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第三章 時を埋める季節
3-44 大ピンチと収穫
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魔獣ライデンはその巨大すぎる図体の、こちらを向いた正面部分を稲光に輝かせ始めた。
「ヤバイ、思いっきり雷撃でこっちを狙っているみたいだぞ」
「ザムザ101、こいつの弱点はどこだ」
「上だ。
こやつは下方へは圧倒的な雷による攻撃を放つが上へは雷撃は届かぬ。
だが上には通してくれまい。
また、自然の理を用いて浮かんでおるが故に自力で高空へは上がって逃げられぬ。
いわば、雲の体を持つ雲の理に従う魔獣よ。
故にこやつは圧倒的な火に弱い」
「それだけ聞ければ十分さ。
そういう話だから、おい頼んだぜ」
火なら俺も多少は自信もあるが、今日は援軍に任すとしよう。
さっき眷属に伝えておいたのだ。
奴は速い。
もう会っている頃だと踏んでいたが、ドンピシャだ。
「任して」
「任されよ」
俺の渡した子機の宝珠と魔核念話からの応えが届いたと思った瞬間、魔獣ライデンの豪快な稲光がこちらへ放たれる直前の、おそらくはマイクロセコンドレベルの刹那、奴はその巨体を全身覆った発射直前の雷光と共にズタズタに空間ごと引き裂かれた。
どうやら宗篤姉妹が『内部から』切り裂いてくれたものらしい。
お姉ちゃんの方が雷撃持ちなので雷系のスキルには耐性が強いようで、それも妹に適用できたのだろう。
おそらくは渡した鉱石で強化された采女ちゃんの飛空スキルにより超マッハで縦横無尽に切り裂かれて、俺達に放つ予定だったらしい超雷撃をキャンセルされたそいつは、次の瞬間にこれまた俺の新眷属が放った鉱石パワーで強化されたブレスに為す術もなく完全に焼き払われていく。
元々は大精霊の配下だった竜だから、大精霊が作ったアイテムによる能力強化は一番著しい効果があるのではないだろうか。
凄まじい、文字通り天をも焦がす威力だった。
そして、空から焼き尽くされた雲野郎の魔核が降ってきた。
あの図体にしては意外と小ぶりな魔核で直径は約五十センチといったところか。
俺はそいつを収納すると、しっかりと眷属化しライデン1と名付けた。
そしてミールどもを大量に出すと命じた。
「大地を掘り起こせ、ミール達。
そしてマーグの奴を地中から引きずり出せ」
自慢の超硬度を誇る掘削装具を頭に装備して、あっというまに日本自慢の大型掘削機のように地面を掘り起こしていくミール達の黒光りする甲殻が、一斉に地中へと消えていく。
おそらくノームは聖域を半分捨ててでも、ダンジョン自体を地中へ深く潜らせて退避させて、かろうじてマグマ攻撃を凌いでいるはずだ。
だが、そのような攻撃はスーバイの鉱石を与えた俺の眷属ミールには通用しないはずだ。
おまけにミール一体につき、これまた鉱石を与えたザムザをつけてあるので防御は固い。
それに自身も生ける巨大熱線砲に等しいミールは、火焔魔人の熱にも臆さない。
やがて地中からは、地獄の穴から何かが吹き上がってくるかのように溶岩流と共に、魔人マーグと、その中でのたくる地獄の蛇の群れであるようなうちのミールどもが吹き上がり、地上はまさに火焔地獄さながらの様相を帯びている。
ザムザがミールに張り付いているので、まるで超大型虫魔獣を操るインセクトライダーのような様相を帯びていた。
マーグの奴はなんというか、燃える岩石でできた、ごつい体系の巨人ロック・ゴーレムのような体躯だ。
こんな奴は人間にはまともに相手はできないだろう。
強力な水魔法使いに、例の鉱石と魔力回復ポーションを与えまくって安全な後衛から攻撃させるほかないだろう。
むろん、その間に前衛で足止めする奴らは灼熱の生き地獄の住人となるのだ。
それはおそらく、王国が勇者召喚を決めた理由が一目で理解できるような壮絶極まる、まるで神話の中の英雄の軍勢を描いたワンシーンのようなような地獄絵図だろう。
こいつを人間の軍勢が倒すというのなら数万、あるいは数十万の英霊と化す兵士の墓標が必要な事だろうな。
この大地に戦いの後に残る物は墓石のみ、見渡す限りのトゥームストーンの森が辺り一面を埋め尽くすのだ。
いやもう、その光景を想像しただけで眩暈がしてくるわ。
「うわあ、ドン引きねー。これってもう冒険者の領域じゃないことない?」
「なんというか、福音の書にあるような、神の使徒と悪魔の使いの戦いだな」
「なあ、どっちが悪魔の軍勢なんだと思う?」
「さあ、どっちかなあ。魔人と魔獣の戦いなんだしねえ」
「あのなあ。
お前らさあ、それはあそこで体を張って戦ってくれている俺の眷属に対して、失礼ってもんじゃないの?
