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第三章 時を埋める季節
3-41 二回目の万倍化
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俺もジロリっとノームを見ながら尋ねた。
「おい、これは何だ。おそらくは普通の物体じゃあないな」
「くく、それはのう。
かつて、大精霊十人が集まり、祈りを捧げ生み出した霊石なのじゃ。
もう我らにも二度と作れぬであろう偶然出来た産物よ。
いわば精霊石とでもいうかな。
異世界の軍勢と戦うため王国に貸し与えた物で、本来は王国の持ち物ではない。
まあ特別貸与といったところじゃのう。
そのような物があると世を混乱させかねぬので、後でまた回収せねばな」
「そうか」
うーん、さすがにこんな物までは俺にも万倍化できないと思うのだが、この大精霊の聖域のような力に満ち溢れたこの場所でならどうだろうか。
本日はもう万倍化スキルはニールとの戦闘で使用して終了しているんだけどね。
「スキル本日一粒万倍日、この大精霊及びその聖域の力を用いて、この精霊石を万倍化せよ」
そして、この大精霊の間のような場所が凄まじい事になった。
轟音が鳴り響き、天井からは岩という岩が崩れ落ちてきたかのような有様で、あたりはまるで一瞬にして廃墟と化したようだった。
鉱石生成に力を吸い取られたのか。
一体生成にどれだけの力を要するものなのか、さすがは大精霊が作りし精霊石といったところかな。
「こら、ハズレ勇者あ、貴様今、一体何をした~」
口汚く罵るノーム。
その姿は、人を小馬鹿にしたような子供の姿はもう保っておらず、巨大な図体を持つヒキガエルのような、頭がでかくて尖った耳まで裂けた口を持つ、まるで妖怪のような感じに目をギョロリっとさせた横に広い体躯の化け物じみた姿で、身の丈はまた五メートルほどもある。
同じ妖怪でも、明らかにデロデロ系な、さっきまでのまだ可愛らしい座敷童姿とは似ても似つかない醜悪な容姿に、女性陣がピクピクと顔を引きつらせていた。
男性陣はむしろ面白そうにしていたし、無論最初から承知のニールは動揺一つない。
「それがお前の正体なのかよ。
そりゃあ、その図体ならばチョコもよく食うはずだ」
「わしの聖域が、ダンジョンがあ~。
ハズレ勇者め、一体何をしおったあ」
「はは、この鉱石は簡単には増やせそうにない代物だったからな、お前の力とここの聖域のエネルギーを利用させてもらっただけの事よ。
いやあ、すげえや。本当にこんな希少な物が増やせちまった」
あたり一面に散らばる精霊石。
それは誕生したばかりで、力強く不思議な光を放って辺りを埋め尽くし、ありえないような神秘的な光景を醸し出していた。
全員が微動だにせずに、その滅多に見られないような光景をガン見していた。
やはり二回目の万倍化スキルが使えたか、これができるのではないかと思って、この鉱石を手に入れたかったのだから。
ずっとこいつができるようになるアイテムかスキルなんかを捜していたのだ。
やったぜ、これで一日の間に何度もスキルを攻撃に使用できる。
今までは一発勝負なんでヒヤヒヤしていたし、敵の襲撃を警戒して思うように物資の万倍化も使えなかったのだ。
そして俺はそれらを一つ残らず目視回収し、一つをナナに、そして一つをノームに放り投げた。
「そら、オリジナルの鉱石は今返したぜ。残りは全部俺の物だ」
「こ、こ、この大馬鹿者があ。
わしの話をちゃんと聞いておったのかあ。
まったくこのハズレ勇者と来た日には。
ええい、ハズレ勇者というのは、どいっつもこいっつも碌な事をせぬわ。
ほんに頭が痛いのう。
では最後に一つだけ、お前が心底嫌がる事を言っておいてやろう。
あの現魔王こそは、お前と性格がそっくりのロクデナシなのじゃあ!」
おいおい、ニールの話と何か違うぞ!
「げ! マジで嫌な話を聞いたなあ。き、聞かなかった事にしよう」
そしてまだ鉱石を手にしたまま茫然としているナナにはこう言っておいた。
「そいつはノームからの貸与品じゃあなくて、お前ら王家にくれてやる物さ。
ただし、また不要になって手元に置いておきたくなくなって、厄介なアイテムをノームに預けたくなったなら俺に言うがいい。
そして」
それから俺は新しく配下となった女に言いつけた。
「おい、ニール。
俺達をお前らの使う裏口から外へ出せ。
その後で宗篤姉妹を追いかけて、この鉱石を二つ届けろ。
お前の仲間のレビが一緒にいるから彼女達の現在の場所はわかるよな。
そして一つはお前の分だ」
そう言いつけてから、俺は三個の精霊石をニールに手渡した。
「待て、ハズレ勇者め。
それはやたらとバラまく出ないぞ。
奪い合いだけで人の間で戦争が起きかねない代物よ。
あと、チョコはたくさん置いていけ!
