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第463話 イーノック王国3

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第463話 イーノック王国3

俺は魔族と対峙している。

相手は2人で強い奴が1人いる。

本当は魔族だって、人種が違うだけで人族であるわけだ。

でも、根本的に考えが違うから、話し合いもできない。

俺は勇者の聖剣を抜いているし、相手も剣を抜いている。

時間をかけるべきじゃないと思って、俺から動き始める。

聖剣を構えて突進していくけど、同時に手の平にミニファイヤーボールを作った。

このミニファイヤーボールは、大きいものと比べて威力は格段に上だ。

炎で焼くよりも爆発させて木っ端微塵にしていく魔法だ。

右手の聖剣で相手の1人に切りつけながら、もう1人には、ミニファイヤーボールを投げつける。

聖剣で切り付けた方は俺の刀を防いだが、ミニファイヤーボールを投げつけた奴は爆発して燃え上がった。

「ぎゃ~」と言う悲鳴が部屋に響き渡る。

「キサマ、許さんぞ、よくも俺の弟を‥‥‥」

自分の兄弟が殺されたら怒りを発するのに、人を殺しても何も感じないのかな」

「お前の弟か? 可哀想なことをしたな」

「お前がやったんだろ、許さんぞ」と凄んでいる。

俺が突進していくと、またや剣と剣で格闘となった。

このままじゃ、ラチがあかないから聖剣に魔力を流す。

聖剣に魔力を流し始めると青く光っていた聖剣が、さらに光を増していく。

それをじっと見つめている魔族。

奴もわかっているみたいだ、次に剣を合わせる時が決戦だと。

俺たちは剣を構えながらスキを伺いながら横移動する。

お互いに横移動しながらスキを伺う。

俺が、一瞬、チラッと死んだ奴の方を見た。動いた感じがしたからだ。

その隙を狙って、魔族は上空にアイススピアを大量に作り、同時に発射させ、剣を持って突進してきた。

俺はファランクスを展開してアイススピアを防ぎながら、魔族の突進には、聖剣で対応したけど、魔族の剣を聖剣が切り裂いてしまう。

先ほどの剣とは、切れ味が違う。

剣が真ん中あたりから真っ二つになり、短い方を持ちながら切られた剣を見ている。

魔族は剣を折られらので、異空間から違う剣を取り出した。

そして「お前、なんだ、その剣?」

「さっき言ったじゃないか、聖剣だって」

「聖剣でも、レベルが違うすぎるだろ」

「まぁ、聖剣でも色々あるのさ」

「そんな聖剣、聞いたこともないぞ、聖剣といえば、以前、俺が戦った奴が持っていた勇者が聖剣を持っていたが、その形の聖剣は初めて見るぞ」

「へー、以前、勇者と戦ったことがあるんだ」

「俺も魔族の世界では長生きの方だからな、1000年前にあった勇者は青く光る剣を持っていたが、そこまで強くなかったから、瞬殺したな」

「お前、1000歳なのかよ」

「うるさい」と言葉が返ってきたが、睨み合いは続いている。

魔族は長生きらしいから、1000歳でも普通に見た目なのかな?

とても高齢者には見えない。

次の動きで決まる。

俺たちは睨み合いながら、どちらが先に動くか?