みろ、あいつらの装甲甲殻の表面の焼け具合をよ」
絶対防御に守られてはいるが、真っ赤に灼熱したミールの装甲はマーグの攻撃が持つカロリーの凄まじさを思わせる。
ザムザも絶対防御に守られてはいるが、首から下は人間と同じものなので、まるで人が火焔地獄の真っただ中にいるかのように感じる凄惨な様相だ。
俺はあの場にいたくないな。
頑張れ眷属共、俺はこの安全な空中から応援しているぞ。
もはや、さっき俺達が叩きつけられていた山肌すら、溶岩の海に煽られて半ばその仲間入りをして一部はガラス化している。
もうこいつは、まるで本物の黙示録の世界みたいだな。
「ゲンダスども、残りの鉱石を持って全員出動!」
そしてパワーアップした消防隊は、猛然と水のスキルで超大量の水流を勢いよく吹き付けて、奴を周りの溶岩の海ごと冷やしまくっていた。
「おのれゲンダス。この裏切り者共があ」
叫びながらも圧倒的な水量で冷やされ、のたうつマーグ。
こいつは冷やされると弱いのだ。
だが、それはもう簡単には冷やされてはくれない。
小火山の噴火を丸ごと冷やさねばならないようなとんでもない大惨事なのだから。
だが鉱石の力でパワーアップしたゲンダスの群れはそのミッションを遂行し、徐々に成功させつつある。
マーグは地中に戻りたくても、すべてのミールは奴の足元の地中に潜り体を張ってそれを妨害しているために、それも出来ない状態だ。
もはやマーグはミールの群れ、いやミールの海の上に立っているも同然の有様だ。
まるで地中から巨大な魔獣の群れが担ぐ壮大な魔人神輿だ。
一体何の祭りなんだよ。
武器である熱された溶岩を全て奪われ、裸の王様と化したマーグだが、巨大な岩石で出来た体を振るい、まだ激しい動きで抵抗してミール達やファイヤーマン・ゲンダスを蹴散らしている。
そこへ俺がライデン魔核からの超雷撃を放った。
これでもまだ奴を破壊できないのだが、さすがの奴も痺れて動きを止めた。
まるで巨大な人の姿をかたどった奇岩のようだ。どこかの街道沿いにでも飾っておけば、旅人たちに畏怖の念を抱かせ、また吟遊詩人の詩も華やがせてくれるのだろうが、さすがにそういうわけにもいかない。
次の友軍からのアタックを想定して、全ての眷属を一斉に下がらせた。
少し前までミールの団体がいたはずの場所へ、落とし穴に嵌まりこんだ巨大な冷えた溶岩製の無抵抗な彫像と化したマーグは、七面鳥撃ち的に佳人ちゃんの空間切断スキルで見事に真っ二つとなって砕かれた。
彼女のスキルは相変わらずの大威力だ。
いや、この無敵のスキルも例の鉱石で強化されているのだろう。
そして転がって地面に落ちてきた、これまたニメートルサイズの燃え盛る溶岩のような感じの色をした完全球体である魔核を俺が無事に回収する。
不思議とこのような攻撃を食らっても魔人クラスの魔核は破壊されずに弾かれて無事なものらしい。
魔人・魔獣とかいう代物はとんでもない連中なのだが、おかげでこのようなチートな攻撃のコンボで安心して狼藉できる。
今日は相当ヤバかったが、その甲斐あって、チート鉱石の他に新しい眷属の魔核が二種類も手に入ってよかったことだ。
「ヤバイ、思いっきり雷撃でこっちを狙っているみたいだぞ」
「ザムザ101、こいつの弱点はどこだ」
「上だ。
こやつは下方へは圧倒的な雷による攻撃を放つが上へは雷撃は届かぬ。
だが上には通してくれまい。
また、自然の理を用いて浮かんでおるが故に自力で高空へは上がって逃げられぬ。
いわば、雲の体を持つ雲の理に従う魔獣よ。
故にこやつは圧倒的な火に弱い」
「それだけ聞ければ十分さ。
そういう話だから、おい頼んだぜ」
火なら俺も多少は自信もあるが、今日は援軍に任すとしよう。
さっき眷属に伝えておいたのだ。
