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第二章 はずれスキルの冒険者
2-56 辺境の子供達とは
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俺はその間に村長のところへ行って彼の屋敷を見学させてもらう事にした。
アルフ村の村長家であるゲイルさんの家は、なんというかその、ただの普通の家だしな。
なにしろ大昔の血統を元に、ボランティアで村長しているだけの家系なのだし、そもそもあそこは焼き締め村なのだ。
あとは更に徒歩で半日行った先のユーモ村まで行かないと大きな村長屋敷はない。
あれこそ、ようやく村長屋敷と言っていいような物なのだが、生憎とあそこまで子供会が出張する事はまずないので。
「そういう訳なので、ちょっと子供達にここを見学させてやってほしいのですが」
「そうですか、わかりました。ようございますよ」
ここの村長フィナスさんは、もうかなりの御歳で、なんというかほぼ座ったっきりの老人という感じで、見たままの穏やかな方だ。
もし、あの魔物穴の暴走のようなものを止められなかったら、このあたりも阿鼻叫喚の有様で、皆でこの長老様を担いで逃げないといけなかったんだろうなと思うと今更ながらに冷や汗が出るわ。
戻ったら、丁度子供達の服も手直しが終わったところだったので、お金を払って店主のナイーザさんにお礼を言ってから、子供達を引率しつつ村長屋敷へ向かった。
「やっぱりベンリ村は都会だなあ」
正直な感想を述べる最果て村の子供達、もう村人幼児全開だね。
「まあ、こっちは普通の村だからね」
「アルフ村もこうだとよかったのになあ」
「アルフ村が、こうなっていけないという物じゃあないんだよ。ただ、昔の戦争のために作られた支援村が残されたのは、あの地を監視するためだけだから、王国から支援がないとか、場所が辺鄙過ぎて発展しなかったというだけだからね。
ここまでの街道も整備した事だし、何か有用な産業を起こしたら発展する余地はあるよ。ただ、要は多くのお客さんがあそこまで来てくれるかだねえ。フォミオみたいな優秀な従者がいる人ばかりじゃないので」
うーん、これはちょっとなんとかしないといけないかな。一応、俺だって村に住まわせている身の上なので。
「そうだね。まあ仕方なし、王国で一番の辺境だもんね」
「なんだ、諦めがいいなあ」
「だって、そこまで苦労して頑張っても報われる見込みが薄いんだもの。それだったら、ここベンリ村で何かやった方がまだいいよ。靴屋のブートンさんだってそうしたんでしょう?」
「ははは、そりゃあそうだ」
うーん、焼き締め村出身幼児の達観した意見に反論の余地なし! でもやっぱり、ちょっと寂しいよな。
「さあ、村長屋敷を見せてもらおうぜ」
そして行った先は案の定、聞いていた通りの少し大きいだけの普通の家だった。子供達が些かがっかりしていたので、頭をぐりぐりしてやった。
「もう、ここが普通の家だということくらい最初っからわかっているだろ。さあさあ」
「だって、やっぱり村長さんの家なんだもん、ちょっとは期待するよ~」
「まあ、ここだって辺境の村には違いないんだけど」
「むしろ、ここが本来の辺境の村なのであって、僕らの村は普通ならありえないような、さらにその一歩外なんだもん」
そ、そこまで言うなよ~、自分の村なんだからさ。それでさえも辿り着いた頃の俺にとっちゃあ、まさに地獄に仏っていう感じだったんだからね。
いや、むしろ日本で生きてきた俺にはログハウスで出来た高級別荘地に来たような錯覚すら覚えたんだぜ。まあよく見れば、粗末な山小屋でしかない事は、すぐに見て取れたんだけどさ。
「こんにちはー」
「「「こんにちは!」」」
「おや、こんにちは」
体の具合のせいで立つのが億劫なので、勝手に入ってきてくれと言われていたので、全員でお言葉に甘えて上がり込んだ。
フォミオは外だ、この普通の家は多分あいつの耐重に耐えられない。
こいつの耐重に耐えられるカイザの家がありえない頑丈さなのだ。ああいうふうに過剰品質な家を建ててしまうのは、危機管理意識の高い騎士だからなのかねえ。
「じゃあ、みんな。村長同士の会合を見学していきなさい。何か意見があったら言ってもいいよ」
「あ、わしはまだ村長じゃないんですがね」
「ほっほっほ、まあ実質的にはお前さんが村長じゃろう。彼も体の方は、わし同様の状態じゃからな。じゃが、生きている間にもう一度旧知の彼に会ってみたいもんだ」
「じゃあ、お祭りの時にはなんとかしてお連れいたしますよ。やっぱり合同企画なのに両村の村長が揃わない事には様にならないでしょうから」
「おお、そうかね。そうしてもらえれば嬉しいのう」
「いや、しかしカズホ。うちの親父殿は荷馬車の振動が腰に来るからな」
「まあ、そこは任せておいてくださいよ。勇者の知恵袋ぶりを御覧あれ」
「そうか、じゃあ頼んだよ」
それから、子供達も交えてディスカッションのような打ち合わせをして有意義に会合は終わりを告げた。
俺は子供達の意見も取り入れて何かを考える事にした。それは主に子供達も何か催しを企画して、積極的に参加してみたいというものだった。
「よし、じゃあみんなで考えてみようか。フォミオも手伝ってくれるからな」
それから女将さんの店で、御土産に持ち帰った卵なども大量に用いた、内容を子供向けに振ったランチメニューを皆で楽しみ、雑貨コーナーで御土産も仕入れてイベント終了となった。
