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最終章

第四十二話 命名

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「……んだ……これ?船か?」

 見上げるほどの巨大な戦艦は正孝と美咲の度肝を抜いた。

「いや、大きいとは聞いてたけど……これは予想外っていうか……」

「大きいのは何かと便利だよ?今日からここが私たちの住居になるんだから広い方が良いでしょ」

「ま、そっか……で?どっから入るの?」

 アンノウンは手を振りながら戦艦に近寄る。船の側面をしばらく歩き、船の真ん中付近で「ここ」と指を差す。見た目には継ぎ目もなく扉があるようには見えない。だがアンノウンがそこに触れると上から下に剥がれるように扉が開いて階段と入口が現れた。

「すげっ……こんなの俺らの世界にだって無いだろ……」

「へぇ?マジ?聞く度にこっちの世界なんかより技術革新してそうな感じなのにな。ヘヘっ、魔法は偉大だねぇ」

 ラルフは草臥れたハットを被り直しながら階段を登り始める。それに続いてアンノウンたちも登りかけた時、ラルフの足が止まった。

「スゥーッ……そういえばふと気になったんだが、この船には名前とかあるのか?

「名前?」

「いや、やっぱ名前があった方が良いだろ?灰燼の要塞にも魚人族マーマンの戦艦にもそれっぽい名前があったんだぜ?実は考えてたとかあるのか?」

 アンノウンは歩と顔を見合わせた。二人で指を差しあってどっちが答えるかを示し合わせている。結局歩が答えることになった。

「あ、あの……こ、この戦艦は武蔵をモデルにしてるんです。だから……その……」

 歩がボソボソと縮こまって説明しているのを見かねてか、アンノウンが被せるように口を開いた。

「超次元戦艦”ムサシ”。某宇宙戦艦のオマージュってことで」

「超次元戦艦”ムサシ”……中々良い響きだな。気に入った」

 ラルフはサムズアップで高評価を表現するとそのまま登っていった。

「ふふっ超次元戦艦?ちゅうに病って奴ぅ?」

 美咲は馬鹿にするように登っていったが、正孝は歩とすれ違いざまに立ち止まり、バツが悪そうに歩の顔をチラチラと見た。

「俺は……その、良いと思うぜ?凄ぇ……格好良い……」

 正孝は不器用に褒めると美咲の後を追うように登っていった。美咲のように馬鹿にされると思っていた歩は何故だか救われたような気がしてボケーっと立ち尽くしてしまう。

「良かったね歩」

 アンノウンは肩を叩いて歩を賞賛すると、背中を押して一緒に戦艦内部に入っていった。
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