奴は速い。
もう会っている頃だと踏んでいたが、ドンピシャだ。
「任して」
「任されよ」
俺の渡した子機の宝珠と魔核念話からの応えが届いたと思った瞬間、魔獣ライデンの豪快な稲光がこちらへ放たれる直前の、おそらくはマイクロセコンドレベルの刹那、奴はその巨体を全身覆った発射直前の雷光と共にズタズタに空間ごと引き裂かれた。
どうやら宗篤姉妹が『内部から』切り裂いてくれたものらしい。
お姉ちゃんの方が雷撃持ちなので雷系のスキルには耐性が強いようで、それも妹に適用できたのだろう。
おそらくは渡した鉱石で強化された采女ちゃんの飛空スキルにより超マッハで縦横無尽に切り裂かれて、俺達に放つ予定だったらしい超雷撃をキャンセルされたそいつは、次の瞬間にこれまた俺の新眷属が放った鉱石パワーで強化されたブレスに為す術もなく完全に焼き払われていく。
元々は大精霊の配下だった竜だから、大精霊が作ったアイテムによる能力強化は一番著しい効果があるのではないだろうか。
凄まじい、文字通り天をも焦がす威力だった。
そして、空から焼き尽くされた雲野郎の魔核が降ってきた。
あの図体にしては意外と小ぶりな魔核で直径は約五十センチといったところか。
俺はそいつを収納すると、しっかりと眷属化しライデン1と名付けた。
そしてミールどもを大量に出すと命じた。
「大地を掘り起こせ、ミール達。
そしてマーグの奴を地中から引きずり出せ」
自慢の超硬度を誇る掘削装具を頭に装備して、あっというまに日本自慢の大型掘削機のように地面を掘り起こしていくミール達の黒光りする甲殻が、一斉に地中へと消えていく。
おそらくノームは聖域を半分捨ててでも、ダンジョン自体を地中へ深く潜らせて退避させて、かろうじてマグマ攻撃を凌いでいるはずだ。
だが、そのような攻撃はスーバイの鉱石を与えた俺の眷属ミールには通用しないはずだ。
おまけにミール一体につき、これまた鉱石を与えたザムザをつけてあるので防御は固い。
それに自身も生ける巨大熱線砲に等しいミールは、火焔魔人の熱にも臆さない。
やがて地中からは、地獄の穴から何かが吹き上がってくるかのように溶岩流と共に、魔人マーグと、その中でのたくる地獄の蛇の群れであるようなうちのミールどもが吹き上がり、地上はまさに火焔地獄さながらの様相を帯びている。
ザムザがミールに張り付いているので、まるで超大型虫魔獣を操るインセクトライダーのような様相を帯びていた。
マーグの奴はなんというか、燃える岩石でできた、ごつい体系の巨人ロック・ゴーレムのような体躯だ。
こんな奴は人間にはまともに相手はできないだろう。
強力な水魔法使いに、例の鉱石と魔力回復ポーションを与えまくって安全な後衛から攻撃させるほかないだろう。
むろん、その間に前衛で足止めする奴らは灼熱の生き地獄の住人となるのだ。
それはおそらく、王国が勇者召喚を決めた理由が一目で理解できるような壮絶極まる、まるで神話の中の英雄の軍勢を描いたワンシーンのようなような地獄絵図だろう。
こいつを人間の軍勢が倒すというのなら数万、あるいは数十万の英霊と化す兵士の墓標が必要な事だろうな。
この大地に戦いの後に残る物は墓石のみ、見渡す限りのトゥームストーンの森が辺り一面を埋め尽くすのだ。
いやもう、その光景を想像しただけで眩暈がしてくるわ。
「うわあ、ドン引きねー。これってもう冒険者の領域じゃないことない?」
「なんというか、福音の書にあるような、神の使徒と悪魔の使いの戦いだな」
「なあ、どっちが悪魔の軍勢なんだと思う?」
「さあ、どっちかなあ。魔人と魔獣の戦いなんだしねえ」
「あのなあ。
お前らさあ、それはあそこで体を張って戦ってくれている俺の眷属に対して、失礼ってもんじゃないの?
