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一章
四話 初恋相手が三つ子でした
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「ちょ、ちょっと待ってください! 頭がこんがらがってきています! 順番に説明してください!!」
アリーシャは頭を整理する為にも、まずは落ち着いて話を聞こうと思った。
「分かったよ。実は十年前、僕たちは帝国内の揉め事を避ける為にルミナ村に身を潜めていたんだ」
「当時、帝国内では元老院派閥と皇帝派閥の政治闘争があってな。元老院派閥が皇帝の力を削いで、有力貴族の権力が及ぶ領域を増やそうとしたのだ。俺たちの他にも兄弟がいたが、その兄弟が暗殺される事件が起きた」
「そこで僕たち三兄弟は事態が収束するまでの間、身分を隠して、聖ルイン王国に隠れる事になったんだよ」
「でも……三つ子なんて珍しいから、バレると噂になる……だからボクたちは、三つ子だと悟られてはいけないって父さん――皇帝から言いつけられたんだ……」
「は、はあ……」
ロラン、ハイラル、エクレールの説明にアリーシャは頷く。
大丈夫だ、なんとか話にはついて行けている。
「つまり、僕たちが屋敷の外に出る時は一人ずつ。『お屋敷に住んでいる男の子』という一人の人物を演じる事になったのさ」
「うむ。当時俺たちはローテーションを組んで入れ替わって外へ出ていた」
「……ボクたち三人は全員アリーシャと面識があるけど、アリーシャは相手を一人の男の子だと思っていた……という事なんだ……」
「そ、そうだったのですね……」
アリーシャは納得した。
国の陰謀が絡み、皇帝からも厳命されていたのなら、正体を明かせなかったのも仕方がない。
「ですが、こうして皆さんが帝国にいるという事は、政治闘争は収まったんですね?」
「ああ。皇帝派閥が腐敗した元老院派閥を一掃し、俺たちは帝国に帰る事になった」
「だけどその直前に、僕たちが暮らしていた屋敷が元老院派閥の残党に見つかって、火を放たれたんだ。幸い僕たちは全員助かったし、残党勢力もすぐに捕縛されたけど――」
「そのせいでアリーシャにお別れを言う時間も、事情を話す暇もなかった……ごめんね……」
「い、いえ、そういう事情なら仕方がありません。当時の私はただの村娘でした、そんな私の為に皇子様方が危険を冒すなんてもってのほかですから……!」
アリーシャも聖女としてそれなりに世の中を見てきた。
国の機密や人命が絡む事柄なら、秘密にするのも仕方がない。
今さらその事で責めるつもりはなかった。
「しかし、まさかこんな形でアリーシャと再会するとは思わなかったな」
「本当にね。偶然にしては出来すぎているよ」
「……うん、これはきっと運命……だと思う」
「はい。私も再会できて嬉しいです!」
アリーシャは自然と笑顔を浮かべた。
作り笑いでない笑顔を浮かべるのは久しぶりだった。
神殿を追放された時はどうなるかと思って絶望していた。
だけど、まさかこんな形で初恋の相手と再会できるなんて。
しかも皇帝の病気を診る為に、宮殿に部屋まで用意してくれるという。事態はどう好転するか分からないものである。
「アリーシャは父上の専属医になってくれるそうじゃないか。聖女であるお前がついてくれれば安心だ。待遇は三食部屋付きで給金も払わせてもらう。衣食住の心配はいらないぞ!」
「ありがとうございます、ハイラル様」
「それと、僕たちとも過ごす時間を作ってくれると嬉しいな。僕たちもアリーシャと一緒に過ごしたいんだよ」
「はい、喜んで。ロラン様!」
「うん……これからよろしくね、アリーシャ……」
「はい、エクレール様。よろしくお願いいたします」
こうしてアリーシャは、皇子たちの暮らす宮殿で暮らすことになった。
――その時、謁見の間の入り口から声がかかる。
先ほどアリーシャの部屋を整えに行ったセバスチャンだ。彼は桃色の髪の女性を連れて戻ってきていた。
「ロラン様、ハイラル様、エクレール様」
「ん? ああ、セバスチャンにリリアナか。アリーシャの部屋の準備は終わったのかい?」
「はい。つきましては、このリリアナをアリーシャ様の専属メイドに推薦したいのですが――」
「リリアナか。うん、いいんじゃないかな。彼女なら安心だよ」
「かしこまりました」
リリアナと呼ばれた女性がアリーシャの前まで歩み出て、頭を下げる。
「わたくしはリリアナと申します。これからアリーシャ様の身の回りのお世話をさせて頂きます。どうかお見知りおきを」