こちとら魔力がスッカラカンじゃから補給をせんとな。
破損してしまった聖域の修復もせねばならんのだし。
この大馬鹿者めが、碌でもない事をしおってからに」
俺は大量のチョコを奴の頭の上からに振りまくかの如くに放り出しながら、魔王のように高らかに嗤い続けてやった。
いやあ笑いが止まらないとは、まさにこの事だねえ。
「おい、これは何だ。おそらくは普通の物体じゃあないな」
「くく、それはのう。
かつて、大精霊十人が集まり、祈りを捧げ生み出した霊石なのじゃ。
もう我らにも二度と作れぬであろう偶然出来た産物よ。
いわば精霊石とでもいうかな。
異世界の軍勢と戦うため王国に貸し与えた物で、本来は王国の持ち物ではない。
まあ特別貸与といったところじゃのう。
そのような物があると世を混乱させかねぬので、後でまた回収せねばな」
「そうか」
うーん、さすがにこんな物までは俺にも万倍化できないと思うのだが、この大精霊の聖域のような力に満ち溢れたこの場所でならどうだろうか。
本日はもう万倍化スキルはニールとの戦闘で使用して終了しているんだけどね。
「スキル本日一粒万倍日、この大精霊及びその聖域の力を用いて、この精霊石を万倍化せよ」
そして、この大精霊の間のような場所が凄まじい事になった。
轟音が鳴り響き、天井からは岩という岩が崩れ落ちてきたかのような有様で、あたりはまるで一瞬にして廃墟と化したようだった。
鉱石生成に力を吸い取られたのか。
一体生成にどれだけの力を要するものなのか、さすがは大精霊が作りし精霊石といったところかな。
「こら、ハズレ勇者あ、貴様今、一体何をした~」
口汚く罵るノーム。
その姿は、人を小馬鹿にしたような子供の姿はもう保っておらず、巨大な図体を持つヒキガエルのような、頭がでかくて尖った耳まで裂けた口を持つ、まるで妖怪のような感じに目をギョロリっとさせた横に広い体躯の化け物じみた姿で、身の丈はまた五メートルほどもある。
同じ妖怪でも、明らかにデロデロ系な、さっきまでのまだ可愛らしい座敷童姿とは似ても似つかない醜悪な容姿に、女性陣がピクピクと顔を引きつらせていた。
男性陣はむしろ面白そうにしていたし、無論最初から承知のニールは動揺一つない。
「それがお前の正体なのかよ。
そりゃあ、その図体ならばチョコもよく食うはずだ」
「わしの聖域が、ダンジョンがあ~。
ハズレ勇者め、一体何をしおったあ」
「はは、この鉱石は簡単には増やせそうにない代物だったからな、お前の力とここの聖域のエネルギーを利用させてもらっただけの事よ。
いやあ、すげえや。本当にこんな希少な物が増やせちまった」
あたり一面に散らばる精霊石。
それは誕生したばかりで、力強く不思議な光を放って辺りを埋め尽くし、ありえないような神秘的な光景を醸し出していた。
全員が微動だにせずに、その滅多に見られないような光景をガン見していた。
やはり二回目の万倍化スキルが使えたか、これができるのではないかと思って、この鉱石を手に入れたかったのだから。
ずっとこいつができるようになるアイテムかスキルなんかを捜していたのだ。
やったぜ、これで一日の間に何度もスキルを攻撃に使用できる。
今までは一発勝負なんでヒヤヒヤしていたし、敵の襲撃を警戒して思うように物資の万倍化も使えなかったのだ。
そして俺はそれらを一つ残らず目視回収し、一つをナナに、そして一つをノームに放り投げた。
「そら、オリジナルの鉱石は今返したぜ。残りは全部俺の物だ」
「こ、こ、この大馬鹿者があ。
わしの話をちゃんと聞いておったのかあ。
まったくこのハズレ勇者と来た日には。
ええい、ハズレ勇者というのは、どいっつもこいっつも碌な事をせぬわ。
ほんに頭が痛いのう。
では最後に一つだけ、お前が心底嫌がる事を言っておいてやろう。
あの現魔王こそは、お前と性格がそっくりのロクデナシなのじゃあ!」
おいおい、ニールの話と何か違うぞ!
「げ! マジで嫌な話を聞いたなあ。き、聞かなかった事にしよう」
そしてまだ鉱石を手にしたまま茫然としているナナにはこう言っておいた。
「そいつはノームからの貸与品じゃあなくて、お前ら王家にくれてやる物さ。
ただし、また不要になって手元に置いておきたくなくなって、厄介なアイテムをノームに預けたくなったなら俺に言うがいい。
そして」
それから俺は新しく配下となった女に言いつけた。
「おい、ニール。
俺達をお前らの使う裏口から外へ出せ。
その後で宗篤姉妹を追いかけて、この鉱石を二つ届けろ。
お前の仲間のレビが一緒にいるから彼女達の現在の場所はわかるよな。
そして一つはお前の分だ」
そう言いつけてから、俺は三個の精霊石をニールに手渡した。
「待て、ハズレ勇者め。
それはやたらとバラまく出ないぞ。
奪い合いだけで人の間で戦争が起きかねない代物よ。
あと、チョコはたくさん置いていけ!
こちとら魔力がスッカラカンじゃから補給をせんとな。
破損してしまった聖域の修復もせねばならんのだし。
この大馬鹿者めが、碌でもない事をしおってからに」
俺は大量のチョコを奴の頭の上からに振りまくかの如くに放り出しながら、魔王のように高らかに嗤い続けてやった。
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