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辿々しく体を這う鷲尾の指先にアンナの体は小さく震える。いつもは赤ん坊のように吸う乳首を、今日は舌で転がしては甘噛みをされた。
「あ……っ、んあ……鷲尾さん……鷲尾さん、好き、好き……」
アンナは何度も鷲尾の名を呼び、鷲尾の背中を掻き抱く。
「アンナ……好きだ」
その言葉と同時に鷲尾のモノがゆっくりとアンナの中に入ってきた。
「あぁ……! いい……気持ちいい……」
緩やかに律動を繰り返しながら、時折深くキスをされる。
「鷲尾さんも、気持ちいい……?」
アンナは蕩けきった顔を鷲尾に向けた。鷲尾は眉間にシワを寄せ、すぐ果てそうになるのを我慢しているように見える。
「おまえの中……気持ち良すぎて……すぐ、イっちまいそうだ……」
「いいよ、何回でも俺の中でイッて……」
「アンナ……」
鷲尾はアンナを抱き込んだ。アンナは自ら腰を動かし鷲尾のを中で擦ると、鷲尾はタガが外れたように腰を激しく打ち付けた。
「あっ! あっ……! いい……! 奥……当たって、気持ちいい……鷲尾さん……もっと!」
チカチカと目の前がスパークし、快感で意識が飛びそうになる。
鷲尾はギリギリまで自分のモノを抜くと、それを奥まで一気に入れた。
「あぁ……っ! んっ……」
アンナの中心は触れる事なく吐精してしまった。それと同時に鷲尾の精液がアンナの奥に注ぎ込まれたのを感じた。
互いに吐精すると、繋がったまま深くキスをした。
二人はベッドに横たわると、アンナは鷲尾の逞しい胸に頭を乗せた。鷲尾はアンナの髪を優しく撫で、その心地よさに眠気が襲った。
「……結婚は良かったの?」
「ああ……おまえを好きだって自覚して、何とか断る口実探したんだが、結局、相手に童貞だって言ったらドン引きされた」
「言ったの?!」
アンナの眠気が吹っ飛んだ。
「そう言えばその気がなくなると思ったからな。でも、向こうも好きな男がいるとかで、元々乗る気じゃなかったらしい。まあ、四十のオヤジとなんか結婚したくないわな」
「俺はどんなおじいちゃんになっても、鷲尾さんが好きだよ?」
その言葉に鷲尾はフッと笑い、アンナの頭を撫でる。
「それの後始末しに大阪行ってて、連絡できなかった。悪かったな」
「本当に……破談にして良かったの? 俺でいいの?」
その女性と結婚した方がヤクザとして鷲尾は出世できたはずだ。
「もう、おまえしか興味ない」
鷲尾はそっとアンナの頬に触れた。
その手を握ると、
「俺ね、男で良かったって思うんだ」
「なんでだ?」
「だって、男だったからこうして鷲尾さんと一緒にいられたと思うから」
「そうかもしれない……いや、意外に男でも女でもアンナだったら結果は同じだったかもしれない。だから、男とか女とかはどっちでもいい。おまえがいいんだ」
そう言って互いに唇を寄せた。
これ以上ない言葉に、アンナは涙ぐみ顔を伏せた。
「アンナ……」
呟くように鷲尾が呼び、顔を上げると、
「何年後になるか分からんが、俺が足洗ったら、二人で美味いコーヒーを出す喫茶店でもやろう」
自分にしか見せないであろう、優しい表情を浮かべ言った。
その言葉にアンナの目に涙が浮かぶ。それにグッと堪えると、満面の笑みを鷲尾に向けた。
「うん! 絶対やる! 俺、結構コーヒー詳しくなってきたんだー。あっ! コーヒーと一緒にお菓子とかケーキとか出したい」
「いいな」
「店の名前何にする?」
アンナはうつ伏せになり両足をバタつかせ、機嫌良く満面の笑みを浮かべている。
「名前は決まってる」
「え? 何? なんて名前?」
意味深に間を置くと、
「アンナ」
そう言った。
「アンナ? 俺の名前?」
アンナはキョトンとした顔をしている。
「ああ、アンナは鷲と恵みだから、正確には俺とおまえの名前だ」
「うん……いい、凄く」
こんなに幸せでいいのかとアンナは思う。二十一年間生きてきた中で最高に幸せな時間だと確信する。鷲尾もそうだといいと思う。
アンナは鷲尾に抱きつくと、
「鷲尾さん、お願いがあるんだけど」
耳元でアンナは言う。
「なんだ?」
「いつか、俺の童貞もらって?」
「は⁈」
その言葉に鷲尾は目を丸くする。
「俺、処女ではないけど、童貞なんだー」
「そ、そうだったのか……ていう事は、俺が掘られるって事か……」
その真実に鷲尾は動揺しているのが、咥えたタバコに上手く火が点かない。
「そういう事だね」
アンナは鷲尾からライターを奪うと、一回で火を灯し鷲尾のタバコに近付けた。
「そ、そのうちな……」
「優しくするね!」
チラリとアンナを見れば、キラキラと期待に満ちた目を向けている。
(心と穴の準備、しておかないとな……)
もの凄く気が重かったが、愛するアンナに言われては、観念するしかないと鷲尾は思った。
いつものように鷲尾は自分の為にコーヒーを煎れてくれた。とても優雅な時間だとアンナは思う。煎れてくれたこのコーヒーのように甘くて、少し苦くて、アンナにとって幸せな日々が、これからはずっと続くのだ。
