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狂愛その2
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「………………ここは?」
僕が目を覚ますと、そこは病院のベッドの上だった。
傍らに座っていた義之叔父さんが、僕が目覚めたのを見てとって言った。
「……はあ~~~!良かった!!ようやく目を覚ましたね!…………言いづらいことだけど、どうやら君は、春子さんに刺されたみたいだ。
私が丁度君たちの家にやって来たとき、玄関から春子さんが、血走った目で髪を振り乱したまま、血塗れの包丁片手に走って出てきたんだ。
…………残念だけど、彼女はまた、おかしくなってしまったようだね。」
「また、って?」
「……君は小さかったから、知らないかもしれないけれど、昔春子さんは、風人さんとの離婚で精神を病んでしまったことがあってね……。
……それにあの後、風人さんが失踪したのもひょっとすると…………。」
……どういうことだろう?僕のお父さんが失踪した、だって?
「……あの、お父さんは失踪したまま見つかっていないんですか?あと、お母さんはやっぱり精神を病んでいたんでしょうか?」
「………………。……まあ、君もそろそろ打ち明けてもいい年だろう。……わかった。詳しく話すよ。」
そして、義之叔父さんが静かに話し出した。
よそで別の女の人を作ったお父さんが、僕らを捨てて離婚が成立してから、お母さんとまだ幼かった僕は、お母さんのお父さんーー僕から見るとおじいちゃんーーの家でしばらく暮らしていたらしい。
それは、お父さんと離婚してからというもの、お母さんがすっかり鬱になってしまったかららしかった。
そして、そんな日が1年程続いた後、別の女の人と、僕らとは別の町に住んでいたお父さんが、ある日突然、失踪した。
何でも、その日、会社に向かう途中でお父さんの行方はわからなくなってしまったらしい。
そのまま、今日までお父さんの行方は誰にもわからない、との事だった。
僕の胸を、嫌な予感が通りすぎる。
……さっき、叔父さんが漏らしたように、お父さんは、お母さんが殺してしまったんじゃあないだろうか。
そうだとすれば、お母さんのあの、僕に対する、狂気に満ちた振る舞いにも説明がつくような気が、した。
「…………とりあえず、話はこの辺りにして、今日はもう休むんだ。
…………一応、重要参考人として、お母さんの行方は警察の方々に捜してもらっているから、今は安心して体を休めなさい。
……これからのことは、君が回復した後に話しあおう。」
そう言うと、義之叔父さんは、僕の寝ているベッド脇の丸椅子から立ち上がり、僕に向かって手を振りながら病室を出ていった。
「………………なんでこんなことに…………。
お母さん………………!!」
僕は個室のベッドの上で、体を丸めて泣きじゃくった。
◆ ◆ ◆ ◆
…………それから、一週間が過ぎた。
担当のお医者さんが言うには、僕の傷の治りは順調で、あと1か月位で退院できるだろう、とのことだった。
相変わらず、あの日、家を飛び出していったお母さんの行方は、警察の方でも掴めていないらしい。
叔父さんと親族が話し合った結果、病院を退院した後、僕は義之叔父さんの家でお世話になることになった。
「心配しないでいいよ、拓人君。
私はこう見えても、一応、ベストセラー作家の端くれだからね。ちゃんと、君を大学まで進学させてあげるから。」
僕が義之叔父さんの家でお世話になることが決まった後、そう、ベッド上の僕に言ってから、義之叔父さんは片目を瞑って僕に優しく笑いかけた。
…………そして、それから1か月後、ようやく僕が退院できる日がやって来た。
僕が目を覚ますと、そこは病院のベッドの上だった。
傍らに座っていた義之叔父さんが、僕が目覚めたのを見てとって言った。
「……はあ~~~!良かった!!ようやく目を覚ましたね!…………言いづらいことだけど、どうやら君は、春子さんに刺されたみたいだ。
私が丁度君たちの家にやって来たとき、玄関から春子さんが、血走った目で髪を振り乱したまま、血塗れの包丁片手に走って出てきたんだ。
…………残念だけど、彼女はまた、おかしくなってしまったようだね。」
「また、って?」
「……君は小さかったから、知らないかもしれないけれど、昔春子さんは、風人さんとの離婚で精神を病んでしまったことがあってね……。
……それにあの後、風人さんが失踪したのもひょっとすると…………。」
……どういうことだろう?僕のお父さんが失踪した、だって?
「……あの、お父さんは失踪したまま見つかっていないんですか?あと、お母さんはやっぱり精神を病んでいたんでしょうか?」
「………………。……まあ、君もそろそろ打ち明けてもいい年だろう。……わかった。詳しく話すよ。」
そして、義之叔父さんが静かに話し出した。
よそで別の女の人を作ったお父さんが、僕らを捨てて離婚が成立してから、お母さんとまだ幼かった僕は、お母さんのお父さんーー僕から見るとおじいちゃんーーの家でしばらく暮らしていたらしい。
それは、お父さんと離婚してからというもの、お母さんがすっかり鬱になってしまったかららしかった。
そして、そんな日が1年程続いた後、別の女の人と、僕らとは別の町に住んでいたお父さんが、ある日突然、失踪した。
何でも、その日、会社に向かう途中でお父さんの行方はわからなくなってしまったらしい。
そのまま、今日までお父さんの行方は誰にもわからない、との事だった。
僕の胸を、嫌な予感が通りすぎる。
……さっき、叔父さんが漏らしたように、お父さんは、お母さんが殺してしまったんじゃあないだろうか。
そうだとすれば、お母さんのあの、僕に対する、狂気に満ちた振る舞いにも説明がつくような気が、した。
「…………とりあえず、話はこの辺りにして、今日はもう休むんだ。
…………一応、重要参考人として、お母さんの行方は警察の方々に捜してもらっているから、今は安心して体を休めなさい。
……これからのことは、君が回復した後に話しあおう。」
そう言うと、義之叔父さんは、僕の寝ているベッド脇の丸椅子から立ち上がり、僕に向かって手を振りながら病室を出ていった。
「………………なんでこんなことに…………。
お母さん………………!!」
僕は個室のベッドの上で、体を丸めて泣きじゃくった。
◆ ◆ ◆ ◆
…………それから、一週間が過ぎた。
担当のお医者さんが言うには、僕の傷の治りは順調で、あと1か月位で退院できるだろう、とのことだった。
相変わらず、あの日、家を飛び出していったお母さんの行方は、警察の方でも掴めていないらしい。
叔父さんと親族が話し合った結果、病院を退院した後、僕は義之叔父さんの家でお世話になることになった。
「心配しないでいいよ、拓人君。
私はこう見えても、一応、ベストセラー作家の端くれだからね。ちゃんと、君を大学まで進学させてあげるから。」
僕が義之叔父さんの家でお世話になることが決まった後、そう、ベッド上の僕に言ってから、義之叔父さんは片目を瞑って僕に優しく笑いかけた。
…………そして、それから1か月後、ようやく僕が退院できる日がやって来た。
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