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第四章 大精霊を求めて
4-34 一糸乱れぬ万倍化
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「さあ、ぶっつぶすぞ。あのウミヘビどもめ、ニシンの代用品として昆布に巻いてくれるわ!」
「主よ、あれが美味かどうかは元魔王軍の我にも保証しかねるが。
早々にあれを片付けて事前の勇者による試食会の開催を推奨する」
「おい、マジに取るな!
いや、勇者の国では好んでウミヘビを食する釣り人なども結構いるので、そういう事を無下に否定は出来んのだが」
それを聞いた、敵に向かうゲンダス・ナンバーズ全員が水上で一瞬こちらを振り返った気配を感じる。
そして俺の傍らに指揮官として控えているゲンダス1は言いやがったものだ。
「主よ、勇者とはなんという物好きな。
まさか、あれを本気で食したいとは。
一応はこれでも主に対しての社交辞令を含んだ発言だったのだがな。
今度から勇者に対しては、この手の発言は社交辞令抜きの本気での進言という事にする」
「うおおお、地元の魚屋さんだけじゃなくて、水属性の眷属にまで物好きだって言われちまった~」
「主よ、ほんのジョークだから気にするな。
奴らの味の評価はともかくとして、ゲンダス部隊総員が戦闘に入るぞ」
「あいよっ!」
そして伝説の開戦と言われた、ソーザンド・ウォーが始まったのだった。
どうでもいいけど、堅物過ぎるザムザよりはゲンダスの方が、こういうところは妙に味わいがある発言をするんだよな。
このウミヘビには爬虫類系と魚類系の二種類がいるはずだが、どうやらこいつは爬虫類系だったようだ。
分類から見て味がどう違うのかについては、俺の拙い知識では不明だ。
もっとも、シーサーペントは厳密にはウミヘビとは種類が違う代物なのではないかと思うのだが。
どちらかというと細長い海竜のようなものか。
元々、地球でも細長いドラゴンのように描かれてきたように思うし、海で帆船を襲うのであれば、絵面的にこれ以上相応しい奴らもいないだろう。
俺は空中から管制し、戦いを上空から俯瞰していた。
ゲンダスのスキルにより巻き上がる、スクリューに回されたかのような海水の凄烈な螺旋に飲み込まれ、海上の竜巻のような柱に舞い上がるウミヘビ達。
だが奴らも海の魔物、魔王軍が送り込んだ海中専門の特殊魔物兵だから、流れに逆らわずにあっさりとそれを往なす。
自らもうねり、それに合わせて対応し、元幹部魔人の強化されたはずのスキル攻撃に苦も無く耐える。
こいつは面倒な、これだから特殊魔物という奴らは困るのだ。
それをこの数、難なく出してくるのが魔王軍という奴らか。
まあこっちだって、はずれ勇者としてのユニークスキルのおかげで、同数の幹部魔人を出して向かわせている反則ぶりなのだが。
こいつらウミヘビの場合、耐えるというよりも自然にそうあるだけというか、さすがは海の大怪物というべきだった。
あの苛烈な攻撃に易々と対処している。
まあサイズ的に奴らの方がゲンダスよりも遥かにでかいのではあるが。
ゲンダス達も、ダンジョンの時と同じように人間やその乗物や施設などに被害が出ぬように、強力な力を十分に振るえていないようだった。
「ゲンダス1、水棲魔物のそいつとは相性が悪いか。
奴ら水棲魔物に効きそうな熱攻撃を加えられるマーグかミールと交代した方がいいかな。
奴らも陸とは違い、水中戦となると少し分が悪いとは思うのが」
「なんのこれしき、主よ。
連中がシーサーペントの群れ相手に戦うと、この港が灼熱地獄になってしまうではないか。