何故だか知らないのだが、子供達には大変有意義であった将来を見据えるような社会見学まで含む事になった子供会行事を終えて、無事に村まで帰ったのであった。
アルフ村の村長家であるゲイルさんの家は、なんというかその、ただの普通の家だしな。
なにしろ大昔の血統を元に、ボランティアで村長しているだけの家系なのだし、そもそもあそこは焼き締め村なのだ。
あとは更に徒歩で半日行った先のユーモ村まで行かないと大きな村長屋敷はない。
あれこそ、ようやく村長屋敷と言っていいような物なのだが、生憎とあそこまで子供会が出張する事はまずないので。
「そういう訳なので、ちょっと子供達にここを見学させてやってほしいのですが」
「そうですか、わかりました。ようございますよ」
ここの村長フィナスさんは、もうかなりの御歳で、なんというかほぼ座ったっきりの老人という感じで、見たままの穏やかな方だ。
もし、あの魔物穴の暴走のようなものを止められなかったら、このあたりも阿鼻叫喚の有様で、皆でこの長老様を担いで逃げないといけなかったんだろうなと思うと今更ながらに冷や汗が出るわ。
戻ったら、丁度子供達の服も手直しが終わったところだったので、お金を払って店主のナイーザさんにお礼を言ってから、子供達を引率しつつ村長屋敷へ向かった。
「やっぱりベンリ村は都会だなあ」
正直な感想を述べる最果て村の子供達、もう村人幼児全開だね。
「まあ、こっちは普通の村だからね」
「アルフ村もこうだとよかったのになあ」
「アルフ村が、こうなっていけないという物じゃあないんだよ。ただ、昔の戦争のために作られた支援村が残されたのは、あの地を監視するためだけだから、王国から支援がないとか、場所が辺鄙過ぎて発展しなかったというだけだからね。
ここまでの街道も整備した事だし、何か有用な産業を起こしたら発展する余地はあるよ。ただ、要は多くのお客さんがあそこまで来てくれるかだねえ。フォミオみたいな優秀な従者がいる人ばかりじゃないので」
うーん、これはちょっとなんとかしないといけないかな。一応、俺だって村に住まわせている身の上なので。
「そうだね。まあ仕方なし、王国で一番の辺境だもんね」
「なんだ、諦めがいいなあ」
「だって、そこまで苦労して頑張っても報われる見込みが薄いんだもの。それだったら、ここベンリ村で何かやった方がまだいいよ。靴屋のブートンさんだってそうしたんでしょう?」
「ははは、そりゃあそうだ」
うーん、焼き締め村出身幼児の達観した意見に反論の余地なし! でもやっぱり、ちょっと寂しいよな。
「さあ、村長屋敷を見せてもらおうぜ」
そして行った先は案の定、聞いていた通りの少し大きいだけの普通の家だった。子供達が些かがっかりしていたので、頭をぐりぐりしてやった。
「もう、ここが普通の家だということくらい最初っからわかっているだろ。さあさあ」
「だって、やっぱり村長さんの家なんだもん、ちょっとは期待するよ~」
「まあ、ここだって辺境の村には違いないんだけど」
「むしろ、ここが本来の辺境の村なのであって、僕らの村は普通ならありえないような、さらにその一歩外なんだもん」
そ、そこまで言うなよ~、自分の村なんだからさ。それでさえも辿り着いた頃の俺にとっちゃあ、まさに地獄に仏っていう感じだったんだからね。
いや、むしろ日本で生きてきた俺にはログハウスで出来た高級別荘地に来たような錯覚すら覚えたんだぜ。まあよく見れば、粗末な山小屋でしかない事は、すぐに見て取れたんだけどさ。
「こんにちはー」
「「「こんにちは!」」」
「おや、こんにちは」
体の具合のせいで立つのが億劫なので、勝手に入ってきてくれと言われていたので、全員でお言葉に甘えて上がり込んだ。
フォミオは外だ、この普通の家は多分あいつの耐重に耐えられない。
こいつの耐重に耐えられるカイザの家がありえない頑丈さなのだ。ああいうふうに過剰品質な家を建ててしまうのは、危機管理意識の高い騎士だからなのかねえ。
「じゃあ、みんな。村長同士の会合を見学していきなさい。何か意見があったら言ってもいいよ」
「あ、わしはまだ村長じゃないんですがね」
「ほっほっほ、まあ実質的にはお前さんが村長じゃろう。彼も体の方は、わし同様の状態じゃからな。じゃが、生きている間にもう一度旧知の彼に会ってみたいもんだ」
「じゃあ、お祭りの時にはなんとかしてお連れいたしますよ。やっぱり合同企画なのに両村の村長が揃わない事には様にならないでしょうから」
「おお、そうかね。そうしてもらえれば嬉しいのう」
「いや、しかしカズホ。うちの親父殿は荷馬車の振動が腰に来るからな」
「まあ、そこは任せておいてくださいよ。勇者の知恵袋ぶりを御覧あれ」
「そうか、じゃあ頼んだよ」
それから、子供達も交えてディスカッションのような打ち合わせをして有意義に会合は終わりを告げた。
俺は子供達の意見も取り入れて何かを考える事にした。それは主に子供達も何か催しを企画して、積極的に参加してみたいというものだった。
「よし、じゃあみんなで考えてみようか。フォミオも手伝ってくれるからな」
それから女将さんの店で、御土産に持ち帰った卵なども大量に用いた、内容を子供向けに振ったランチメニューを皆で楽しみ、雑貨コーナーで御土産も仕入れてイベント終了となった。
何故だか知らないのだが、子供達には大変有意義であった将来を見据えるような社会見学まで含む事になった子供会行事を終えて、無事に村まで帰ったのであった。
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