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第二章 ダルニア王国編

4.

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「ちょっ………やめてください。カルの視線が生々しく感じるのは気のせいですか?」

王宮の一室にて夜の晩餐のために用意したドレスを着用しているとカルが入ってきて次第に熱いまなざしで見つめてきた。
いやいやいや、ここには手伝ってくれている侍女もカルの後ろには一緒に入ってきたクラリスお兄様もいるんですよ!
そんな熱を帯びた眼差しで見つめられても困りますわ。
そもそも、着替えが終わってたからよかったものの下着姿だったらどうしてくれるんですか。

「リティがあまりにも綺麗で見惚れてたよ。俺の見立てはリティの良さを引き出して完璧だと思ってたが引き出しすぎたな。誰にも見せず俺の腕の中で俺のことしか考えられないようにしたいよ。」

何てことを言ってるんでしょう!?
明らかに『今すぐ抱きたい』と聞こえるのは気のせいですか?……いや、後ろにいるクラリスお兄様が呆れた顔をしてカルを見ているから合っているんでしょうね。
侍女達も意味がわかってるのか顔を真っ赤にしながら私の支度をしてくれてます………恥ずかしすぎて穴があったら入りたいわ。

「………このドレスとても綺麗です。胸元から首や肩にかけてレースの刺繍が施されて肌が隠れていて気になりませんわ。ドレスはシンプルなのに特に刺繍のレースが足元まで包んでくれてふんわりと柔らかなイメージがとても気に入りましたわ。淡いピンクのドレスに、金色の刺繍がキラキラ光って綺麗なんです。」

くるりと回ってカルとクラリスお兄様に嬉しくて見せてしまった。
嬉しくて回っちゃったけど子供みたいだったかしら?

「気に入ってるんだね、とっても似合ってるよ。」

「ふふ。クラリスお兄様の正装もとても素敵ですわ。」

そうなのだ!
クラリスお兄様めちゃくちゃかっこいいのです!!
容姿端麗、性格もいい、とても優良物件ですわ!!
妹でなかったら………家族じゃなかったら惚れてしまってます!!

「リティ。」

前世でクラリスお兄様が好きだったことを伝えてるせいかジト目で見てくるカルには私が何を考えてるのかわかってそうで………不機嫌になってますわ。

「カル、とても素敵なドレスありがとう。金色の刺繍がカルに包まれてるみたいで恥ずかしいですがとても居心地がいいんです。」

カルの手を包んで瞳を見つめながら伝えると、

「はぁ………仕方ないな。存分に俺に甘えてくれよ。」

後でお説教コースですかね?
機嫌を直すってことですよね。
カルが言うと生々しく感じるのは私だけ?
よし、苦笑いをしてやり過ごそう。
なによりも人前ですわ。

あいかわらず、侍女達は顔を真っ赤にして作業され、クラリスお兄様はジト目でカルを見ていた。

穴があったら入りたいわ。



ーーーーーーーーー
ーーーー


「お久し振りです、国王陛下に王妃様。晩餐へお招きいただきありがとうございます。共に短期留学する婚約者のリティアナ・ファシリック公爵令嬢とクラリス・ファシリック公爵令息です。」

クラリスお兄様と一緒に私はお母様直伝のカーテシーで挨拶をしてなんとか自己紹介は完璧?に終わったと思うわ。

「構えないでいいのよ、リティアナちゃん。くつろいで食べましょうね。」

「カルティド殿下、久し振りだな。前の式典の時以来か。今日は楽しもう。」

初めてお会いするダルニア王国の国王陛下と王妃様から開口一番に言われとても気さくな方で安心しましたわ。

マシューリ殿下もいるし少し目のやり場に困りながらも最初は普通に話してたけど、それよりも料理が美味しくてたまらないわ。

………違和感に気付いた時、目を見開いて私は微動だに動けなくなった。
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