主、一つ提案なのだが、我らの攻撃に主のスキルを合わせてみぬか。
水場が得意な我らの、武器を使用した物理攻撃のみで直接敵を倒せば港にも船にも被害はあるまい。
早く一斉に仕留めてしまわないと船が危険だし、奴らを逃がすとまた面倒な事になる」
そして彼は例の流線的で極太スタイルな彼らの得物である、魔法金属をふんだんに使用したある意味で驕奢といってもよい、シルバーゴールドのように本来の素材の色とは異なる白銀に輝くオリハルコン製の巨大な水属性槍をブンっと振り回し、ウミヘビどもに向けて構えた。
「なるほどな。それも面白い。
ではそれでいこう」
俺は現場の指揮をゲンダス1に任せ、他のゲンダスは奴にタイミングを合わせるべく一斉に同期して、海上にてアイドリングするかのように海水の渦に乗ったまま、槍を突撃スタイルで各自担当するウミヘビどもに向けて構えた。
同じ種類の同系列ナンバーズ魔核を持つ魔人同士だと、こういう真似もできるようだ。
「よおし、それではゲンダスども、用意はいいか」
「主よ、いつでもいけようぞ」
「オーライ!」
そして俺はスキルを放つべく対応に入った。
「スキル一粒万倍日、我が眷属ゲンダスは一騎当千が一千騎、その力を万倍せよ。
やれ、ゲンダスども」
槍を打ち込むべく溜めていた力、また海水の足場に込めていた魔力を俺のスキル行使のタイミングと共に一斉に開放し、突っ込んでいったゲンダス一千体。
その槍は奴らの頭を吹き飛ばし、千切り飛ばした。
それはもちろん抉り出された魔核もろとも、俺の収納へと献上された。
そして海上の船達の甲板からは、麻の半袖シャツなどを着た船乗りたちが手を振ってくれている。
子供達も、こちらへたくさん手を振ってくれている。
俺も彼らを安心させるために手を振り返し、地上へと降り立った。
いいけど、今の騒ぎでイワシの幼魚が逃げちまってないかな。
俺のもっぱらの関心は、同じ海産物でも大物のウミヘビではなく田作りの原料の方なのだから。
「主よ、あれが美味かどうかは元魔王軍の我にも保証しかねるが。
早々にあれを片付けて事前の勇者による試食会の開催を推奨する」
「おい、マジに取るな!
いや、勇者の国では好んでウミヘビを食する釣り人なども結構いるので、そういう事を無下に否定は出来んのだが」
それを聞いた、敵に向かうゲンダス・ナンバーズ全員が水上で一瞬こちらを振り返った気配を感じる。
そして俺の傍らに指揮官として控えているゲンダス1は言いやがったものだ。
「主よ、勇者とはなんという物好きな。
まさか、あれを本気で食したいとは。
一応はこれでも主に対しての社交辞令を含んだ発言だったのだがな。
今度から勇者に対しては、この手の発言は社交辞令抜きの本気での進言という事にする」
「うおおお、地元の魚屋さんだけじゃなくて、水属性の眷属にまで物好きだって言われちまった~」
「主よ、ほんのジョークだから気にするな。
奴らの味の評価はともかくとして、ゲンダス部隊総員が戦闘に入るぞ」
「あいよっ!」
そして伝説の開戦と言われた、ソーザンド・ウォーが始まったのだった。
どうでもいいけど、堅物過ぎるザムザよりはゲンダスの方が、こういうところは妙に味わいがある発言をするんだよな。
このウミヘビには爬虫類系と魚類系の二種類がいるはずだが、どうやらこいつは爬虫類系だったようだ。
分類から見て味がどう違うのかについては、俺の拙い知識では不明だ。
もっとも、シーサーペントは厳密にはウミヘビとは種類が違う代物なのではないかと思うのだが。
どちらかというと細長い海竜のようなものか。
元々、地球でも細長いドラゴンのように描かれてきたように思うし、海で帆船を襲うのであれば、絵面的にこれ以上相応しい奴らもいないだろう。
