーー。ビックリしましたよ。それはそれは、顔がにやける。顔を引き締め「残念です。予選頑張ってください。」リーンハルトの顔を見られません。笑いが止まらん。だって、うれしい。もう、実質1人前だが、私からして5~7人前の料理を作らないで良いんですね。毎日毎日、給食を作ってます。の量でしたよ。腱鞘炎になるわ。でっかい鍋をかき混ぜるのは、重労働ですよ。ネイドをこき使いましたがね。それが、やっと解放されるのです。うれしい。笑いをかみ殺してたら、ちょっぴり涙が出たよ。

「嬢ちゃん。大丈夫だ。予選落ちには、ならない。大会を楽しみにしてるのだろう?大丈夫だ。」?????何がだ?よく分からないから、うなずいておこう。

「じゃ。スズネ。また来るニャ。クラフトをこき使うニャ」と契約書と図案を持って、出かけていった。リーンハルトも、屋敷に帰るみたいなので、2人を、見送っていく。
ネイドさんには、白い目で見られて。ルディさんには、番の扱い心得本をいただき、それに会わせて、お褒めの言葉をいただいた。クラフトには、甘い物寄こせと言われ。何が 何だかの、日でした。


クラフトからの報告で、着せ替え人形もそれにまつわる物も、全て商業ギルドに登録できました。誕生日会が、終わるまでは口外禁止だ。私の物に関しては全て ギルドの ギルマスと副マスを通すことになっています。後継人はネイド ダドなので、悪さはできません。何か作ったり話したりは、全て最初に、ネイドさんかクラフトに、相談するようにと約束をした。



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