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第二章 はずれスキルの冒険者
2-31 スカウト
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「えーーーっ」
もう力を失い、二度と驚きの声さえも上げられなくなっただろう俺の収納の中にいるゲンダスに代わり、愛しの泉ちゃんが派手に驚いてくれた。
我が彼女ながら、実にいいリアクションだぜ。そういうところも大好き!
「はは、あのザムザの魔核は既に俺のネームドモンスターだったのさ。でも、どうにもうまくザムザ本体を復活させられなくてねえ、困っていたところなので、まったくもって渡りに船だったぜ。
ザムザは名を付けた相手には最高の忠義を示すと言っていたし、いやはや最高の部下が手に入ったものだ。今度はザムザ1に命じてゲンダス1のボディを復活させればいいだけだしな。
これで俺のネームド魔物第三号も手に入った事だし、いやあ目出度し目出度し」
「えーっ、何なのよ、それは~。いくらなんでも滅茶苦茶過ぎるでしょうがあ」
俺は彼女の抗議に取り合わず、よく働いてくれた部下に労いの声をかけた。
「ご苦労だったな。俺の元に戻れっ、ザムザ1」
そして光の軌跡と共に魔核に戻ったザムザ1は、俺の掌の中に魔核の状態で収まった。
こうして復活したザムザの魔核を手にすると魔核がアクティブになっているのがはっきりとわかるな、これも眷属化したせいなのか。
フォミオのような通常で生きているネームドの眷属は収納に仕舞ったりできないが、こいつらは魔核に戻して収納に仕舞えるから助かる。
今ならわかる、こいつらは好きな時に俺の配下の魔人として外に出せるものなのだ。孤軍奮闘なハズレ勇者の俺としては、新戦力が手に入ったのは悪くない収穫だったな。
ここまでの仲間は非戦闘系が多いからなあ。何かある度に俺が孤軍奮闘で仲間ごと激しく窮地に陥るのだ。今度から、絶対に守らないといけない大事な人も出来たので大助かりだぜ。
「広場の皆さん、魔王軍の大幹部たる魔人は勇者の手で討伐しましたのでご安心ください」
だが少なくとも、どう見ても自分の手で討伐していない俺の台詞に皆がざわめいていたのだが、俺は構わずに【石畳の修復】にかかった。
「いや、被害が少なくって助かったなー。あの魔人が石畳とか壊したら直すのは俺の仕事なんだぜ、まったく割に合わないなんてものじゃないんだから。手遅れにならないうちに決着がついて実によかったことだ」
俺は壊れた石畳の欠片を収容し、自分で持っているいろいろな大きさや厚さの各種石畳を用意し、収納で削ったり土を盛ったり岩で叩き直したりなどで整地した路面に、色合いの良さそうな石を仮配置した。
後は目地を埋めないといけないが、後でフォミオを呼んでこよう。あいつにかかれば、あっという間に終了する作業なのさ!
「あー、手遅れってそういう意味かあ。よかったね、まだ作業量が少なくて済んで。それにしてもあんた器用ねー」
「ああ、辺境の街道整備をやっているんで、こういう作業はお手の物さ。自動車の塗装工程だとタッチアップっていうのかな、自動車の塗装した表面の不具合を修正して焼き付け塗装したりする工程なんだけど。
どうしても路面が一発でスキッと仕上がらなくて、こういう作業が残っちゃうんだよね。アルフ村からここまで街道整備したいのさ。そうしたら、ここまで村から一日で往復できちゃうぞー」
それを見て、さきほどの俺の隣にいた紳士が大笑いで声をかけてくれた。
「いや傑作傑作、これが異世界の勇者という者の本領なのか。召喚勇者というものは、まったくとんでもない人種だな」
「あなたは誰? 俺はこれから宿にいる助手を呼んできて、ここの補修をやらせないといけないのですが」
少なくとも、ザムザだのゲンダスなどにやらせても、フォミオほどこの手の仕事が上手にはできそうにはない。うちは適材適所で頑張るファミリーなのだ。
「ああ失礼、勇者カズホ。私はこの街の冒険者ギルドのギルドマスター、ドレイクです。よろしければ、うちのギルドへ来て冒険者資格をお取りになりませんか? ギルド株取得などの費用は一切免除、ギルマス推薦による特別入会枠でいかがでしょう」
「へえ? やけに気前がいいんだな。冒険者ギルドは非常にプロフェッショナルな職業的集団なんで、条件が厳しくて入会はかなり難しいと聞いていたのだが」
俺はその笑顔の紳士を若干値踏みするような感じで眺めていたが、泉が笑いながら解説してくれた。
「ああ、うちでもさあ、あまりご用命のない勇者とかは冒険者ギルドにスカウトされている奴もいるんだよね。向こうは勇者が入ってくれて箔が付くしさ。あまりパッとしない勇者なんかは、割と暇な時間に冒険者するなら、それなりに稼げるし結構チヤホヤしてもらえるしね!」
「うわあ、なんて世知辛いんだ。冒険者っていう言葉には男のロマンとか感じていたのに、これじゃ夢も希望もあったもんじゃないなあ。あー、でも俺もやってみてもいいかな、冒険者」
「それは嬉しいですね。いやあ、こんなところを今頃ウロウロしているところをみると、いつの時代にもいるというハズレ勇者という奴なのかなと思って拝見させていただいていましたが、何の中々の勇者ぶり。是非スカウトさせていただきたいなと思いまして」
「あんた、正直過ぎだよ! せっかく芽生えかけていた冒険心が全部台無しさー」
だが、彼と泉の醸し出すステレオな笑顔に、ただ頭を振るだけの俺なのだった。
もう力を失い、二度と驚きの声さえも上げられなくなっただろう俺の収納の中にいるゲンダスに代わり、愛しの泉ちゃんが派手に驚いてくれた。
我が彼女ながら、実にいいリアクションだぜ。そういうところも大好き!