俺は空中から管制し、戦いを上空から俯瞰していた。
ゲンダスのスキルにより巻き上がる、スクリューに回されたかのような海水の凄烈な螺旋に飲み込まれ、海上の竜巻のような柱に舞い上がるウミヘビ達。
だが奴らも海の魔物、魔王軍が送り込んだ海中専門の特殊魔物兵だから、流れに逆らわずにあっさりとそれを往なす。
自らもうねり、それに合わせて対応し、元幹部魔人の強化されたはずのスキル攻撃に苦も無く耐える。
こいつは面倒な、これだから特殊魔物という奴らは困るのだ。
それをこの数、難なく出してくるのが魔王軍という奴らか。
まあこっちだって、はずれ勇者としてのユニークスキルのおかげで、同数の幹部魔人を出して向かわせている反則ぶりなのだが。
こいつらウミヘビの場合、耐えるというよりも自然にそうあるだけというか、さすがは海の大怪物というべきだった。
あの苛烈な攻撃に易々と対処している。
まあサイズ的に奴らの方がゲンダスよりも遥かにでかいのではあるが。
ゲンダス達も、ダンジョンの時と同じように人間やその乗物や施設などに被害が出ぬように、強力な力を十分に振るえていないようだった。
「ゲンダス1、水棲魔物のそいつとは相性が悪いか。
奴ら水棲魔物に効きそうな熱攻撃を加えられるマーグかミールと交代した方がいいかな。
奴らも陸とは違い、水中戦となると少し分が悪いとは思うのが」
「なんのこれしき、主よ。
連中がシーサーペントの群れ相手に戦うと、この港が灼熱地獄になってしまうではないか。
主、一つ提案なのだが、我らの攻撃に主のスキルを合わせてみぬか。
水場が得意な我らの、武器を使用した物理攻撃のみで直接敵を倒せば港にも船にも被害はあるまい。
早く一斉に仕留めてしまわないと船が危険だし、奴らを逃がすとまた面倒な事になる」
そして彼は例の流線的で極太スタイルな彼らの得物である、魔法金属をふんだんに使用したある意味で驕奢といってもよい、シルバーゴールドのように本来の素材の色とは異なる白銀に輝くオリハルコン製の巨大な水属性槍をブンっと振り回し、ウミヘビどもに向けて構えた。
「なるほどな。それも面白い。
ではそれでいこう」
俺は現場の指揮をゲンダス1に任せ、他のゲンダスは奴にタイミングを合わせるべく一斉に同期して、海上にてアイドリングするかのように海水の渦に乗ったまま、槍を突撃スタイルで各自担当するウミヘビどもに向けて構えた。
同じ種類の同系列ナンバーズ魔核を持つ魔人同士だと、こういう真似もできるようだ。
「よおし、それではゲンダスども、用意はいいか」
「主よ、いつでもいけようぞ」
「オーライ!」
そして俺はスキルを放つべく対応に入った。
「スキル一粒万倍日、我が眷属ゲンダスは一騎当千が一千騎、その力を万倍せよ。
やれ、ゲンダスども」
槍を打ち込むべく溜めていた力、また海水の足場に込めていた魔力を俺のスキル行使のタイミングと共に一斉に開放し、突っ込んでいったゲンダス一千体。
その槍は奴らの頭を吹き飛ばし、千切り飛ばした。
それはもちろん抉り出された魔核もろとも、俺の収納へと献上された。
そして海上の船達の甲板からは、麻の半袖シャツなどを着た船乗りたちが手を振ってくれている。
子供達も、こちらへたくさん手を振ってくれている。
俺も彼らを安心させるために手を振り返し、地上へと降り立った。
いいけど、今の騒ぎでイワシの幼魚が逃げちまってないかな。
俺のもっぱらの関心は、同じ海産物でも大物のウミヘビではなく田作りの原料の方なのだから。
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