暴虐の果て

たじ

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第17話

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10月21日

荒垣と仮戸川は放課後友人数名と遊びに街へ出た入江京子のあとを尾行していた。

あれから結局入江真美は張り込みの続行を依頼してきた。

荒垣としては違法な薬、そしてそれを売っている犯人と関わりのある人間からの依頼は断りたかったようだが、宇都宮にその旨を伝えると確実な証拠を押さえてもらいたい、とのことでこうして荒垣達は相変わらず京子の身辺を監視していた。

須藤と三宅にはストーカーの方ではなく入江真美の動向を見張ってもらっている。

先日ストーカー本人と出くわしてしまった為、一応二人には変装をさせてはいるが、果たしてストーカーがその辺りに気づくかどうかはまだわからない。

支障があるようならばつてを頼って他の探偵事務所から人員を引っ張ってくるしかないだろう。


      ◆  ◆  ◆  ◆


これまでストーカー対策で京子を張ってきた所どうも京子はカラオケが大のお気に入りらしかった。

今日もボウリングの後で京子達は駅前のカラオケボックスへと入っていった。

向かいの喫茶店に入って中からカラオケ店の出入り口を見張る。

「……あっ!出てきましたよ!」

仮戸川の声に出入り口を確認すると京子達が出てくるのが見える。

「よし!行くぞ!」

そう言って荒垣は支払いを済ませて仮戸川と二人京子達のあとについていった。

駅前で友人達と別れ京子が電車に乗る。

二人も京子の隣の車両に乗り込む。

プシュー、と音を立てて電車のドアが閉まった。


      ◆  ◆  ◆  ◆


カッカッカッ。京子の履くヒールの音が静かな住宅街に木霊する。

……こりゃ、今日も何も起こらなさそうだな。

そう荒垣が思っていると、後ろからゆっくりと不審な軽バンが荒垣達の後ろから距離を取って後をつけてきた。

「…………。おい、あれ怪しいな。注意しとこう。」

後ろを目だけでチラリと見て荒垣が仮戸川に言う。

仮戸川は一瞬頭を後ろに向けようとしてすぐに正面に向き直る。

「……お前今後ろ見ようとしただろ?」

頭を右手で掻きながらてへへっ、と仮戸川が苦笑いを浮かべる。

そのまま荒垣達に付かず離れずの距離を取って不審な軽バンはずっとこちらについて来る。

一体どこまで追いかけてくるつもりだよ!、と荒垣が胸中で苛立っていると突然スッと軽バンが横の道へと曲がっていった。

「……ほう。どうやらこちらに警戒して今日のところは諦めたらしいな。」

「……ふう。何事もなく良かったです。」

そう二人が話していると荒垣達の数十m先を歩いていた京子の姿がいつの間にか消えている。

「………………っっ!!やられた!!どこ行きやがった!?」

ほんの数秒前までは京子はめのまえの坂を上っていたはず。とすると脇の道に迂回したか!?

そう考えて荒垣はさっきまで京子のいた道の横道を確かめる。するとそこには京子が後ろから男に布のようなものを当てられて気絶し引きずられて車内に連れ込まれようとしていた。

「おいっ!お前っ何してるっっ!?」

大声で言いながら荒垣達が男に近づいて行くと男が何かの液体を振りかけた。

「ぐっっ!?」

……何だこれは?……おかしい。体がグラグラしてとても立っていられない……。

そして荒垣二人は路上に昏倒しその間にストーカーの男は悠々と車内に京子を乗せて走り去った。





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