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第十四章 驚天動地
第二十六話 為すべきは……
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ブルータイガー。
世界有数の野盗団であり、イルレアン国でのいざこざを継起に活動範囲を大幅に拡充していた、誰にとっても最悪の敵である。
そんな野盗団の頭目”キジョウ”は、黒曜騎士団によって満月の夜に処刑された。その首は野党団幹部の前に晒され、恐怖を植え付けられる。これによりブルータイガーは実質的に力を失い、活動停止を余儀なくされる。
”王の集い”から自ら脱退したマクマインは自由を満喫していた。イルレアンでの活動をそこそこに、野外活動を開始。ブルータイガーを新たな拠点として基地の増設に力を入れる。
『た~の~も~』
そこに愉快な顔がやってきた。見た目こそ10代の女の子だが、中身は世界誕生の立役者でもある神と呼ばれる存在。アルテミスと名乗るこの女の子に対し、黒曜騎士団は困惑気味に頭を下げた。
「こ、これはアルテミス様。よくぞいらっしゃいました。それで……本日は何故お越しに?」
でかい図体の割に低姿勢な黒曜騎士団副団長バクスは、手揉みでもしそうな勢いでアルテミス訪問の訳を窺う。アルテミスはキョロキョロと辺りを見渡しながら誰かを探す。
『ゼアルちゃんは?』
「団長でしたら席を外しております。ご用事とあらば即座に帰還させますが……」
『あー……そうだにゃぁ、すぐに呼び戻して欲しいにゃ。いつぐらいに戻れそう?』
「あ、はい。半日もあれば」
『上出来だにゃ』
バクスは側に居た部下に馬を走らせるように命令すると、アルテミスに向き直る。
「待たれるのであれば、天幕を設営しております。そちらでお待ちいただけますが如何でしょう?」
『中々殊勝な心掛けだにゃ。みんなバクスくらいウチを崇めるべきだにゃ。そう思うにゃろ?』
「はっ……もったいなきお言葉で……」
バクスは困った顔を笑顔で取り繕いながら大型の天幕に向かう。会議も行えるこの天幕は、黒曜騎士団兼、新ブルータイガーの第二拠点としての役割がある。大きな折りたたみ机が真ん中に置かれ、その上には現在いる地区の地図が広げて置いてある。また、木の種類やこのあたりの魔獣の生息域などの書類も散見される。どのように開発していくかの計画が、ついさっきまで行われていたかのような風景だった。
アルテミスがその計画書を何気なく確認している最中に、椅子を用意したり飲み物を用意したりと、バクスは付き人のように動き回る。触らぬ神に祟りなしというが、ここの神は自ら接触してくる。ならば、せめて気に障らぬようにアピールするのが大事なのだと思っている。
出てくる椅子、温かい飲み物、甲斐甲斐しい態度に目もくれず、当然のように享受するアルテミスだが、バクスは心のそこからホッとする。自分の対応が間違っていなかったのだと彼女の仕草から受け取れたからだ。
バサァッ
謎の達成感に身を浸していると、天幕が乱暴に開かれる。最初こそアルテミスの機嫌が損なわれると危惧したバクスだったが、入ってきた人間を見て杞憂だったと胸をなでおろした。
「こんな辺鄙な場所にまでご苦労なことだなアルテミス。一体何の用だ?」
ジラル=ヘンリー=マクマイン公爵。
イルレアン国を救った英雄であり、魔獣人の王国”カサブリア王国”を崩壊させたことに関わった人物。
『冷たいにゃ~。別にいつでもどこでも、理由なしに来ても歓迎するのが創造物のすべきことだにゃ。今すぐ頭を下げて謝罪をするにゃよ』
「断る。早く本題に入れ」
マクマインは尚も冷たく言い放つ。すぐ側にいつから居たのか、少女が足をプラプラさせて様子を見ている。
『冗談も通じにゃーい。……ってしつこ過ぎたかにゃ?なら本題に入るにゃ。もうすぐここに死がやってくるにゃ。あの男の出番にゃから用意をするようにって伝えに来たんにゃ』
「死……鏖のことか?貴様らから力を受け取ってあまり時間も経っては居ないが……うぅむ、力を十全に使えるのか判断しかねる。もう少し待ってからと言いたいな……いや、水を恐れていてはいつまでも泳げぬ。ここは飛び込むのも必要か?」
『良いんじゃない?私は時期尚早だと思うけど、アルテミス他みんなが賛同してるなら、私の出る幕じゃないよ。好きにやって私に結果を見せて』
アシュタロトの後押しもあり、マクマインはラルフたちとの戦いを許可する。
「しかしだ。万が一の際は貴様らがきちんと出てくるのだ。ゼアルの力は飛躍的に進化した。だが相手は腐っても鏖。負ける可能性も十分に存在することから、私は貴様らの全力のサポートを期待している」
『ほほぅ、抜け目ないにゃ。自分の兵士が信じられないのかにゃ?っと挑発するつもりにゃったが、無駄に終わってしまったようだにゃ。良いにゃろう、このアルテミスの名に誓って全力でのサポートを約束するにゃ』
その発言から、この機会にどうしても戦わせたいのだと察する。神々の思惑などマクマインの知ったことではないが、戦いの勝敗だけはどうしても気になる。
神の力で再強化を施されたゼアル 対 世界最強の化け物ミーシャ。
