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焼酎
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私の先生は仕事から帰ってくると決まって一杯の焼酎を口にする。
そして、その後私の体を荒々しく抱くのだ。
「智美、あぁ智美……!!」ぽろぽろと涙をこぼしながら。
私の孝治さん。私だけの先生。私の魂は肉体が死んでしまった今も、あなたのすぐ側に寄り添っているわ。
……だけど昨日、私は見てしまった。スマホのファイルに、先生が別の女とキスしてる写真。日付を見ると一週間前。私という女がいるというのに。許せない。……ゆるさない…!!
今日私が仕事から帰ってくると、智美が勝手に移動している。……また、お袋が勝手に上がり込んだのか?
私は毎日仕事から帰ってくると、コンビニで買った弁当と一緒に一杯のカップ焼酎を空ける。
「……ぷはぁっっ!!さとみぃ~~!!お前が今ここにいてくれたなら……。」
去年の夏だった。学生時代から5年間付き合っていた彼女との結婚が決まった。結婚式場の下見の帰り道、暴走してきたトラックに轢かれてあえなく彼女は帰らぬ人となった。
「……元気出せよ。ほら、こんなサービスがあるんだってよ…。」学生時代からの友人の高橋が、私にオーダーメイドの等身大の人形を故人そっくりに加工して届け、遺族の心の傷を癒す、そんなサービス業のチラシを持ってきた。
……正直最初は戸惑っていた私だったが、すぐに業者に連絡し、その一ヶ月後、生前の智美そっくりの等身大の人形が届いた。
……それから一年程は毎日仕事から帰っては、強くもない酒を呷って、酔いに任せて人形を抱いて泣きじゃくりながら眠る。そんな自暴自棄な生活を送っていた。
…しかし、一月前、私の勤めている高校の、新任でまだ大学を卒業したての女性教師からある日突然、告白を受けて付き合う事になった。「いひひひひ、かれんちゅわ~~ん!!」
それからは酒に溺れて人形を抱いて眠ることもなくなり、今日はなんと4回目のデートでバーで飲んだ後に、ホテルにも行ってきたのだ!!
「…いよ~~っっし!!今夜は祝杯だ!!」私は台どころの隅に大量にストックしているカップ焼酎を開けて口にする。
「…う~~~ん!!!うんまい!!」ごくっごくっごくっ。
……あれ?何か味がいつもと違うような……??バタンッ!!急に体の力が抜けて私はダイニングの床に突っ伏した。
……ダメよ先生。私が入れたお薬の味に気が付かなかったの?もしも気付いたら今回だけは勘弁してあげようと思っていたのに。
「…ういぃぃ~~!!くっそぉぉ!!」
なんでだろう……?全く力が入らない…?なんで?
ズルッ、ズルッ、ズルッ、と背後の居間から何かの這うような音が聞こえる。
「……信じていたのに……。」………私は悪酔いしてしまったようだ。…一体どこから、死んだ智美の声が聞こえてくるのか。
ズルッ、ズルッ、ズルッ。ズルッ、ズルッ、ズルッ。
「…死んでしまえばいいんだわ…。」ズシャッッッッ!!!何だかとても頭が痛む。
……そこで私の意識は闇に沈んだ。
そして、その後私の体を荒々しく抱くのだ。
「智美、あぁ智美……!!」ぽろぽろと涙をこぼしながら。
私の孝治さん。私だけの先生。私の魂は肉体が死んでしまった今も、あなたのすぐ側に寄り添っているわ。
……だけど昨日、私は見てしまった。スマホのファイルに、先生が別の女とキスしてる写真。日付を見ると一週間前。私という女がいるというのに。許せない。……ゆるさない…!!
今日私が仕事から帰ってくると、智美が勝手に移動している。……また、お袋が勝手に上がり込んだのか?
私は毎日仕事から帰ってくると、コンビニで買った弁当と一緒に一杯のカップ焼酎を空ける。
「……ぷはぁっっ!!さとみぃ~~!!お前が今ここにいてくれたなら……。」
去年の夏だった。学生時代から5年間付き合っていた彼女との結婚が決まった。結婚式場の下見の帰り道、暴走してきたトラックに轢かれてあえなく彼女は帰らぬ人となった。
「……元気出せよ。ほら、こんなサービスがあるんだってよ…。」学生時代からの友人の高橋が、私にオーダーメイドの等身大の人形を故人そっくりに加工して届け、遺族の心の傷を癒す、そんなサービス業のチラシを持ってきた。
……正直最初は戸惑っていた私だったが、すぐに業者に連絡し、その一ヶ月後、生前の智美そっくりの等身大の人形が届いた。
……それから一年程は毎日仕事から帰っては、強くもない酒を呷って、酔いに任せて人形を抱いて泣きじゃくりながら眠る。そんな自暴自棄な生活を送っていた。
…しかし、一月前、私の勤めている高校の、新任でまだ大学を卒業したての女性教師からある日突然、告白を受けて付き合う事になった。「いひひひひ、かれんちゅわ~~ん!!」
それからは酒に溺れて人形を抱いて眠ることもなくなり、今日はなんと4回目のデートでバーで飲んだ後に、ホテルにも行ってきたのだ!!
「…いよ~~っっし!!今夜は祝杯だ!!」私は台どころの隅に大量にストックしているカップ焼酎を開けて口にする。
「…う~~~ん!!!うんまい!!」ごくっごくっごくっ。
……あれ?何か味がいつもと違うような……??バタンッ!!急に体の力が抜けて私はダイニングの床に突っ伏した。
……ダメよ先生。私が入れたお薬の味に気が付かなかったの?もしも気付いたら今回だけは勘弁してあげようと思っていたのに。
「…ういぃぃ~~!!くっそぉぉ!!」
なんでだろう……?全く力が入らない…?なんで?
ズルッ、ズルッ、ズルッ、と背後の居間から何かの這うような音が聞こえる。
「……信じていたのに……。」………私は悪酔いしてしまったようだ。…一体どこから、死んだ智美の声が聞こえてくるのか。
ズルッ、ズルッ、ズルッ。ズルッ、ズルッ、ズルッ。
「…死んでしまえばいいんだわ…。」ズシャッッッッ!!!何だかとても頭が痛む。
……そこで私の意識は闇に沈んだ。
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