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第二章 はずれスキルの冒険者
2-76 戦闘開始
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「さあて、それじゃあボチボチと行きますかね。行け、ザムザ1」
果敢にスキルで長物を攻めるザムザ1。野郎の甲殻が風の刃に激しく砕け、大きな破片を宙に飛ばした。
それ、回収回収っと。それにしてもあの野郎め、またしてもあっさりと回復していやがるな。まあその方が素材も大量に回収できて助かるんだが。
「わあ凄い。やっぱり、あんたの眷属に成り下がったとはいえ、さすがは元魔人ねえ。あいつの外皮って物凄く固くてさ。鋼鉄の矢や槍も通さないのよ。あのお店で見た巨大なドラゴンバスターで切りつけた兵士がいたけど、傷一つ付けられずに見事に跳ね返されたわ」
「マジか。あの大物を扱える兵士が王国軍にいたのか~」
「感心するとこ、そこ!?」
だが、そいつはくぐもった、まるで地獄から響くような声で喚いた。
「ザムザ、貴様~。魔王軍を裏切ったとは聞いていたが、噂は本当だったか。お前ほど魔王様に忠義な者はおらぬと思っておったのに。ええい口惜しい。魔王様の御心を思えば、今この場で貴様を滅さねば気が済まんわ」
「あいつ、あの体で人の言葉を喋るんだ」
「いや、ザムザやゲンダスだって、蟷螂と蜥蜴だよ」
「だって、あいつらも一応は手足が揃った一種のヒューマノイド体系じゃんか。さすがに丸々虫っぽいデザインの奴が喋ると違和感がある」
「まあそうなんだけどさあ。あたしも長物関連はちょっと苦手だなあ」
「俺だって虫はクワとかカブトとか、せいぜいトンボまでだな。そうだ、トンボといえば、エレ。あいつは強いのか?」
「ん、まあ王国軍やそこで右往左往している勇者どもには手強い相手かもしれないが、君なら十分やれるさ。御推察の通り、あいつ甲殻魔獣ミールは不死身でも無敵でもない。だが、早く片付けないと君の遊び場とやらがどんどん灰になるぞ、ほら」
甲殻っつうか、パッと見には長細いミルワームっぽいような感じだな。まるで戦車のように黒光りした硬そうな奴なのだが。
その頭にきたらしいミルワームの化け物が、奴の周囲を飛び回る裏切り者扱いのザムザに向けて強力なブレスを吐いていた。
ザムザは避ける事さえせずに堂々と絶対防御で受け流すので、余計に虫野郎が頭に来ているようだ。
やるなあ、ザムザの奴も。あの性格は死んでも治らんかったか。虫野郎の体が細長いだけに、まるで宇宙戦争に使う熱線砲の砲身のようだ。
「あのブレスは街が食らったらやべえ、ちょっと本気を出すか」
「もうっ、遊んでないで早く倒してよ!」
「でも俺はもう冒険者なんだぜ、商売の方も考えないとな。いつまでも贋金作りに邁進していると、そのうちにヤバイ事になるに決まっている。あれこれと遊ぶのに堂々と使える小遣いは欲しい」
「まあ、それはそうなんだけどさ」
ザムザが風の超絶スキルで反撃して、長い胴体の真ん中で奴を真っ二つにしたが、なんと野郎がどちらも綺麗に再生して、見事に二匹に増えやがった。
「あっちゃあ、増えやがったぞ。プラナリアかよ!」
「一穂! あいつ切っちゃ駄目みたいよ」
「いや、切っても全然大丈夫だが、一時的にブレスが二門になるぞ」
「大丈夫ってどういう事だ、エレ」
「あいつは増えても二匹になっているわけじゃあないんだ。別れた分身にも再生能力はある。しかし、あっちは疑似魔核を持っているだけの、しょせんは偽物なのさ。
本体の魔核が抉り取られたり破壊されたりすれば、同時に消滅する所詮は紛い物だ。更に二体を駆動するためにリソースを食うので二倍速で消耗し、早く倒れるだけさ。