魔族は剣を上段に構えている。

魔族が体がゆっくりと動き出す、しかし急に早い動きに変わって突進してくる。

突進してきながら、魔法の発動はない、剣で俺を斬るつもりらしい。

大きく上段に構えながら、剣を振り下ろしてくる。

しかし、振り下ろされた剣が消えた。

でも奴の腕は、そのままの状態で俺に近づいてくる。

俺は探知魔法で空間の淀よどみがないか、確認してみると俺の後方に淀みができている。

奴の剣が後方の淀みから出てくる。

俺は冷静に横に瞬間転移しようとしたけど、しかし、それを予想していたのか、横にも淀みができている。

俺は今まで使ったことも考えたこともない魔法を使った。

その魔法の原理も知らないし、使い方も知らないのに時間を停めてしまった。

じっくり魔族が使った魔法を見てみると、俺の後ろ、左、右と淀よどみができている。

なるほど、うまい作戦だな。

奴は俺の後ろと左と右からも剣が出てきている。

仕方ないので、俺は奴の後方に瞬間転移した。

奴は剣を分散もできるみたいで、一瞬の判断の違いで刺されていたかもしれない。

後ろから刺すのは、気がひけるが、ここは諦めてもらう。

俺は奴の背後から剣を大きく上段に構えて魔族を真っ二つにしてしまった。

魔族が息絶えたことを確認する。

でも、今までに経験したことがない戦い方だ。

そしてすぐにジャネットと念話をつなげる。

「ジャネット、こっちは終わったけど、どう?」

「あっ、はい、ご主人さま、こちらもあと少しです」

「手伝おうか?」

「いいえ、大丈夫です、疲れもない程度の魔族しかいませんでしたので」

「うん、わかった、終わったら連絡してね」

「はい、ご主人さま」と言って念話を切った。

今は、魔族に乗っ取られた城から排除しているところだけど、魔族でも人種を殺すのは気分がいいものじゃない。

しかし魔族ってツノと羽が生えている。顔も人間の色とずいぶん違っている。

そして爪が伸びている。

こんな爪してたら細かい作業ができないだろう。



俺たちは城から魔族を排除することに成功した。

あとは解放された人にしてもらう必要があるから、メンバーを残して、街から魔族が入ってこないようにして、一度、山に戻った。

そこには助けた王様と王子とキャサリン姫がいるけど、そういえば王妃の姿がない。

「あの、王妃様は?」

「ああ、妻は魔族に抵抗して死んでしまったよ」

「そうですか、残念です、お悔やみ申し上げます」

「うん、ありがとう、ところで勇者どの?」

「はい、なんですか?」

「私はいまだに勇者殿がいることが信じられんのだが」

「お父様、それはさっきから説明しているじゃありませんか」

「イヤな、それでも娘の説明を聞いても、いまだに魔族に立ち向かえる勇者がいるなんて、信じられんよ。
それも、あの勇者物語に出てくる勇者が実在しているなんて、誰も信じんよ。
本当に実在する物語の主人公にあっても、信じられん。
でも、信じるに値する状況になっていることは理解しておる。
しかし、物語に出てくる勇者は突拍子もない魔法力を秘めていて空を飛ぶこともできるし人に見えないように透明の魔法を使っているんだぞ。
しかし現実に私は城の牢屋にいたのに、ここにいる」

「そうですよ、お父様」

「うん、信じるしかない」とイアン王子

「城の地下にある神殿の中や壁画に書いてある人、そのままじゃないか?」

「私も、そう思います」とキャサリン姫

「ええ、そこは驚きですね」とイアン王子

全員が俺の顔をまじまじと覗き込んでみる。

「なんなに、壁画の顔はそっくりですか?」

「うん、似ているというよりも同一人物だな」

「はい」
「そうだね」

これは、やっぱり見てみるしかないよね。



俺たちは、悲惨な城に瞬間転移してきた。

多くの血が流れた城には、血の匂いがしているので窓は全解放されている。

風は吹いているけど、血の匂いがする。

俺たちは隠れていた山から全員で瞬間転移してきたら、そこには、ジャネットたちの姿があった。

「こちらが今回の立役者のメンバーです」と全員に紹介する。

紹介されると、みんなが押し寄せて握手やお礼を言われている。

「お前たち、嬉しいのはわかるが、仕事が待っているぞ」と王が号令をかける。

助けた人たちは、城のあらゆるところに散って作業に入る事になる。

この部屋も酒瓶だらけ。

壊されたり汚れたりしているから大変だ。

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