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第321話 大公国の戴冠式準備(前半)

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第321話 大公国の戴冠式準備(前半)

人身売買に関係した国であるブラッドフォード大公国で王の戴冠式が行われる。

ブラッドフォード大公国はセラフィーナが誘拐されて捕られたところで、セラフィーナには、ツラい思いをすることもあると思うけど、いつまでも過去を引きずって生きてはいけない。

前を向いていくことは、言葉で言えば簡単だけど、受けた記憶は消えることはない。

それは他人には、わからないツラいことでもあり、恐怖でもあるから。

恐怖に負けてしまうと、引きこもるしかないけど、セラフィーナは、あの時、決意して俺の手を取ってくれた。


まだ、10日あるので、招待する国は大変だが、招待される人は、そうでもない。

戴冠式の数日前に、到着しておけばいいと思う。

俺の話だって、数時間もかからないだろうから。

受け入れる側の様子を見にきている、話だけだったら、通信魔法道具でできるけど、直に話も聞いて置きたいから。

王の手が空いていればと思って聞いてきてもらったんだけど、先ほの人の後ろに、ハワード王子がいた。

「神よ、呼んでくだされば、すぐにもお伺いします」と言って床に膝をついた。

それを見て、呼んでくれた人も、膝をついた。

二人して膝をつくから、歩いている人も、足を止めて床に膝をついた。

もう、めんどしいから、王様だけ部屋の中に入ってもらった。

それを見ていたメンバーがクスクス笑っている。

ハワード王子(まだ、王じゃない)は、部屋に入っても、恭しく接してくれる。

すぐに部屋に紅茶とお菓子を持って来させた。

「ハワード王子、戴冠式の準備は進んでいますか?」

「はい、今のところ、遅れることなく進んでおります」

「では、戴冠式に出席する国の人は、いつきてもらいましょうか?」

「そうですね、あまりに早くきてもらっても、暇でしょうから、戴冠式の前日ではどうでしょうか?」

「うん、それくらいがいいと思うね」

「じゃ、前日の午前中につけれ来るから」

「はい、わかりました、あっ、それと、私のことはハワードと呼び捨てにしてください」

「えっ、でも王様になるんだよ」

「いえ、構いません、皆、クリス様のことは知っております。そしてあなたは、盟主ですから、王の私よりも上ですから、そんなことは構いません」

「じゃ、ハワード」

「 はい‥‥‥あぁ、至福の喜び 」なんだかハワードは恍惚として嬉しそうな表情をしている。 疲れる奴

盟主って王よりも上なの??

盟主って名前だけで、使いパシリのような気がするけど。

こいつ、疲れるから、早めに切り上げよう、と思っていたら、

「クリス様、ぜひ、王都を見学してください、あれから王都もわかってきていますから、是非に、1日でもいいですから、王都を見て回ってください」

「あっ、う~ん、わかりました」これも付き合いだと思って、了承した。

じゃ、今日は、お城の部屋に泊まることになった。

忙しいから部屋に泊まることも、拒否したけど、ダメだった。

しかも、今日は歓迎の宴が行われることになってしまった。

もう、来るんじゃなかった。

俺たちは、宴の前に王都を散策することにした。

宴は夕方から行われるけど、気が重たい。

街までは、王族が乗る2台の馬車で送ってもらった、しかも、馬車は、ここで待っていると言うことを言われたので、馬車が待っているところまで行くと、お城まで送ってくれるそうだ。

慣れているから、何時間でも待つそうだ。

すごい、でも、本当は、お城までは、いつも通り、路地に入って瞬間転移できるんだけど、まぁ、せっかく送ってくれると言うので、馬車で往復することにした。

馬車から降りて歩き始めると、今日は、シャーロットとセラフィーナがいないんだった。

最近は、いつも、いたので、いないとなると、なんだか寂しいような。

神獣7人と、アリシア、ソフィア、イザベラ、コリンと王都を歩く。

もちろん、いつも通り、女性たちが前を歩き、俺が最後尾で歩いているけど、今日は、ちょっと違う。

違うのは、右側には、アリシアが腕を持って歩いている。

左側には、ソフィアが腕に胸を押しつけるように歩いている。

しばらくすると交代して、右腕にイザベラ、左腕にコリン、という感じになっている。

手じゃなくて、腕だよ、腕だと、どうなるか、わかるよね。

そうんなですよ、胸が腕に当たるんです!!

それだけじゃなく、体も密着してしまう。

それを神獣たちが、物欲しそうに見ている目が気になってしょうがない。

俺たちは体を密着させながら歩いている。

でも、こんな両手に女の子を伴って歩くなんて初めの経験だけど、いいような、悪いような‥‥‥歩きにくい。

前を歩いていくアリシアとソフィアは女性専門店を見つけてしまった。

「ねぇ、ここに入ろうよ」とアリシア

「うん、入ろう」とイザベラ

俺はイザベラとコリンに拉致状態で歩かされることになる。

最近は、イザベラも少し優しくなってきたんだよ。

昔は、よく拳骨ゲンコツで殴られたけどね。

コリンは、相変わらず無口だけど、俺の腕を掴むコリンは、嬉しそうな顔をしている。

イザベラも楽しそうに、俺を店へ引き摺りずり込んでいく。

楽しそうにしている二人を見ていると、俺もしょうがないと言う感じになる。

でも、率先して入って行かないよ。

そして、君には、これが似合うだろうと言って、刺激が強いのを薦める、なんてことはないよ。

なんて、妄想を抱きながら、お店に入っていく。
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