だが瞬間の攻撃力は、奴の分身が増えた分だけ数の論理で上がるのだ。カズホが今何を考えているかは大体わかるけど、あまり数を増やすと王都が灰になるよ」
「ようし! じゃあブレスを撃つ隙を与えなければいいってわけだな。おいザムザ1、その本体の方はお前がマークだ。ゲンダス1! お前も行け。ブレスは絶対に地上に撃たせるな」
そして、やっきになってザムザを撃ち落とそうとブレスを吐きまくっている奴らをゲンダスが水のブレードで真っ二つにした。驚愕した奴が振り返った。
「ゲンダス、貴様もか!」
だがまたしても分身を一匹増やしたミールに向かい、ゲンダスは不敵に笑った。
「笑止、ミールよ、所詮ただの虫けら風情に我が主カズホ様の偉大さなどわかるまい。我はゲンダスに非ず。我こそは『ゲンダス1』なり。蘇りし、勇者の眷属たるゲンダス1だ!」
「馬鹿なあ、ネームド魔人の名前を上書きするだと! そ、それではまるであの方と同じ力ではないか!」
俺は奴の狼狽を目の当たりにして首を捻った。
「なあ、泉」
「なあに、魔人の王。ついでにあたしの彼氏君」
「そういう言い方はやめろって。なあ、お前らって魔人に名前とかつけた事ないの?」
「ある訳がないでしょう~。本格的に、魔人なんかと接敵すら殆どないんだから。今回も無能な王国軍の采配でいきなり接敵させられて半分以上がやられちゃったしさ。空から偵察するあたしだって、あんたのとこの魔人以外では、この虫が初めてなのよ。」
「そうかあ。そういや前にもそんな事を言っていたような気がするよな」
そして、くっくっくとエレがおかしそうに俺の頭の上で笑っていた。
「おそらく、君には何かの補正が働いているのさ。本スキルがハズレ勇者だからバランスを取るためにね。
そういう部分もあるから、あたしは君についてきたのもあるんだよ。いやあ、やっぱりハズレ勇者は最高の見世物だわ!」
「なんだよ、それは」
果敢にスキルで長物を攻めるザムザ1。野郎の甲殻が風の刃に激しく砕け、大きな破片を宙に飛ばした。
それ、回収回収っと。それにしてもあの野郎め、またしてもあっさりと回復していやがるな。まあその方が素材も大量に回収できて助かるんだが。
「わあ凄い。やっぱり、あんたの眷属に成り下がったとはいえ、さすがは元魔人ねえ。あいつの外皮って物凄く固くてさ。鋼鉄の矢や槍も通さないのよ。あのお店で見た巨大なドラゴンバスターで切りつけた兵士がいたけど、傷一つ付けられずに見事に跳ね返されたわ」
「マジか。あの大物を扱える兵士が王国軍にいたのか~」
「感心するとこ、そこ!?」
だが、そいつはくぐもった、まるで地獄から響くような声で喚いた。
「ザムザ、貴様~。魔王軍を裏切ったとは聞いていたが、噂は本当だったか。お前ほど魔王様に忠義な者はおらぬと思っておったのに。ええい口惜しい。魔王様の御心を思えば、今この場で貴様を滅さねば気が済まんわ」
「あいつ、あの体で人の言葉を喋るんだ」
「いや、ザムザやゲンダスだって、蟷螂と蜥蜴だよ」
「だって、あいつらも一応は手足が揃った一種のヒューマノイド体系じゃんか。さすがに丸々虫っぽいデザインの奴が喋ると違和感がある」
「まあそうなんだけどさあ。あたしも長物関連はちょっと苦手だなあ」
「俺だって虫はクワとかカブトとか、せいぜいトンボまでだな。そうだ、トンボといえば、エレ。あいつは強いのか?」
「ん、まあ王国軍やそこで右往左往している勇者どもには手強い相手かもしれないが、君なら十分やれるさ。御推察の通り、あいつ甲殻魔獣ミールは不死身でも無敵でもない。だが、早く片付けないと君の遊び場とやらがどんどん灰になるぞ、ほら」
