39 / 45
第39話
しおりを挟む
「…………そういえば………………」
マキは、遅ればせながらも上着のポケットに入れていたはずの携帯を探した。
「…………あった。……なんで?普通はこんなもの、監禁するときに別にしておくものじゃないの?」
不思議に思いながら携帯のロックを外すと、110番通報しようとした。
「……………………あれ?なんで!?」
しかし、何故か通話アプリが起動しない。
それどころか、ネットにも繋げなくなっている。
もちろん、メールも送れない。
「………………………………………………………………」
……そういうことか。どうやったのかは分からないけれども、予め犯人たちは携帯に細工していたってことか。
だから、安心して元の場所に戻しておいた?
「…………人をおちょくるのも大概にしなさいよッッ!!」
激昂のあまり、手に持っていた携帯を地面に叩きつける。
「…………いけないっ!こんなことしてたら犯人に……………………」
マキが冷静になってそう呟いたとき、マキの背後の茂みからパーカーのフードを目深に被り、口元をマスクで覆い隠した男がのっそりと姿を現した。
「……いやああああああああああああああ!!」
その姿を見たマキは、絶叫を上げて後ずさった。
……犯人に見つかってしまった!!何とか逃げないと!!
踵を返して走ろうとしたマキの首筋に後ろから冷たい金属のようなものが押し当てられると、バチッッ!!という音と共に、マキの全身に電気が走り、マキはその場に昏倒した。
「……ったくっ!!手こずらせやがってっ!!
……フンッ!たっぷり可愛がってやるよっ!!」
失われていく意識の中で、この声、何処かで聞いたことがあるような気がする、とマキは思った。
◆ ◆ ◆ ◆
……………………………………………………………………。
………………………………………………。
………………………………。
マキは、頭に鈍い痛みを感じながら目を覚ました。
「………………………………………………………………」
そして、自分が再びベッドの上に拘束されていることを認識すると、言葉にならない絶望がマキに襲いかかった。
………………今度こそもうお仕舞いだ。
自分は千載一遇のチャンスを棒に振ってしまった。
マキの全身からフッと力が抜けていく。
ーーと、キィ、と音を立てて扉が開くと、目を真っ赤に充血させ怒りのあまり顔色がどす黒く染まった、パーカーを着てマスクをした男が一人入ってきた。
…………あれ?この人、どこかで……………………。
男はマキに近づくと、
「おいっっ!!お前っ!!サトミから渡されたバッグ、どこにやりやがったっっ!?」
その男の言葉に、私を逃がしてくれたあの女の人、サトミって名前なんだ、とボンヤリ、マキは思った。
……マキは、犯人から逃亡している最中、万が一のことを考えて、茂みにバッグを隠しておいたのだった。
そのことを頭の隅で思いだしながら、
「…………どうせ、これから私は殺されるんでしょ?……だったら、答える必要、ないじゃない…………」
マキは、プイ、と男から顔を逸らして呻くように答えた。
男は、マキの顎を右手で掴みながら、
「おいっ!テメエ、ふざけんじゃねえぞ!!」
と、詰め寄る。
しかし、もうすっかり気力の萎えたマキは、光の失われた虚ろな眼でそんな男をただ見つめるばかりで、一向に答えようとはしない。
マキの顎から乱暴に手を離すと男が言った。
「……上等じゃねえかっっ!それじゃあ、話したくなるまでゆっくり拷問タイムといこうじゃねえかっっ!!」
男は、シンクの上にあった一本のメスを取り上げると、込み上げる怒りを暴走しないよう、押さえ込みながらマキに再び近づいていった。
マキは、遅ればせながらも上着のポケットに入れていたはずの携帯を探した。
「…………あった。……なんで?普通はこんなもの、監禁するときに別にしておくものじゃないの?」
不思議に思いながら携帯のロックを外すと、110番通報しようとした。
「……………………あれ?なんで!?」
しかし、何故か通話アプリが起動しない。
それどころか、ネットにも繋げなくなっている。
もちろん、メールも送れない。
「………………………………………………………………」
……そういうことか。どうやったのかは分からないけれども、予め犯人たちは携帯に細工していたってことか。
だから、安心して元の場所に戻しておいた?