みろ、あいつらの装甲甲殻の表面の焼け具合をよ」
絶対防御に守られてはいるが、真っ赤に灼熱したミールの装甲はマーグの攻撃が持つカロリーの凄まじさを思わせる。
ザムザも絶対防御に守られてはいるが、首から下は人間と同じものなので、まるで人が火焔地獄の真っただ中にいるかのように感じる凄惨な様相だ。
俺はあの場にいたくないな。
頑張れ眷属共、俺はこの安全な空中から応援しているぞ。
もはや、さっき俺達が叩きつけられていた山肌すら、溶岩の海に煽られて半ばその仲間入りをして一部はガラス化している。
もうこいつは、まるで本物の黙示録の世界みたいだな。
「ゲンダスども、残りの鉱石を持って全員出動!」
そしてパワーアップした消防隊は、猛然と水のスキルで超大量の水流を勢いよく吹き付けて、奴を周りの溶岩の海ごと冷やしまくっていた。
「おのれゲンダス。この裏切り者共があ」
叫びながらも圧倒的な水量で冷やされ、のたうつマーグ。
こいつは冷やされると弱いのだ。
だが、それはもう簡単には冷やされてはくれない。
小火山の噴火を丸ごと冷やさねばならないようなとんでもない大惨事なのだから。
だが鉱石の力でパワーアップしたゲンダスの群れはそのミッションを遂行し、徐々に成功させつつある。
マーグは地中に戻りたくても、すべてのミールは奴の足元の地中に潜り体を張ってそれを妨害しているために、それも出来ない状態だ。
もはやマーグはミールの群れ、いやミールの海の上に立っているも同然の有様だ。
まるで地中から巨大な魔獣の群れが担ぐ壮大な魔人神輿だ。
一体何の祭りなんだよ。
武器である熱された溶岩を全て奪われ、裸の王様と化したマーグだが、巨大な岩石で出来た体を振るい、まだ激しい動きで抵抗してミール達やファイヤーマン・ゲンダスを蹴散らしている。
そこへ俺がライデン魔核からの超雷撃を放った。
これでもまだ奴を破壊できないのだが、さすがの奴も痺れて動きを止めた。
まるで巨大な人の姿をかたどった奇岩のようだ。どこかの街道沿いにでも飾っておけば、旅人たちに畏怖の念を抱かせ、また吟遊詩人の詩も華やがせてくれるのだろうが、さすがにそういうわけにもいかない。
次の友軍からのアタックを想定して、全ての眷属を一斉に下がらせた。
少し前までミールの団体がいたはずの場所へ、落とし穴に嵌まりこんだ巨大な冷えた溶岩製の無抵抗な彫像と化したマーグは、七面鳥撃ち的に佳人ちゃんの空間切断スキルで見事に真っ二つとなって砕かれた。
彼女のスキルは相変わらずの大威力だ。
いや、この無敵のスキルも例の鉱石で強化されているのだろう。
そして転がって地面に落ちてきた、これまたニメートルサイズの燃え盛る溶岩のような感じの色をした完全球体である魔核を俺が無事に回収する。
不思議とこのような攻撃を食らっても魔人クラスの魔核は破壊されずに弾かれて無事なものらしい。
魔人・魔獣とかいう代物はとんでもない連中なのだが、おかげでこのようなチートな攻撃のコンボで安心して狼藉できる。
今日は相当ヤバかったが、その甲斐あって、チート鉱石の他に新しい眷属の魔核が二種類も手に入ってよかったことだ。
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