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鬼の棲む場所その2
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「……うわ~~。これは中々そそりますのう~~~。」
湯川が誰にともなくブツブツ呟きながら、他のメンバーと離れて、ドンドントンネルの奥へ先に行ってしまう。
「お~~~い!こっちはしおんちゃんがいるんだから、余り一人で先に行かないようにーーー!!」
後ろから松前が注意するものの全く聞く気配はなく、やがて途中のカーブの先へと湯川は姿を消した。
「………やれやれ、これだからオタクはよ~~~!」
小手川が松前の隣で呆れながら言った。
「ぜっっったいに私の手、離さないでよ!?」
「わかった!わかったから!!」
あからさまに腰が引けた状態でしおんが愛実にしがみつきながら松前達の後に続いていく。
…………そして、5分程経った頃だろうか。
突然、カーブの先から、
「…うわぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!!」
と、湯川の絶叫がトンネル内に響き渡った。
「おい!!大丈夫か!!」
それまで呑気に物見遊山だった松前が前方に厳しい視線を向けながら叫ぶ。
……………………………………………。
……シーン、とした静寂がトンネル内を包む。
一体湯川の身に何があったのだろう。
絶叫が聞こえた後は何の物音もしなかった。
「お~~~~い!!湯川~~~~!!ふざけてんじゃないだろな~~~~!!」
沈黙に耐えきれなくなったのか、小手川も前方に向かって叫ぶ。
……………………………………………。
「……一体湯川くんに何が起きたんだろう?ちょっと、走って確認してくる!
ひょっとしたら老朽化でコンクリートなんかが上から落ちてきたのかもしれないし!」
そう言って松前はタッタッタッ、と軽快な走りで数百m先のカーブの先まで行ってしまった。
……小手川の後ろでは、怖がりのしおんが目を閉じて小刻みに震えながら隣の愛実にしっかりとしがみついている。
「お~~、よしよし。怖くないからね~~。」
等と、愛実が慰めていると、
「何だこれは!?!?」
という、松前の言葉がカーブの先から響いてきた。
その声を聞いて顔を見合わせ、残りの3人も小走りになりながらカーブの先へと向かう。
………すると、トンネルの壁には何か赤い液体が大量に撒き散らされていた。
……まるで鉄錆のような匂いが辺りに立ち込めている。
「…うっわ!!なんじゃこりゃ!?」
「もう、やだっっーーー!!私帰るっっーーー!!」
「しおん!落ち着きなってば!!」
3人の前で立ち尽くしている松前に小手川が尋ねる。
「……これって、血、ですよね?
ていうか、湯川は?アイツ、どこっすか?」
「……僕が来たときにはもう湯川くんの姿は無くって、代わりにこれが………。」
松前が震えた手で目の前の壁を指差した。
「……まさか、湯川のヤロー、俺達をからかってんじゃねぇだろな………。……血だって鳥かなんかから取っといてここにぶちまけたんじゃあ……。…だとしたら、アイツぜってぇ許さねーぞ!!」
「……いや、それはどうだろう。確かに彼は廃墟とかオカルトのマニアだけれど、こういう変な悪ふざけはしない、というか出来ないタイプの人間だよ。今日は彼の苦手な女の子達も来ていることだし。
でも、だとしたら…………。」
顎に手をやって、松前は黙り込んだ。
「……イヤよ!!もう、こんな所沢山っ!!
来なければ良かったっっ!!」
それまで震えながら愛実にしがみついていた
しおんが、突然バッと顔を上げて愛実の体を離すとトンネルの入口目掛けて一目散に走り去った。
「…しおん!!」
愛実が叫んでもしおんは振り返りもせず、ひたすら出口まで走ってゆく。
「……取り敢えずトンネルの中を探そう!」
決然とした顔で松前が愛実と小手川にそう、言った。
湯川が誰にともなくブツブツ呟きながら、他のメンバーと離れて、ドンドントンネルの奥へ先に行ってしまう。
「お~~~い!こっちはしおんちゃんがいるんだから、余り一人で先に行かないようにーーー!!」
後ろから松前が注意するものの全く聞く気配はなく、やがて途中のカーブの先へと湯川は姿を消した。
「………やれやれ、これだからオタクはよ~~~!」
小手川が松前の隣で呆れながら言った。
「ぜっっったいに私の手、離さないでよ!?」
「わかった!わかったから!!」
あからさまに腰が引けた状態でしおんが愛実にしがみつきながら松前達の後に続いていく。
…………そして、5分程経った頃だろうか。
突然、カーブの先から、
「…うわぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!!」
と、湯川の絶叫がトンネル内に響き渡った。
「おい!!大丈夫か!!」
それまで呑気に物見遊山だった松前が前方に厳しい視線を向けながら叫ぶ。
……………………………………………。
……シーン、とした静寂がトンネル内を包む。
一体湯川の身に何があったのだろう。
絶叫が聞こえた後は何の物音もしなかった。
「お~~~~い!!湯川~~~~!!ふざけてんじゃないだろな~~~~!!」
沈黙に耐えきれなくなったのか、小手川も前方に向かって叫ぶ。
……………………………………………。
「……一体湯川くんに何が起きたんだろう?ちょっと、走って確認してくる!
ひょっとしたら老朽化でコンクリートなんかが上から落ちてきたのかもしれないし!」
そう言って松前はタッタッタッ、と軽快な走りで数百m先のカーブの先まで行ってしまった。
……小手川の後ろでは、怖がりのしおんが目を閉じて小刻みに震えながら隣の愛実にしっかりとしがみついている。
「お~~、よしよし。怖くないからね~~。」
等と、愛実が慰めていると、
「何だこれは!?!?」
という、松前の言葉がカーブの先から響いてきた。
その声を聞いて顔を見合わせ、残りの3人も小走りになりながらカーブの先へと向かう。
………すると、トンネルの壁には何か赤い液体が大量に撒き散らされていた。
……まるで鉄錆のような匂いが辺りに立ち込めている。
「…うっわ!!なんじゃこりゃ!?」
「もう、やだっっーーー!!私帰るっっーーー!!」
「しおん!落ち着きなってば!!」
3人の前で立ち尽くしている松前に小手川が尋ねる。
「……これって、血、ですよね?
ていうか、湯川は?アイツ、どこっすか?」
「……僕が来たときにはもう湯川くんの姿は無くって、代わりにこれが………。」
松前が震えた手で目の前の壁を指差した。
「……まさか、湯川のヤロー、俺達をからかってんじゃねぇだろな………。……血だって鳥かなんかから取っといてここにぶちまけたんじゃあ……。…だとしたら、アイツぜってぇ許さねーぞ!!」
「……いや、それはどうだろう。確かに彼は廃墟とかオカルトのマニアだけれど、こういう変な悪ふざけはしない、というか出来ないタイプの人間だよ。今日は彼の苦手な女の子達も来ていることだし。
でも、だとしたら…………。」
顎に手をやって、松前は黙り込んだ。
「……イヤよ!!もう、こんな所沢山っ!!
来なければ良かったっっ!!」
それまで震えながら愛実にしがみついていた
しおんが、突然バッと顔を上げて愛実の体を離すとトンネルの入口目掛けて一目散に走り去った。
「…しおん!!」
愛実が叫んでもしおんは振り返りもせず、ひたすら出口まで走ってゆく。
「……取り敢えずトンネルの中を探そう!」
決然とした顔で松前が愛実と小手川にそう、言った。
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