「は、はい。アリーシャです、これからよろしくお願いします」
アリーシャはリリアナに案内されて、宮殿の奥にある居住区の一角に案内された。
「こちらがアリーシャ様のお部屋です」
「うわあ……!!」
そこは宮殿の二階に位置する部屋だった。
皇帝の寝室に比べればさすがに見劣りはする。それでも十分すぎるほど豪華な調度品に囲まれた広い部屋だった。
フカフカの絨毯に、ベッドには天蓋付きの大きなものが用意されている。
クローゼットの中には最高品質の衣類が並び、バルコニーからは宮殿の中庭が一望できる。
「すごい……これが私の部屋なのですか!?」
「そうですよ。ここがアリーシャ様の新しいお住まいになります」
「……信じられない……!」
神殿で聖女として暮らしていた頃は、この部屋の十分の一以下の広さの部屋だった。
神殿は「聖女は清貧であるべき」と、聖女にかかる諸費用を徹底的に削減していた。
そのせいでアリーシャの暮らしていた部屋は物置小屋のような場所で、ベッドも粗末な藁だった。
別に贅沢したかったわけではないから、恨み言を言うつもりはない。
それでもアストラ帝国のあまりの厚遇には、思わずクラクラしてしまう。
「それでは、ごゆっくりおくつろぎくださいませ」
「あ……! は、はいっ!」
そしてリリアナは恭しく礼をして、退室していった。
「ふぅ……」
一人になったアリーシャは、大きく息を吐いて肩の力を抜いた。そして窓辺に立って外の風景を眺める。
「綺麗な庭……! さすが大陸最大の大国、庭まで美しいわ……!」
宮殿の中庭は、まるで絵本の中から飛び出してきたような幻想的な美しさだ。
色とりどりの花々が咲き誇る花壇、白亜の塔や時計塔、そして巨大な噴水。
遠くにはバラ園や果樹園もあるようだ。
さらに奥へと目を向けると森が広がっている。
全て散策しようと思ったら、丸一日以上かかってしまうだろう。
「それにしても、まさかロラン様たちが三つ子の皇子様だったなんて……」
――ハイラル、ロラン、エクレール。
脳裏に思い浮かぶのは、彼らの姿。アリーシャは目を閉じて、初恋の少年に思いを馳せる。
「私が好きだった男の子は、どなただったのかしら……?」
アリーシャにとって、初恋の少年に纏わる思い出の中でも鮮烈な記憶が一つある。
目を閉じて十年前の記憶に思いを馳せる。
あの夏の終わり、男の子の住んでいた屋敷が火事になる前の夜。
アリーシャの元に『お屋敷の男の子』が訪ねてきたのだ。
アリーシャは頭を整理する為にも、まずは落ち着いて話を聞こうと思った。
「分かったよ。実は十年前、僕たちは帝国内の揉め事を避ける為にルミナ村に身を潜めていたんだ」
「当時、帝国内では元老院派閥と皇帝派閥の政治闘争があってな。元老院派閥が皇帝の力を削いで、有力貴族の権力が及ぶ領域を増やそうとしたのだ。俺たちの他にも兄弟がいたが、その兄弟が暗殺される事件が起きた」
「そこで僕たち三兄弟は事態が収束するまでの間、身分を隠して、聖ルイン王国に隠れる事になったんだよ」
「でも……三つ子なんて珍しいから、バレると噂になる……だからボクたちは、三つ子だと悟られてはいけないって父さん――皇帝から言いつけられたんだ……」
「は、はあ……」
ロラン、ハイラル、エクレールの説明にアリーシャは頷く。
大丈夫だ、なんとか話にはついて行けている。
「つまり、僕たちが屋敷の外に出る時は一人ずつ。『お屋敷に住んでいる男の子』という一人の人物を演じる事になったのさ」
「うむ。当時俺たちはローテーションを組んで入れ替わって外へ出ていた」
「……ボクたち三人は全員アリーシャと面識があるけど、アリーシャは相手を一人の男の子だと思っていた……という事なんだ……」
「そ、そうだったのですね……」
アリーシャは納得した。
国の陰謀が絡み、皇帝からも厳命されていたのなら、正体を明かせなかったのも仕方がない。
「ですが、こうして皆さんが帝国にいるという事は、政治闘争は収まったんですね?」
「ああ。皇帝派閥が腐敗した元老院派閥を一掃し、俺たちは帝国に帰る事になった」
「だけどその直前に、僕たちが暮らしていた屋敷が元老院派閥の残党に見つかって、火を放たれたんだ。幸い僕たちは全員助かったし、残党勢力もすぐに捕縛されたけど――」
「そのせいでアリーシャにお別れを言う時間も、事情を話す暇もなかった……ごめんね……」
「い、いえ、そういう事情なら仕方がありません。当時の私はただの村娘でした、そんな私の為に皇子様方が危険を冒すなんてもってのほかですから……!」
アリーシャも聖女としてそれなりに世の中を見てきた。