end
「あ……っ、んあ……鷲尾さん……鷲尾さん、好き、好き……」
アンナは何度も鷲尾の名を呼び、鷲尾の背中を掻き抱く。
「アンナ……好きだ」
その言葉と同時に鷲尾のモノがゆっくりとアンナの中に入ってきた。
「あぁ……! いい……気持ちいい……」
緩やかに律動を繰り返しながら、時折深くキスをされる。
「鷲尾さんも、気持ちいい……?」
アンナは蕩けきった顔を鷲尾に向けた。鷲尾は眉間にシワを寄せ、すぐ果てそうになるのを我慢しているように見える。
「おまえの中……気持ち良すぎて……すぐ、イっちまいそうだ……」
「いいよ、何回でも俺の中でイッて……」
「アンナ……」
鷲尾はアンナを抱き込んだ。アンナは自ら腰を動かし鷲尾のを中で擦ると、鷲尾はタガが外れたように腰を激しく打ち付けた。
「あっ! あっ……! いい……! 奥……当たって、気持ちいい……鷲尾さん……もっと!」
チカチカと目の前がスパークし、快感で意識が飛びそうになる。
鷲尾はギリギリまで自分のモノを抜くと、それを奥まで一気に入れた。
「あぁ……っ! んっ……」
アンナの中心は触れる事なく吐精してしまった。それと同時に鷲尾の精液がアンナの奥に注ぎ込まれたのを感じた。
互いに吐精すると、繋がったまま深くキスをした。
二人はベッドに横たわると、アンナは鷲尾の逞しい胸に頭を乗せた。鷲尾はアンナの髪を優しく撫で、その心地よさに眠気が襲った。
「……結婚は良かったの?」
「ああ……おまえを好きだって自覚して、何とか断る口実探したんだが、結局、相手に童貞だって言ったらドン引きされた」
「言ったの?!」
アンナの眠気が吹っ飛んだ。
「そう言えばその気がなくなると思ったからな。でも、向こうも好きな男がいるとかで、元々乗る気じゃなかったらしい。まあ、四十のオヤジとなんか結婚したくないわな」
「俺はどんなおじいちゃんになっても、鷲尾さんが好きだよ?」
その言葉に鷲尾はフッと笑い、アンナの頭を撫でる。
「それの後始末しに大阪行ってて、連絡できなかった。悪かったな」
「本当に……破談にして良かったの? 俺でいいの?」
その女性と結婚した方がヤクザとして鷲尾は出世できたはずだ。
「もう、おまえしか興味ない」
鷲尾はそっとアンナの頬に触れた。
その手を握ると、
「俺ね、男で良かったって思うんだ」
「なんでだ?」
「だって、男だったからこうして鷲尾さんと一緒にいられたと思うから」
「そうかもしれない……いや、意外に男でも女でもアンナだったら結果は同じだったかもしれない。だから、男とか女とかはどっちでもいい。おまえがいいんだ」
そう言って互いに唇を寄せた。
これ以上ない言葉に、アンナは涙ぐみ顔を伏せた。
「アンナ……」
呟くように鷲尾が呼び、顔を上げると、
「何年後になるか分からんが、俺が足洗ったら、二人で美味いコーヒーを出す喫茶店でもやろう」
自分にしか見せないであろう、優しい表情を浮かべ言った。
その言葉にアンナの目に涙が浮かぶ。それにグッと堪えると、満面の笑みを鷲尾に向けた。
「うん! 絶対やる! 俺、結構コーヒー詳しくなってきたんだー。あっ! コーヒーと一緒にお菓子とかケーキとか出したい」
「いいな」
「店の名前何にする?」
アンナはうつ伏せになり両足をバタつかせ、機嫌良く満面の笑みを浮かべている。
「名前は決まってる」
「え? 何? なんて名前?」
意味深に間を置くと、
「アンナ」
そう言った。
「アンナ? 俺の名前?」
アンナはキョトンとした顔をしている。
「ああ、アンナは鷲と恵みだから、正確には俺とおまえの名前だ」
「うん……いい、凄く」
こんなに幸せでいいのかとアンナは思う。二十一年間生きてきた中で最高に幸せな時間だと確信する。鷲尾もそうだといいと思う。
アンナは鷲尾に抱きつくと、
「鷲尾さん、お願いがあるんだけど」
耳元でアンナは言う。
「なんだ?」
「いつか、俺の童貞もらって?」
「は⁈」
その言葉に鷲尾は目を丸くする。
「俺、処女ではないけど、童貞なんだー」
「そ、そうだったのか……ていう事は、俺が掘られるって事か……」
その真実に鷲尾は動揺しているのが、咥えたタバコに上手く火が点かない。
「そういう事だね」
アンナは鷲尾からライターを奪うと、一回で火を灯し鷲尾のタバコに近付けた。
「そ、そのうちな……」
「優しくするね!」
チラリとアンナを見れば、キラキラと期待に満ちた目を向けている。
(心と穴の準備、しておかないとな……)
もの凄く気が重かったが、愛するアンナに言われては、観念するしかないと鷲尾は思った。
いつものように鷲尾は自分の為にコーヒーを煎れてくれた。とても優雅な時間だとアンナは思う。煎れてくれたこのコーヒーのように甘くて、少し苦くて、アンナにとって幸せな日々が、これからはずっと続くのだ。
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