最強の禁止カード。切り札 対 切り札。魔断 対 魔王。
三度目の正直という言葉がある。マクマインはゼアルの勝利を願った。
そう、三度目の直接対決は目前だ。
世界有数の野盗団であり、イルレアン国でのいざこざを継起に活動範囲を大幅に拡充していた、誰にとっても最悪の敵である。
そんな野盗団の頭目”キジョウ”は、黒曜騎士団によって満月の夜に処刑された。その首は野党団幹部の前に晒され、恐怖を植え付けられる。これによりブルータイガーは実質的に力を失い、活動停止を余儀なくされる。
”王の集い”から自ら脱退したマクマインは自由を満喫していた。イルレアンでの活動をそこそこに、野外活動を開始。ブルータイガーを新たな拠点として基地の増設に力を入れる。
『た~の~も~』
そこに愉快な顔がやってきた。見た目こそ10代の女の子だが、中身は世界誕生の立役者でもある神と呼ばれる存在。アルテミスと名乗るこの女の子に対し、黒曜騎士団は困惑気味に頭を下げた。
「こ、これはアルテミス様。よくぞいらっしゃいました。それで……本日は何故お越しに?」
でかい図体の割に低姿勢な黒曜騎士団副団長バクスは、手揉みでもしそうな勢いでアルテミス訪問の訳を窺う。アルテミスはキョロキョロと辺りを見渡しながら誰かを探す。
『ゼアルちゃんは?』
「団長でしたら席を外しております。ご用事とあらば即座に帰還させますが……」
『あー……そうだにゃぁ、すぐに呼び戻して欲しいにゃ。いつぐらいに戻れそう?』
「あ、はい。半日もあれば」
『上出来だにゃ』
バクスは側に居た部下に馬を走らせるように命令すると、アルテミスに向き直る。
「待たれるのであれば、天幕を設営しております。そちらでお待ちいただけますが如何でしょう?」
『中々殊勝な心掛けだにゃ。みんなバクスくらいウチを崇めるべきだにゃ。そう思うにゃろ?』
「はっ……もったいなきお言葉で……」
バクスは困った顔を笑顔で取り繕いながら大型の天幕に向かう。会議も行えるこの天幕は、黒曜騎士団兼、新ブルータイガーの第二拠点としての役割がある。大きな折りたたみ机が真ん中に置かれ、その上には現在いる地区の地図が広げて置いてある。また、木の種類やこのあたりの魔獣の生息域などの書類も散見される。どのように開発していくかの計画が、ついさっきまで行われていたかのような風景だった。
アルテミスがその計画書を何気なく確認している最中に、椅子を用意したり飲み物を用意したりと、バクスは付き人のように動き回る。触らぬ神に祟りなしというが、ここの神は自ら接触してくる。ならば、せめて気に障らぬようにアピールするのが大事なのだと思っている。
出てくる椅子、温かい飲み物、甲斐甲斐しい態度に目もくれず、当然のように享受するアルテミスだが、バクスは心のそこからホッとする。自分の対応が間違っていなかったのだと彼女の仕草から受け取れたからだ。
バサァッ
謎の達成感に身を浸していると、天幕が乱暴に開かれる。最初こそアルテミスの機嫌が損なわれると危惧したバクスだったが、入ってきた人間を見て杞憂だったと胸をなでおろした。
「こんな辺鄙な場所にまでご苦労なことだなアルテミス。一体何の用だ?」
ジラル=ヘンリー=マクマイン公爵。
イルレアン国を救った英雄であり、魔獣人の王国”カサブリア王国”を崩壊させたことに関わった人物。
『冷たいにゃ~。別にいつでもどこでも、理由なしに来ても歓迎するのが創造物のすべきことだにゃ。今すぐ頭を下げて謝罪をするにゃよ』
「断る。早く本題に入れ」
マクマインは尚も冷たく言い放つ。すぐ側にいつから居たのか、少女が足をプラプラさせて様子を見ている。
『冗談も通じにゃーい。……ってしつこ過ぎたかにゃ?なら本題に入るにゃ。もうすぐここに死がやってくるにゃ。あの男の出番にゃから用意をするようにって伝えに来たんにゃ』
「死……鏖のことか?貴様らから力を受け取ってあまり時間も経っては居ないが……うぅむ、力を十全に使えるのか判断しかねる。もう少し待ってからと言いたいな……いや、水を恐れていてはいつまでも泳げぬ。ここは飛び込むのも必要か?」
『良いんじゃない?私は時期尚早だと思うけど、アルテミス他みんなが賛同してるなら、私の出る幕じゃないよ。好きにやって私に結果を見せて』
アシュタロトの後押しもあり、マクマインはラルフたちとの戦いを許可する。
「しかしだ。万が一の際は貴様らがきちんと出てくるのだ。ゼアルの力は飛躍的に進化した。だが相手は腐っても鏖。負ける可能性も十分に存在することから、私は貴様らの全力のサポートを期待している」
『ほほぅ、抜け目ないにゃ。自分の兵士が信じられないのかにゃ?っと挑発するつもりにゃったが、無駄に終わってしまったようだにゃ。良いにゃろう、このアルテミスの名に誓って全力でのサポートを約束するにゃ』
その発言から、この機会にどうしても戦わせたいのだと察する。神々の思惑などマクマインの知ったことではないが、戦いの勝敗だけはどうしても気になる。
神の力で再強化を施されたゼアル 対 世界最強の化け物ミーシャ。
最強の禁止カード。切り札 対 切り札。魔断 対 魔王。
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