甲殻っつうか、パッと見には長細いミルワームっぽいような感じだな。まるで戦車のように黒光りした硬そうな奴なのだが。
その頭にきたらしいミルワームの化け物が、奴の周囲を飛び回る裏切り者扱いのザムザに向けて強力なブレスを吐いていた。
ザムザは避ける事さえせずに堂々と絶対防御で受け流すので、余計に虫野郎が頭に来ているようだ。
やるなあ、ザムザの奴も。あの性格は死んでも治らんかったか。虫野郎の体が細長いだけに、まるで宇宙戦争に使う熱線砲の砲身のようだ。
「あのブレスは街が食らったらやべえ、ちょっと本気を出すか」
「もうっ、遊んでないで早く倒してよ!」
「でも俺はもう冒険者なんだぜ、商売の方も考えないとな。いつまでも贋金作りに邁進していると、そのうちにヤバイ事になるに決まっている。あれこれと遊ぶのに堂々と使える小遣いは欲しい」
「まあ、それはそうなんだけどさ」
ザムザが風の超絶スキルで反撃して、長い胴体の真ん中で奴を真っ二つにしたが、なんと野郎がどちらも綺麗に再生して、見事に二匹に増えやがった。
「あっちゃあ、増えやがったぞ。プラナリアかよ!」
「一穂! あいつ切っちゃ駄目みたいよ」
「いや、切っても全然大丈夫だが、一時的にブレスが二門になるぞ」
「大丈夫ってどういう事だ、エレ」
「あいつは増えても二匹になっているわけじゃあないんだ。別れた分身にも再生能力はある。しかし、あっちは疑似魔核を持っているだけの、しょせんは偽物なのさ。
本体の魔核が抉り取られたり破壊されたりすれば、同時に消滅する所詮は紛い物だ。更に二体を駆動するためにリソースを食うので二倍速で消耗し、早く倒れるだけさ。
だが瞬間の攻撃力は、奴の分身が増えた分だけ数の論理で上がるのだ。カズホが今何を考えているかは大体わかるけど、あまり数を増やすと王都が灰になるよ」
「ようし! じゃあブレスを撃つ隙を与えなければいいってわけだな。おいザムザ1、その本体の方はお前がマークだ。ゲンダス1! お前も行け。ブレスは絶対に地上に撃たせるな」
そして、やっきになってザムザを撃ち落とそうとブレスを吐きまくっている奴らをゲンダスが水のブレードで真っ二つにした。驚愕した奴が振り返った。
「ゲンダス、貴様もか!」
だがまたしても分身を一匹増やしたミールに向かい、ゲンダスは不敵に笑った。
「笑止、ミールよ、所詮ただの虫けら風情に我が主カズホ様の偉大さなどわかるまい。我はゲンダスに非ず。我こそは『ゲンダス1』なり。蘇りし、勇者の眷属たるゲンダス1だ!」
「馬鹿なあ、ネームド魔人の名前を上書きするだと! そ、それではまるであの方と同じ力ではないか!」
俺は奴の狼狽を目の当たりにして首を捻った。
「なあ、泉」
「なあに、魔人の王。ついでにあたしの彼氏君」
「そういう言い方はやめろって。なあ、お前らって魔人に名前とかつけた事ないの?」
「ある訳がないでしょう~。本格的に、魔人なんかと接敵すら殆どないんだから。今回も無能な王国軍の采配でいきなり接敵させられて半分以上がやられちゃったしさ。空から偵察するあたしだって、あんたのとこの魔人以外では、この虫が初めてなのよ。」
「そうかあ。そういや前にもそんな事を言っていたような気がするよな」
そして、くっくっくとエレがおかしそうに俺の頭の上で笑っていた。
「おそらく、君には何かの補正が働いているのさ。本スキルがハズレ勇者だからバランスを取るためにね。
そういう部分もあるから、あたしは君についてきたのもあるんだよ。いやあ、やっぱりハズレ勇者は最高の見世物だわ!」
「なんだよ、それは」
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