国の機密や人命が絡む事柄なら、秘密にするのも仕方がない。
今さらその事で責めるつもりはなかった。
「しかし、まさかこんな形でアリーシャと再会するとは思わなかったな」
「本当にね。偶然にしては出来すぎているよ」
「……うん、これはきっと運命……だと思う」
「はい。私も再会できて嬉しいです!」
アリーシャは自然と笑顔を浮かべた。
作り笑いでない笑顔を浮かべるのは久しぶりだった。
神殿を追放された時はどうなるかと思って絶望していた。
だけど、まさかこんな形で初恋の相手と再会できるなんて。
しかも皇帝の病気を診る為に、宮殿に部屋まで用意してくれるという。事態はどう好転するか分からないものである。
「アリーシャは父上の専属医になってくれるそうじゃないか。聖女であるお前がついてくれれば安心だ。待遇は三食部屋付きで給金も払わせてもらう。衣食住の心配はいらないぞ!」
「ありがとうございます、ハイラル様」
「それと、僕たちとも過ごす時間を作ってくれると嬉しいな。僕たちもアリーシャと一緒に過ごしたいんだよ」
「はい、喜んで。ロラン様!」
「うん……これからよろしくね、アリーシャ……」
「はい、エクレール様。よろしくお願いいたします」
こうしてアリーシャは、皇子たちの暮らす宮殿で暮らすことになった。
――その時、謁見の間の入り口から声がかかる。
先ほどアリーシャの部屋を整えに行ったセバスチャンだ。彼は桃色の髪の女性を連れて戻ってきていた。
「ロラン様、ハイラル様、エクレール様」
「ん? ああ、セバスチャンにリリアナか。アリーシャの部屋の準備は終わったのかい?」
「はい。つきましては、このリリアナをアリーシャ様の専属メイドに推薦したいのですが――」
「リリアナか。うん、いいんじゃないかな。彼女なら安心だよ」
「かしこまりました」
リリアナと呼ばれた女性がアリーシャの前まで歩み出て、頭を下げる。
「わたくしはリリアナと申します。これからアリーシャ様の身の回りのお世話をさせて頂きます。どうかお見知りおきを」
「は、はい。アリーシャです、これからよろしくお願いします」
アリーシャはリリアナに案内されて、宮殿の奥にある居住区の一角に案内された。
「こちらがアリーシャ様のお部屋です」
「うわあ……!!」
そこは宮殿の二階に位置する部屋だった。
皇帝の寝室に比べればさすがに見劣りはする。それでも十分すぎるほど豪華な調度品に囲まれた広い部屋だった。
フカフカの絨毯に、ベッドには天蓋付きの大きなものが用意されている。
クローゼットの中には最高品質の衣類が並び、バルコニーからは宮殿の中庭が一望できる。
「すごい……これが私の部屋なのですか!?」
「そうですよ。ここがアリーシャ様の新しいお住まいになります」
「……信じられない……!」
神殿で聖女として暮らしていた頃は、この部屋の十分の一以下の広さの部屋だった。
神殿は「聖女は清貧であるべき」と、聖女にかかる諸費用を徹底的に削減していた。
そのせいでアリーシャの暮らしていた部屋は物置小屋のような場所で、ベッドも粗末な藁だった。
別に贅沢したかったわけではないから、恨み言を言うつもりはない。
それでもアストラ帝国のあまりの厚遇には、思わずクラクラしてしまう。
「それでは、ごゆっくりおくつろぎくださいませ」
「あ……! は、はいっ!」
そしてリリアナは恭しく礼をして、退室していった。
「ふぅ……」
一人になったアリーシャは、大きく息を吐いて肩の力を抜いた。そして窓辺に立って外の風景を眺める。
「綺麗な庭……! さすが大陸最大の大国、庭まで美しいわ……!」
宮殿の中庭は、まるで絵本の中から飛び出してきたような幻想的な美しさだ。
色とりどりの花々が咲き誇る花壇、白亜の塔や時計塔、そして巨大な噴水。
遠くにはバラ園や果樹園もあるようだ。
さらに奥へと目を向けると森が広がっている。
全て散策しようと思ったら、丸一日以上かかってしまうだろう。
「それにしても、まさかロラン様たちが三つ子の皇子様だったなんて……」
――ハイラル、ロラン、エクレール。
脳裏に思い浮かぶのは、彼らの姿。アリーシャは目を閉じて、初恋の少年に思いを馳せる。
「私が好きだった男の子は、どなただったのかしら……?」
アリーシャにとって、初恋の少年に纏わる思い出の中でも鮮烈な記憶が一つある。
目を閉じて十年前の記憶に思いを馳せる。
あの夏の終わり、男の子の住んでいた屋敷が火事になる前の夜。
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