「はは、あのザムザの魔核は既に俺のネームドモンスターだったのさ。でも、どうにもうまくザムザ本体を復活させられなくてねえ、困っていたところなので、まったくもって渡りに船だったぜ。
ザムザは名を付けた相手には最高の忠義を示すと言っていたし、いやはや最高の部下が手に入ったものだ。今度はザムザ1に命じてゲンダス1のボディを復活させればいいだけだしな。
これで俺のネームド魔物第三号も手に入った事だし、いやあ目出度し目出度し」
「えーっ、何なのよ、それは~。いくらなんでも滅茶苦茶過ぎるでしょうがあ」
俺は彼女の抗議に取り合わず、よく働いてくれた部下に労いの声をかけた。
「ご苦労だったな。俺の元に戻れっ、ザムザ1」
そして光の軌跡と共に魔核に戻ったザムザ1は、俺の掌の中に魔核の状態で収まった。
こうして復活したザムザの魔核を手にすると魔核がアクティブになっているのがはっきりとわかるな、これも眷属化したせいなのか。
フォミオのような通常で生きているネームドの眷属は収納に仕舞ったりできないが、こいつらは魔核に戻して収納に仕舞えるから助かる。
今ならわかる、こいつらは好きな時に俺の配下の魔人として外に出せるものなのだ。孤軍奮闘なハズレ勇者の俺としては、新戦力が手に入ったのは悪くない収穫だったな。
ここまでの仲間は非戦闘系が多いからなあ。何かある度に俺が孤軍奮闘で仲間ごと激しく窮地に陥るのだ。今度から、絶対に守らないといけない大事な人も出来たので大助かりだぜ。
「広場の皆さん、魔王軍の大幹部たる魔人は勇者の手で討伐しましたのでご安心ください」
だが少なくとも、どう見ても自分の手で討伐していない俺の台詞に皆がざわめいていたのだが、俺は構わずに【石畳の修復】にかかった。
「いや、被害が少なくって助かったなー。あの魔人が石畳とか壊したら直すのは俺の仕事なんだぜ、まったく割に合わないなんてものじゃないんだから。手遅れにならないうちに決着がついて実によかったことだ」
俺は壊れた石畳の欠片を収容し、自分で持っているいろいろな大きさや厚さの各種石畳を用意し、収納で削ったり土を盛ったり岩で叩き直したりなどで整地した路面に、色合いの良さそうな石を仮配置した。
後は目地を埋めないといけないが、後でフォミオを呼んでこよう。あいつにかかれば、あっという間に終了する作業なのさ!
「あー、手遅れってそういう意味かあ。よかったね、まだ作業量が少なくて済んで。それにしてもあんた器用ねー」
「ああ、辺境の街道整備をやっているんで、こういう作業はお手の物さ。自動車の塗装工程だとタッチアップっていうのかな、自動車の塗装した表面の不具合を修正して焼き付け塗装したりする工程なんだけど。
どうしても路面が一発でスキッと仕上がらなくて、こういう作業が残っちゃうんだよね。アルフ村からここまで街道整備したいのさ。そうしたら、ここまで村から一日で往復できちゃうぞー」
それを見て、さきほどの俺の隣にいた紳士が大笑いで声をかけてくれた。
「いや傑作傑作、これが異世界の勇者という者の本領なのか。召喚勇者というものは、まったくとんでもない人種だな」
「あなたは誰? 俺はこれから宿にいる助手を呼んできて、ここの補修をやらせないといけないのですが」
少なくとも、ザムザだのゲンダスなどにやらせても、フォミオほどこの手の仕事が上手にはできそうにはない。うちは適材適所で頑張るファミリーなのだ。
「ああ失礼、勇者カズホ。私はこの街の冒険者ギルドのギルドマスター、ドレイクです。よろしければ、うちのギルドへ来て冒険者資格をお取りになりませんか? ギルド株取得などの費用は一切免除、ギルマス推薦による特別入会枠でいかがでしょう」
「へえ? やけに気前がいいんだな。冒険者ギルドは非常にプロフェッショナルな職業的集団なんで、条件が厳しくて入会はかなり難しいと聞いていたのだが」
俺はその笑顔の紳士を若干値踏みするような感じで眺めていたが、泉が笑いながら解説してくれた。
「ああ、うちでもさあ、あまりご用命のない勇者とかは冒険者ギルドにスカウトされている奴もいるんだよね。向こうは勇者が入ってくれて箔が付くしさ。あまりパッとしない勇者なんかは、割と暇な時間に冒険者するなら、それなりに稼げるし結構チヤホヤしてもらえるしね!」
「うわあ、なんて世知辛いんだ。冒険者っていう言葉には男のロマンとか感じていたのに、これじゃ夢も希望もあったもんじゃないなあ。あー、でも俺もやってみてもいいかな、冒険者」
「それは嬉しいですね。いやあ、こんなところを今頃ウロウロしているところをみると、いつの時代にもいるというハズレ勇者という奴なのかなと思って拝見させていただいていましたが、何の中々の勇者ぶり。是非スカウトさせていただきたいなと思いまして」
「あんた、正直過ぎだよ! せっかく芽生えかけていた冒険心が全部台無しさー」
だが、彼と泉の醸し出すステレオな笑顔に、ただ頭を振るだけの俺なのだった。
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