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第二章 はずれスキルの冒険者
2-59 異世界うどんストーリー
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俺はさっそく、うどん作りという名目で愛しの彼女のところへと、文字通りに空を飛んでお邪魔した。
勇者連中は王城の中に住んでいるらしい。さすがに、放逐勇者である俺がいきなり城へ行くのはなんなので、宝珠で泉を呼び出した。
やがて、城から一っ飛びでやってきてくれた泉に手を振って挨拶する。
普通の勇者の子なら城の外まで出てくるのは相当かかるのだが、泉なら自分の部屋のベランダから飛んできてくれるので呼び出しが楽でいい。
「どうしたのー、もしかしてデートのお誘いかな~」
「うん、もちろんそれはあるんだが、彼女の手料理が食べたくなってね!」
「へえ、一穂は何が食べたいの?」
「これだ」
俺がポケットティッシュの袋の素材から武骨に再現したビニール袋の中に入れて差し出した物を見て、泉が爆笑した。
「やっだー、うどんじゃないのー。そうか、もうすぐ冬が来そうだものねー。で、彼氏としては何が食べたいのかな? うどんなら鍋の締めにもいいよね」
「うーん、贅沢を言うのであれば、やっぱり天麩羅きしめんか、味噌煮込みうどんかなあ」
「うーん、同じ名古屋人として、それには大きく同意したいのですが、材料はどうするの?」
「ごめん。そのうどんも、今まで一度もうどんを食べた事のないフォミオ渾身の作で、しかもちゃんとうどんになっているという秀作でね。
まだきしめんにはチャレンジできていない。味噌と溜まりと例のオニギリの米から作らせている日本酒は、彼にチャレンジさせているのだが、発酵食品はさすがのフォミオといえども一朝一夕にはなあ」
試作品はいいところまで来ているのだが、そこは伝統食品の難しいところなのだ。まだもうちょいかかりそうだ。
大豆自体はあるので豆腐はニガリの代用品で作ってくれた。なんとショウが錬金術師の店で見つけてくれた物の中にその薬品はあったのだ。
「そのあたりのフォミオ君の調合のスキルには大いに期待しているわ。で、とりあえずのうどんスープを、味噌醤油出汁などを抜きにして私に作れというわけなのね」
「わかりやすく言えばそうなんだ。次の村祭りのメイン屋台並びに、アルフェイム近郊の名物料理、『あるふぇい麺』として売り出せないかと」
「うーん、とても魅力的な提案なんだけど、さすがに原料が制限され過ぎていて、どうしたらいいのか困るなあ」
「という訳なので、勇者女子会第二弾という事で、『うどんで元気、日本の勇者』企画をなんとか!」
それがメインの目的だった。日本女子がそれだけ集まれば、もしかしたら、なんとかなるかなと。
「そう来ましたか」
「来ましたとも! それと本音を言っていいかい」
「どうぞ」
「もっと日本食が食いてえ。寿司・天麩羅、ラーメンに蕎麦、照り焼きに唐揚げ。あ、そうだ。唐揚げはできるよな、この間スパイスは入手したので、もう唐揚げ粉の試作は済ませたのだが、うっかり忘れてた!」
そうそう、あれをお祭りで出さなくてどうするというのか。
「そこ、そういう大事な事は忘れないの! よし、うちの女子会で、そっちの祭りに参加するわ。こっちの祭りって、なんか方向性が違うみたいだしさ」
「ん? どういう具合に違うの?」
「うーん、日本の欠片も無いというかねー。西洋の昔のお祭りっぽい感じらしいわ」
「却下、じゃあ秋祭りはやるぞ。勇者陽彩と国護のおっさんは参加を許可する。あのお巡りさん達も呼ぼうぜ」
「いいわね。足はどうする? 王都からだと、あたしらで空からピストン輸送しかないかな?」
そうなんだよなあ、王都へ人員輸送、あるいは王都から人を多数呼ぶというのなら、まさにそれがネックなのだ。
「今、輸送機関を作っているんだけど、なかなか難しいなあ」
「輸送機関?」
「ふふん、飛空スキル持ちのザムザ魔核を用いたエアカーのバスだ」
「あっはっは」
「まあ、さすがに飛行機とまではいかないな。良かったら今から村まで見に来る? まだ試作品なんだけどさ」
「よし、行こう」
「あ、うどんの試作は?」
「先に足を見に行こうよ。今夜は女子会ついでに一穂が王都に泊まればいいし。そうだ、いっそさあ、お城のあたしの部屋に来ない? 中に入るのは手引きするからさ」
「ぶはははは、いいのかよ。まあ、それも面白いけどさ」
