24 / 45
第24話
しおりを挟む
10月23日
S警察署内のバラバラ連続殺人事件の捜査本部で、宇都宮は部下からの報告を苦虫を噛み潰したような顔で聞いていた。
「…………それで、入江夫妻の娘がさらわれた現場で出たゲソ痕が、バラバラ殺人の現場近くから出たゲソ痕の一つと一致したってえのか?」
「……ええ。今朝方、科捜研からの報告で、最初の遺体発見現場となった公園で検出されたものと、一致した、とのことでして…………」
突然、ムッツリとした顔で、宇都宮は黙りこんだ。
…………嘘だろ、おい!……じゃあ、ひょっとしなくても、入江京子のストーカーってえのが、この連続殺人の犯人なのか…………?
昨日、刑事から厳しく追及を受けた真美は、とうとう刑事にネットを経由して違法な薬物を入手していたことを白状していた。
そして、真美は今現在、違法薬物所持使用の疑いで留置場に入れられ、入江家には、先程、捜査令状を携えた捜査陣が、家宅捜索に向かったばかりだった。
…………娘をストーカーに拐われ、妻は今、薬物絡みで留置場か。さぞや、夫の入江誠治はイラついていることだろうな。
タバコをふかしながら、宇都宮はその神経質そうな顔を思い浮かべる。
宇都宮と入江誠治とは、大学の同窓生だった。
ただし、別段仲がいいと言うわけではなく、今回、娘がストーキングされ始めた際、同窓会で宇都宮とたまたま名刺交換をしていた誠治が、その存在を思い出して連絡してきたので、宇都宮は、渋々、荒垣探偵事務所を紹介してやったにすぎない。
「……全く、複雑なことになってきやがったもんだ…………。……荒垣達からも、もう一度、詳しく話を聞く必要がありそうだな」
タバコの煙を吐きながら、宇都宮はそうぼやいた。
◆ ◆ ◆ ◆
11月23日
鬼洞院真は、10年程昔に起こった、通称ーーミンチ事件の犯人の隠れ家の一つと思われる、廃墟を探索した後、そこから持ち帰ってきた、瓶詰めの薬物に、興味本位から手を出してしまい、すっかり夢中になってしまっていた。
真も最初のうちこそ、薬を使う度に、意識が飛んで、いつの間にか、翌日になっていたものだが、最近では、すっかり心得たもので、それがもたらす快楽に溺れていた。
「…………イヒヒヒヒヒ……。たまんねーーー……。」
そう漏らす真の口からは、一筋の涎が流れ落ちている。
…………しかし、真は、あの小屋から発見した、犯人の手によるファイルに書かれていた、薬の用法用量をちゃんと律儀に守っているため、その頭は限りなく、クリアに保たれている。
口から流れている涎に気がつくと、真は傍らのティッシュ箱からティッシュを一枚引き抜いてそれを拭き取った。
S警察署内のバラバラ連続殺人事件の捜査本部で、宇都宮は部下からの報告を苦虫を噛み潰したような顔で聞いていた。
「…………それで、入江夫妻の娘がさらわれた現場で出たゲソ痕が、バラバラ殺人の現場近くから出たゲソ痕の一つと一致したってえのか?」
「……ええ。今朝方、科捜研からの報告で、最初の遺体発見現場となった公園で検出されたものと、一致した、とのことでして…………」
突然、ムッツリとした顔で、宇都宮は黙りこんだ。
…………嘘だろ、おい!……じゃあ、ひょっとしなくても、入江京子のストーカーってえのが、この連続殺人の犯人なのか…………?
昨日、刑事から厳しく追及を受けた真美は、とうとう刑事にネットを経由して違法な薬物を入手していたことを白状していた。
そして、真美は今現在、違法薬物所持使用の疑いで留置場に入れられ、入江家には、先程、捜査令状を携えた捜査陣が、家宅捜索に向かったばかりだった。
…………娘をストーカーに拐われ、妻は今、薬物絡みで留置場か。さぞや、夫の入江誠治はイラついていることだろうな。
タバコをふかしながら、宇都宮はその神経質そうな顔を思い浮かべる。
宇都宮と入江誠治とは、大学の同窓生だった。
ただし、別段仲がいいと言うわけではなく、今回、娘がストーキングされ始めた際、同窓会で宇都宮とたまたま名刺交換をしていた誠治が、その存在を思い出して連絡してきたので、宇都宮は、渋々、荒垣探偵事務所を紹介してやったにすぎない。
「……全く、複雑なことになってきやがったもんだ…………。……荒垣達からも、もう一度、詳しく話を聞く必要がありそうだな」
タバコの煙を吐きながら、宇都宮はそうぼやいた。
◆ ◆ ◆ ◆
11月23日
鬼洞院真は、10年程昔に起こった、通称ーーミンチ事件の犯人の隠れ家の一つと思われる、廃墟を探索した後、そこから持ち帰ってきた、瓶詰めの薬物に、興味本位から手を出してしまい、すっかり夢中になってしまっていた。
真も最初のうちこそ、薬を使う度に、意識が飛んで、いつの間にか、翌日になっていたものだが、最近では、すっかり心得たもので、それがもたらす快楽に溺れていた。
「…………イヒヒヒヒヒ……。たまんねーーー……。」
そう漏らす真の口からは、一筋の涎が流れ落ちている。
…………しかし、真は、あの小屋から発見した、犯人の手によるファイルに書かれていた、薬の用法用量をちゃんと律儀に守っているため、その頭は限りなく、クリアに保たれている。
口から流れている涎に気がつくと、真は傍らのティッシュ箱からティッシュを一枚引き抜いてそれを拭き取った。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
少年少女怪奇譚 〜一位ノ毒~
しょこらあいす
ホラー
これは、「無能でも役に立ちますよ。多分」のヒロインであるジュア・ライフィンが書いたホラー物語集。
ゾッとする本格的な話から物悲しい話まで、様々なものが詰まっています。
――もしかすると、霊があなたに取り憑くかもしれませんよ。
お読みになる際はお気をつけて。
※無能役の本編とは何の関係もありません。
【本当にあった怖い話】
ねこぽて
ホラー
※実話怪談や本当にあった怖い話など、
取材や実体験を元に構成されております。
【ご朗読について】
申請などは特に必要ありませんが、
引用元への記載をお願い致します。
【R18】スライム調教
不死じゃない不死鳥(ただのニワトリ)
ホラー
スライムに調教されちゃうお話です
「どうしよう、どうしよう」
Aは泣きながらシャワーを浴びていた。
スライムを入れられてしまったお腹。
中でスライムポコポコと動いているのが外からでも分かった。
「もし出そうとしたら、その子達は暴れて君の内臓をめちゃくちゃにするわよ。
だから変なことなんて考えないでね」
スライムをいれた店主の言葉が再びAの頭の中をよぎった。
彼女の言葉が本当ならば、もうスライムを出すことは不可能だった。
それに出そうにも店主によってお尻に栓を付けられてしまっているためそれも難しかった。
「こらから、どうなっちゃうんだろう」
主人公がスライムをお尻から入れられてしまうお話です。
汚い内容は一切書く気はありません。また人物はアルファベットで表記しており
性別もどちらでも捉えられるようにしています。お好きな設定でお読みください。
※続きを書くつもりはなかったのですが想像以上に閲覧数が多いため、少しだけ続きを書くことにしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる