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「フィリナージェ・ロンゼ様」
「はぃ」
見たこともないほどのエディオの真剣な眼差しにフィリナージェは怯む。
「改めて、私との婚約をお考えいただきたい。婚約解消したばかりで節操なしと思われるかもしれませんが、貴女と共に歩けるチャンスを逃したくはありません」
フィリナージェはびっくり顔をした後『ひらめいた!』と笑顔になった。
『あ……これ伝わってないわぁ……』
エディオは困り笑顔になるが、フィリナージェは考えを披露する。
「侯爵家のご次男様とはいえこの年齢になると新たな婿入り先を見つけるのはなかなか困難ですものね。
わたくしも全てにお断りすることには無理を感じてまいりましたの」
エディオは苦笑いを深めた。
「エディオ様でしたら気心も知れておりますしお力がお有りになることもわかっておりますから、理想的かもしれませんわね!」
「ありがとうございます……」
「父に相談して前向きに検討させていただきますわ」
「よろしくお願いします」
エディオはこの場で気持ちを理解してもらうことは諦めて前向きに微笑んだ。
二人で並んで歩きサロンへ行く。
五人は楽しそうに話をしており、二人もその和に加わった。
しばらくして女性たちが一旦席を外すことになった。
同窓生二人の男性は待ってましたと、エディオに詰め寄る。
「で? 首尾は?」
「んー、精査する一人には加えてもらえたかな?」
「なんだそれ?」
「ほら、フィリナージェ嬢は男どもを歯牙にもかけないって有名だろう」
ロンゼ公爵家からの釣書への定型文返信は男たちの間では有名な話であった。
「それよりは、いい返事をもらえたと思う」
「そうか。頑張れよ」
肩にポンと手を乗せられる。二人はウンウンとエディオを労うように頷いていた。
「好意をアピールするとブーメランになる恐れがあるんだからしかたない」
エディオはため息を漏らした。エディオは婚約者がいたのに淡い恋心をフィリナージェに抱いていたのだ。だが、貴族として恋や愛を諦めて領地経営に邁進する覚悟を持ってルーチェと婚約していた。
女性たちが戻ってきてしばらくすると解散になったが、男性三人はエディオの家で飲むことになった。レグレント侯爵家のサロンには沢山の料理が並べられ、三人はワインで半年ぶりの再会を改めて乾杯した。
とりとめもない話から自然にエディオの恋愛話になっていく。
「それにしても、ルーチェ嬢との婚約期間約一年で話したのは一度切りって普通じゃないぞ」
「僕の見た目が普通なところが嫌いだったらしい。学園では話しかけるなと言われていた」
気前のいいルーチェは男女問わず侍らせていたが、男子は皆見目がいい者たちばかりだった。
「手紙のやり取りは?」
「一度書いたが、モーロサリ侯爵家の執事殿がうちの屋敷まで来て『お嬢様にはこういうものは必要ではないとのご指示です』と言われた」
「プレゼントは?」
「僕のセンスは悪そうだから金を寄越せと執事殿を通して言われて、請求書が届くようになった」
「「お前さぁ……」」
二人の視線に耐えられなくなったエディオがワインを煽る。
「いつか、それ、フィリナージェ嬢に説明できる時がくるといいな」
「でもさ、エディオなら条件も素質もフィリナージェ嬢にとってもいいはずだ。人生これからなんだから『婚約してみたら好きになりましたぁ!』でいいんじゃないか?」
「だなっ! 政略結婚からの愛ある結婚生活ってのもあるんだ。そう思ってもらってもいいじゃないか」
二人は落ち込むエディオを懸命に励ました。
「はぃ」
見たこともないほどのエディオの真剣な眼差しにフィリナージェは怯む。
「改めて、私との婚約をお考えいただきたい。婚約解消したばかりで節操なしと思われるかもしれませんが、貴女と共に歩けるチャンスを逃したくはありません」
フィリナージェはびっくり顔をした後『ひらめいた!』と笑顔になった。
『あ……これ伝わってないわぁ……』
エディオは困り笑顔になるが、フィリナージェは考えを披露する。
「侯爵家のご次男様とはいえこの年齢になると新たな婿入り先を見つけるのはなかなか困難ですものね。
わたくしも全てにお断りすることには無理を感じてまいりましたの」
エディオは苦笑いを深めた。
「エディオ様でしたら気心も知れておりますしお力がお有りになることもわかっておりますから、理想的かもしれませんわね!」
「ありがとうございます……」
「父に相談して前向きに検討させていただきますわ」
「よろしくお願いします」
エディオはこの場で気持ちを理解してもらうことは諦めて前向きに微笑んだ。
二人で並んで歩きサロンへ行く。
五人は楽しそうに話をしており、二人もその和に加わった。
しばらくして女性たちが一旦席を外すことになった。
同窓生二人の男性は待ってましたと、エディオに詰め寄る。
「で? 首尾は?」
「んー、精査する一人には加えてもらえたかな?」
「なんだそれ?」
「ほら、フィリナージェ嬢は男どもを歯牙にもかけないって有名だろう」
ロンゼ公爵家からの釣書への定型文返信は男たちの間では有名な話であった。
「それよりは、いい返事をもらえたと思う」
「そうか。頑張れよ」
肩にポンと手を乗せられる。二人はウンウンとエディオを労うように頷いていた。
「好意をアピールするとブーメランになる恐れがあるんだからしかたない」
エディオはため息を漏らした。エディオは婚約者がいたのに淡い恋心をフィリナージェに抱いていたのだ。だが、貴族として恋や愛を諦めて領地経営に邁進する覚悟を持ってルーチェと婚約していた。
女性たちが戻ってきてしばらくすると解散になったが、男性三人はエディオの家で飲むことになった。レグレント侯爵家のサロンには沢山の料理が並べられ、三人はワインで半年ぶりの再会を改めて乾杯した。
とりとめもない話から自然にエディオの恋愛話になっていく。
「それにしても、ルーチェ嬢との婚約期間約一年で話したのは一度切りって普通じゃないぞ」
「僕の見た目が普通なところが嫌いだったらしい。学園では話しかけるなと言われていた」
気前のいいルーチェは男女問わず侍らせていたが、男子は皆見目がいい者たちばかりだった。
「手紙のやり取りは?」
「一度書いたが、モーロサリ侯爵家の執事殿がうちの屋敷まで来て『お嬢様にはこういうものは必要ではないとのご指示です』と言われた」
「プレゼントは?」
「僕のセンスは悪そうだから金を寄越せと執事殿を通して言われて、請求書が届くようになった」
「「お前さぁ……」」
二人の視線に耐えられなくなったエディオがワインを煽る。
「いつか、それ、フィリナージェ嬢に説明できる時がくるといいな」
「でもさ、エディオなら条件も素質もフィリナージェ嬢にとってもいいはずだ。人生これからなんだから『婚約してみたら好きになりましたぁ!』でいいんじゃないか?」
「だなっ! 政略結婚からの愛ある結婚生活ってのもあるんだ。そう思ってもらってもいいじゃないか」
二人は落ち込むエディオを懸命に励ました。
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