「いいの、いいの。魔王軍を連れ込むわけじゃなし、あんただって立派な勇者よ。というか、ここまでで一番勇者っぽい働きをしているのが、あんたとあの姉妹だけなんだもの」
「そいつは違いない。じゃあ、今夜はそうするか」
勇者連中は王城の中に住んでいるらしい。さすがに、放逐勇者である俺がいきなり城へ行くのはなんなので、宝珠で泉を呼び出した。
やがて、城から一っ飛びでやってきてくれた泉に手を振って挨拶する。
普通の勇者の子なら城の外まで出てくるのは相当かかるのだが、泉なら自分の部屋のベランダから飛んできてくれるので呼び出しが楽でいい。
「どうしたのー、もしかしてデートのお誘いかな~」
「うん、もちろんそれはあるんだが、彼女の手料理が食べたくなってね!」
「へえ、一穂は何が食べたいの?」
「これだ」
俺がポケットティッシュの袋の素材から武骨に再現したビニール袋の中に入れて差し出した物を見て、泉が爆笑した。
「やっだー、うどんじゃないのー。そうか、もうすぐ冬が来そうだものねー。で、彼氏としては何が食べたいのかな? うどんなら鍋の締めにもいいよね」
「うーん、贅沢を言うのであれば、やっぱり天麩羅きしめんか、味噌煮込みうどんかなあ」
「うーん、同じ名古屋人として、それには大きく同意したいのですが、材料はどうするの?」
「ごめん。そのうどんも、今まで一度もうどんを食べた事のないフォミオ渾身の作で、しかもちゃんとうどんになっているという秀作でね。
まだきしめんにはチャレンジできていない。味噌と溜まりと例のオニギリの米から作らせている日本酒は、彼にチャレンジさせているのだが、発酵食品はさすがのフォミオといえども一朝一夕にはなあ」
試作品はいいところまで来ているのだが、そこは伝統食品の難しいところなのだ。まだもうちょいかかりそうだ。
大豆自体はあるので豆腐はニガリの代用品で作ってくれた。なんとショウが錬金術師の店で見つけてくれた物の中にその薬品はあったのだ。
「そのあたりのフォミオ君の調合のスキルには大いに期待しているわ。で、とりあえずのうどんスープを、味噌醤油出汁などを抜きにして私に作れというわけなのね」
「わかりやすく言えばそうなんだ。次の村祭りのメイン屋台並びに、アルフェイム近郊の名物料理、『あるふぇい麺』として売り出せないかと」
「うーん、とても魅力的な提案なんだけど、さすがに原料が制限され過ぎていて、どうしたらいいのか困るなあ」
「という訳なので、勇者女子会第二弾という事で、『うどんで元気、日本の勇者』企画をなんとか!」
それがメインの目的だった。日本女子がそれだけ集まれば、もしかしたら、なんとかなるかなと。
「そう来ましたか」
「来ましたとも! それと本音を言っていいかい」
「どうぞ」
「もっと日本食が食いてえ。寿司・天麩羅、ラーメンに蕎麦、照り焼きに唐揚げ。あ、そうだ。唐揚げはできるよな、この間スパイスは入手したので、もう唐揚げ粉の試作は済ませたのだが、うっかり忘れてた!」
そうそう、あれをお祭りで出さなくてどうするというのか。
「そこ、そういう大事な事は忘れないの! よし、うちの女子会で、そっちの祭りに参加するわ。こっちの祭りって、なんか方向性が違うみたいだしさ」
「ん? どういう具合に違うの?」
「うーん、日本の欠片も無いというかねー。西洋の昔のお祭りっぽい感じらしいわ」
「却下、じゃあ秋祭りはやるぞ。勇者陽彩と国護のおっさんは参加を許可する。あのお巡りさん達も呼ぼうぜ」
「いいわね。足はどうする? 王都からだと、あたしらで空からピストン輸送しかないかな?」
そうなんだよなあ、王都へ人員輸送、あるいは王都から人を多数呼ぶというのなら、まさにそれがネックなのだ。
「今、輸送機関を作っているんだけど、なかなか難しいなあ」
「輸送機関?」
「ふふん、飛空スキル持ちのザムザ魔核を用いたエアカーのバスだ」
「あっはっは」
「まあ、さすがに飛行機とまではいかないな。良かったら今から村まで見に来る? まだ試作品なんだけどさ」
「よし、行こう」
「あ、うどんの試作は?」
「先に足を見に行こうよ。今夜は女子会ついでに一穂が王都に泊まればいいし。そうだ、いっそさあ、お城のあたしの部屋に来ない? 中に入るのは手引きするからさ」
「ぶはははは、いいのかよ。まあ、それも面白いけどさ」
「いいの、いいの。魔王軍を連れ込むわけじゃなし、あんただって立派な勇者よ。というか、ここまでで一番勇者っぽい働きをしているのが、あんたとあの姉妹だけなんだもの」
「そいつは違いない。じゃあ、今夜はそうするか」
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