「…………人をおちょくるのも大概にしなさいよッッ!!」
激昂のあまり、手に持っていた携帯を地面に叩きつける。
「…………いけないっ!こんなことしてたら犯人に……………………」
マキが冷静になってそう呟いたとき、マキの背後の茂みからパーカーのフードを目深に被り、口元をマスクで覆い隠した男がのっそりと姿を現した。
「……いやああああああああああああああ!!」
その姿を見たマキは、絶叫を上げて後ずさった。
……犯人に見つかってしまった!!何とか逃げないと!!
踵を返して走ろうとしたマキの首筋に後ろから冷たい金属のようなものが押し当てられると、バチッッ!!という音と共に、マキの全身に電気が走り、マキはその場に昏倒した。
「……ったくっ!!手こずらせやがってっ!!
……フンッ!たっぷり可愛がってやるよっ!!」
失われていく意識の中で、この声、何処かで聞いたことがあるような気がする、とマキは思った。
◆ ◆ ◆ ◆
……………………………………………………………………。
………………………………………………。
………………………………。
マキは、頭に鈍い痛みを感じながら目を覚ました。
「………………………………………………………………」
そして、自分が再びベッドの上に拘束されていることを認識すると、言葉にならない絶望がマキに襲いかかった。
………………今度こそもうお仕舞いだ。
自分は千載一遇のチャンスを棒に振ってしまった。
マキの全身からフッと力が抜けていく。
ーーと、キィ、と音を立てて扉が開くと、目を真っ赤に充血させ怒りのあまり顔色がどす黒く染まった、パーカーを着てマスクをした男が一人入ってきた。
…………あれ?この人、どこかで……………………。
男はマキに近づくと、
「おいっっ!!お前っ!!サトミから渡されたバッグ、どこにやりやがったっっ!?」
その男の言葉に、私を逃がしてくれたあの女の人、サトミって名前なんだ、とボンヤリ、マキは思った。
……マキは、犯人から逃亡している最中、万が一のことを考えて、茂みにバッグを隠しておいたのだった。
そのことを頭の隅で思いだしながら、
「…………どうせ、これから私は殺されるんでしょ?……だったら、答える必要、ないじゃない…………」
マキは、プイ、と男から顔を逸らして呻くように答えた。
男は、マキの顎を右手で掴みながら、
「おいっ!テメエ、ふざけんじゃねえぞ!!」
と、詰め寄る。
しかし、もうすっかり気力の萎えたマキは、光の失われた虚ろな眼でそんな男をただ見つめるばかりで、一向に答えようとはしない。
マキの顎から乱暴に手を離すと男が言った。
「……上等じゃねえかっっ!それじゃあ、話したくなるまでゆっくり拷問タイムといこうじゃねえかっっ!!」
男は、シンクの上にあった一本のメスを取り上げると、込み上げる怒りを暴走しないよう、押さえ込みながらマキに再び近づいていった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話
赤髪命
大衆娯楽
少し田舎の土地にある女子校、華水黄杏女学園の1年生のあるクラスの乗ったバスが校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれてしまい、急遽トイレ休憩のために立ち寄った小さな公園のトイレでクラスの女子がトイレを済ませる話です(分かりにくくてすみません。詳しくは本文を読んで下さい)
すべて実話
さつきのいろどり
ホラー
タイトル通り全て実話のホラー体験です。
友人から聞いたものや著者本人の実体験を書かせていただきます。
長編として登録していますが、短編をいつくか載せていこうと思っていますので、追加配信しましたら覗きに来て下さいね^^*
【本当にあった怖い話】
ねこぽて
ホラー
※実話怪談や本当にあった怖い話など、
取材や実体験を元に構成されております。
【ご朗読について】
申請などは特に必要ありませんが、
引用元への記載をお願い致します。
小径
砂詠 飛来
ホラー
うらみつらみに横恋慕
江戸を染めるは吉原大火――
筆職人の与四郎と妻のお沙。
互いに想い合い、こんなにも近くにいるのに届かぬ心。
ふたりの選んだ運命は‥‥
江戸を舞台に吉原を巻き込んでのドタバタ珍道中!(違
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる