338 / 718
第九章 頂上
第二十八話 専守防衛
しおりを挟む
バチィッ……
要塞の暗闇に稲妻が走った。
その稲妻を紙一重で躱しながら姿勢を低く、飛んでくる方向に武器を構える。ノーンとトドットはエレノアとの戦いに苦戦を強いられていた。
「あー……面倒臭っ!」
要塞の通路は直線的で遮蔽物が無い。その結果真っ向から攻撃を避ける必要があり、さらにテノスが顔面に直撃を受けて倒されている。まともに当たれば無事には済まない。
「ノーンよ、ここは儂が引き受けよう。おぬしは回り込んでテノスの様子を見てやってくれ」
「アレを引きつける?確実におじいさんより強いんだけど大丈夫なの?」
エレノアの実力を完璧に見定めたわけでは無いが、感じる絶対的強者の風格は隠せるものでは無い。稲妻を操るというのもその強さに拍車をかけている。
「なぁに?どぉしたのぉ?調子に乗って乗り込んできた割にはぁ、随分と消極的なのねぇ。もっと骨のある敵だと思ったのにぃ」
「……あ?」
ノーンは眉間にシワを寄せながらこめかみに血管を浮かせる。苛立ちを隠しきれずに立ち上がった。トドットは焦って屈むようにジェスチャーするが全く見ていない。
「馬鹿者っ……!挑発に乗るんじゃ無い!」
「黙って。あの女は私が殺す」
ノーンは槍を構えて突撃した。いきなり過ぎる行動に止めることも出来ずにトドットは頭を振った。
「若い……」
それだけ呟いてトドットは暗闇に消えた。
間合いを一気に詰めに行ったノーンは、エレノアの姿を認めると槍を前方に構えた。エレノアもすかさず稲妻を飛ばす。稲妻は空気を走り、光の速さで飛んでくる。それゆえに来る場所さえ分かれば避けることは然程難しいことではない。理論上、射線に居なければ当たることはないのだから。
ノーンは即座にそれを実行する。先ほどは後退しながら魔力の流れを読み取り、稲妻を躱していたが、今度は前に攻めながらこれをやってのけた。
「!……へぇ……」
エレノアはニヤリと笑う。器用なことをしながら近づいてくるノーンに興味をそそられた。
「じゃぁこれならどぉ?」
両手をかざして通路を塞ぐように放電した。これを避けることは物理的に不可能だ。しかし彼女はこの攻撃が来ることは想定済みだったようで、その電撃の嵐に槍を投げた。槍は避雷針のようにその電撃を一挙に引き受けた。
「あれ?」
エレノアは飛んでくる槍を半身で避けながら手で掴むと、後ろに放り投げた。ガランッと大きな音が鳴る。ノーンはヒューマンとは思えない速度で迫り、一気に間合いを詰めてエレノアの顔に向かって手を振るった。研いであるくらい鋭い爪は頬の肉を抉ろうと迫るが、その攻撃を難なく避ける。
ノーンは接近の勢いのままエレノアの後方に回り込み、投げ捨てられた槍を拾う。
「わぁ。曲芸師みたぁい」
エレノアの印象の通り、彼女は曲芸師のような身軽さで後転やバク転を決めた後、着地と同時に槍を構えた。細く長い息を吐きながら猛獣のような獰猛な殺意をエレノアに向ける。
「……さっきのアレはぁ、どうやったのぉ?私の魔力が一箇所に集まったやつぅ」
「は?教えない」
「だってだってぇ、私の稲妻はぁ自然発生する稲妻とは違うんだよぉ?あんな風にぃ一箇所に集まるなんてぇ、おかしいって誰でも思うよねぇ」
「だから教えないって……ってかアンタのその喋り方マジウザいんだけど。普通に喋れないわけ?」
初めてエレノアから笑顔が消える。目を細めてノーンに不快感を示す。
「……生意気ぃ。これが私の普通なんだけどぉ?小娘のくせにぃ、私に意見するわけぇ?」
「ウザ……アンタいくつよ。ぶりっ子とか流行んないから……」
「いくつぅ?う~ん、百年超えたところから数えてなぁい。でもぉこれだけは言えるよぉ。一児の母でぇす」
「はっ!ババァじゃん。もう若くないんだから落ち着きなよ」
エレノアの体からバチバチと放電し始める。
「あーあ、怒らせちゃったねぇ。手加減やぁめたぁ」
パリッ……
その動きは常人では目で追えない。何せ光の速さで動くのだ。ノーンの目に残像だけを残してエレノアは背後に回った。目にほとんど頼ることなく気配だけを追って背後の敵に槍を突き出すが、エレノアの裏拳が既にノーンの頬を叩いていた。あまりの威力に真横に吹っ飛び、頭から壁にぶつかった。
ゴンッという鈍い音が鳴り、ノーンは壁にもたれかかりながら崩れ落ちた。
「まだ死んでないよねぇ?中々動けるからぁ割と本気で殴っちゃったぁ。でもぉ頭吹っ飛んでないしぃ、生きてるよねぇ?」
目的は要塞の乗っ取りだったようだが、肝心のこいつらが誰なのかは分かっていない。この女の子も最初の少年も殺したかも知れないが、まだ老人がいるので情報収集には事欠かないだろう。
ノーンをほっといてトドットが逃げたと思われる通路に目を向けた。暗闇で見えない通路に稲妻で照らそうと魔力を貯め始めたその時、背後から光が迫ってくるのが分かった。貯めた魔力を振り返りざまに光に当てると、爆発が起こり、エレノアは吹っ飛ばされた。
地面に転がらないように手をつき、空中で体を反転させながら着地する。魔力球の飛んできた方向に目を向けると、顔が焼けて黒ずんでいるテノスが立っていた。
「このクソが……」
皮膚の薄皮が剥がれて痛々しい顔になっている。稲妻を顔面に受けたのに、こんなに早く起きてきたことに驚きを隠せない。
「え、すごぉい。ちゃんと生きてたんだぁ」
「……っざけんじゃねぇぞ。ゼッテー殺す」
テノスは魔道具を取り外した。乱暴に床に落としたので、ガラァンッと派手な音が鳴る。
その行動にエレノアは違和感を覚えた。
「何してるのぉ?それで攻撃しなきゃダメなんじゃなぁい?」
「頭キたから殴り殺してやるんだよ」
ビキビキッ……
少年の体から嫌な音が鳴る。全身に血管が浮き出て、筋肉が隆起する。体からオーラが出始め、先ほどのただの少年から一転、怪物のような雰囲気を醸し出す。
「何……?この子」
ただのヒューマンかと思っていたが、どうもおかしい。それは人間の皮を被った鬼。力を出して赤黒く変色していく姿はまるで半人半魔のようだ。その姿にブレイドを重ねた。
(この子も同じ……)
そんな風に呆けて見ていたが、テノスが踏み込んだ瞬間に気を張り直す。
その速度はエレノアとほぼ同じ。稲妻を纏う自分について来れるとすれば、テノスは光の速度で動いていることになる。ノーンとの攻防とは次元が違う。
エレノアは観察に入った。テノスの動き、癖、パターンを見極めるべく防御に徹する。速い。速いが、動きはまるで単調だ。速さと腕力に物を言わせて相手を叩き潰してきたのだろう、動きに対応できる強者に出会ったことがないと見えた。
年の頃もブレイドより若く、まだまだ発展途上。これほどの逸材が経験不足であることに感謝しかない。
エレノアは本気でテノスを殺そうと考える。ここでやらなければ、成長した少年とブレイドがやり合うことになるかも知れない。親の贔屓目に見ても、ブレイドではテノスに勝ち目はない。エレノアの拳が手刀に変わり、一点集中で腹部を貫くことを決意した時、エレノアの足に何かが絡みついた。
ギシッ
完全に足を固定され、一瞬硬直してしまう。その正体は床から生えた無数の手だった。それも光速で動き回る足を固定できるほどの強さを持った手達。
「今じゃ。やれテノス」
それが聞こえたわけではない。トドットが独り言のようにボソッと呟いていただけ。しかし、エレノアにはハッキリと聞こえていた。この手を出現させ、見事敵の隙を作った老人の声を。
ドボッ
単調で、愚直で、怒りのままに放った拳がエレノアの腹を貫いた。
「あがっ……!」
まさかの返り討ち。尋常ではない強さに、流石のエレノアも無傷ではいられない。どころか完全な致命傷。腹を貫いた拳を引き抜き、テノスは背後に飛んだ。
「余計なことすんじゃねぇよジジイ!!」
全部自分の力でやろうとしていたのだが、トドットに寄りそれは叶わぬ夢となった。エレノアは穴の開いたお腹を押さえながら自身の魔力で治癒を行う。しかし、痛みのせいで中々上手に魔力を練られず、血が溢れてしまう。徐々に回復が出来ているが、ここでまた攻撃されれば今度こそ死ぬかも知れない。
「すまんすまん。だがテノス、儂が加勢しとらんかったらおぬしがこうなっとったかもしらんぞ?さぁトドメを刺すのじゃ」
「命令すんじゃねぇ!言われなくてもここで殺す。見てな」
エレノアの腹部に刺し、血で濡れた右手を掲げる。この右手でエレノアの息の根を止めるようだ。足を掴まれて身動きが取れず、痛みから顔をあげるくらいしか出来ないエレノアは死を予感していた。
(ああ、ブレイブ……今から私も……)
ドンッ
無残に消し飛んだ。
テノスの血で濡れた右手が。
「ぐああああぁぁっ!!?」
何が起こったか分からず、手を抱えて蹲る。トドットもテノスの手先が丸ごと消し飛んだのに目を見開き驚きを隠せない。
エレノアがハッとして目を凝らすと、テノスの背後にブレイドの姿が見えた。ガンブレイドを構えたブレイドは血管を浮かせながら睨みつける。
「……お前ら、覚悟は出来てんだろうな?」
要塞の暗闇に稲妻が走った。
その稲妻を紙一重で躱しながら姿勢を低く、飛んでくる方向に武器を構える。ノーンとトドットはエレノアとの戦いに苦戦を強いられていた。
「あー……面倒臭っ!」
要塞の通路は直線的で遮蔽物が無い。その結果真っ向から攻撃を避ける必要があり、さらにテノスが顔面に直撃を受けて倒されている。まともに当たれば無事には済まない。
「ノーンよ、ここは儂が引き受けよう。おぬしは回り込んでテノスの様子を見てやってくれ」
「アレを引きつける?確実におじいさんより強いんだけど大丈夫なの?」
エレノアの実力を完璧に見定めたわけでは無いが、感じる絶対的強者の風格は隠せるものでは無い。稲妻を操るというのもその強さに拍車をかけている。
「なぁに?どぉしたのぉ?調子に乗って乗り込んできた割にはぁ、随分と消極的なのねぇ。もっと骨のある敵だと思ったのにぃ」
「……あ?」
ノーンは眉間にシワを寄せながらこめかみに血管を浮かせる。苛立ちを隠しきれずに立ち上がった。トドットは焦って屈むようにジェスチャーするが全く見ていない。
「馬鹿者っ……!挑発に乗るんじゃ無い!」
「黙って。あの女は私が殺す」
ノーンは槍を構えて突撃した。いきなり過ぎる行動に止めることも出来ずにトドットは頭を振った。
「若い……」
それだけ呟いてトドットは暗闇に消えた。
間合いを一気に詰めに行ったノーンは、エレノアの姿を認めると槍を前方に構えた。エレノアもすかさず稲妻を飛ばす。稲妻は空気を走り、光の速さで飛んでくる。それゆえに来る場所さえ分かれば避けることは然程難しいことではない。理論上、射線に居なければ当たることはないのだから。
ノーンは即座にそれを実行する。先ほどは後退しながら魔力の流れを読み取り、稲妻を躱していたが、今度は前に攻めながらこれをやってのけた。
「!……へぇ……」
エレノアはニヤリと笑う。器用なことをしながら近づいてくるノーンに興味をそそられた。
「じゃぁこれならどぉ?」
両手をかざして通路を塞ぐように放電した。これを避けることは物理的に不可能だ。しかし彼女はこの攻撃が来ることは想定済みだったようで、その電撃の嵐に槍を投げた。槍は避雷針のようにその電撃を一挙に引き受けた。
「あれ?」
エレノアは飛んでくる槍を半身で避けながら手で掴むと、後ろに放り投げた。ガランッと大きな音が鳴る。ノーンはヒューマンとは思えない速度で迫り、一気に間合いを詰めてエレノアの顔に向かって手を振るった。研いであるくらい鋭い爪は頬の肉を抉ろうと迫るが、その攻撃を難なく避ける。
ノーンは接近の勢いのままエレノアの後方に回り込み、投げ捨てられた槍を拾う。
「わぁ。曲芸師みたぁい」
エレノアの印象の通り、彼女は曲芸師のような身軽さで後転やバク転を決めた後、着地と同時に槍を構えた。細く長い息を吐きながら猛獣のような獰猛な殺意をエレノアに向ける。
「……さっきのアレはぁ、どうやったのぉ?私の魔力が一箇所に集まったやつぅ」
「は?教えない」
「だってだってぇ、私の稲妻はぁ自然発生する稲妻とは違うんだよぉ?あんな風にぃ一箇所に集まるなんてぇ、おかしいって誰でも思うよねぇ」
「だから教えないって……ってかアンタのその喋り方マジウザいんだけど。普通に喋れないわけ?」
初めてエレノアから笑顔が消える。目を細めてノーンに不快感を示す。
「……生意気ぃ。これが私の普通なんだけどぉ?小娘のくせにぃ、私に意見するわけぇ?」
「ウザ……アンタいくつよ。ぶりっ子とか流行んないから……」
「いくつぅ?う~ん、百年超えたところから数えてなぁい。でもぉこれだけは言えるよぉ。一児の母でぇす」
「はっ!ババァじゃん。もう若くないんだから落ち着きなよ」
エレノアの体からバチバチと放電し始める。
「あーあ、怒らせちゃったねぇ。手加減やぁめたぁ」
パリッ……
その動きは常人では目で追えない。何せ光の速さで動くのだ。ノーンの目に残像だけを残してエレノアは背後に回った。目にほとんど頼ることなく気配だけを追って背後の敵に槍を突き出すが、エレノアの裏拳が既にノーンの頬を叩いていた。あまりの威力に真横に吹っ飛び、頭から壁にぶつかった。
ゴンッという鈍い音が鳴り、ノーンは壁にもたれかかりながら崩れ落ちた。
「まだ死んでないよねぇ?中々動けるからぁ割と本気で殴っちゃったぁ。でもぉ頭吹っ飛んでないしぃ、生きてるよねぇ?」
目的は要塞の乗っ取りだったようだが、肝心のこいつらが誰なのかは分かっていない。この女の子も最初の少年も殺したかも知れないが、まだ老人がいるので情報収集には事欠かないだろう。
ノーンをほっといてトドットが逃げたと思われる通路に目を向けた。暗闇で見えない通路に稲妻で照らそうと魔力を貯め始めたその時、背後から光が迫ってくるのが分かった。貯めた魔力を振り返りざまに光に当てると、爆発が起こり、エレノアは吹っ飛ばされた。
地面に転がらないように手をつき、空中で体を反転させながら着地する。魔力球の飛んできた方向に目を向けると、顔が焼けて黒ずんでいるテノスが立っていた。
「このクソが……」
皮膚の薄皮が剥がれて痛々しい顔になっている。稲妻を顔面に受けたのに、こんなに早く起きてきたことに驚きを隠せない。
「え、すごぉい。ちゃんと生きてたんだぁ」
「……っざけんじゃねぇぞ。ゼッテー殺す」
テノスは魔道具を取り外した。乱暴に床に落としたので、ガラァンッと派手な音が鳴る。
その行動にエレノアは違和感を覚えた。
「何してるのぉ?それで攻撃しなきゃダメなんじゃなぁい?」
「頭キたから殴り殺してやるんだよ」
ビキビキッ……
少年の体から嫌な音が鳴る。全身に血管が浮き出て、筋肉が隆起する。体からオーラが出始め、先ほどのただの少年から一転、怪物のような雰囲気を醸し出す。
「何……?この子」
ただのヒューマンかと思っていたが、どうもおかしい。それは人間の皮を被った鬼。力を出して赤黒く変色していく姿はまるで半人半魔のようだ。その姿にブレイドを重ねた。
(この子も同じ……)
そんな風に呆けて見ていたが、テノスが踏み込んだ瞬間に気を張り直す。
その速度はエレノアとほぼ同じ。稲妻を纏う自分について来れるとすれば、テノスは光の速度で動いていることになる。ノーンとの攻防とは次元が違う。
エレノアは観察に入った。テノスの動き、癖、パターンを見極めるべく防御に徹する。速い。速いが、動きはまるで単調だ。速さと腕力に物を言わせて相手を叩き潰してきたのだろう、動きに対応できる強者に出会ったことがないと見えた。
年の頃もブレイドより若く、まだまだ発展途上。これほどの逸材が経験不足であることに感謝しかない。
エレノアは本気でテノスを殺そうと考える。ここでやらなければ、成長した少年とブレイドがやり合うことになるかも知れない。親の贔屓目に見ても、ブレイドではテノスに勝ち目はない。エレノアの拳が手刀に変わり、一点集中で腹部を貫くことを決意した時、エレノアの足に何かが絡みついた。
ギシッ
完全に足を固定され、一瞬硬直してしまう。その正体は床から生えた無数の手だった。それも光速で動き回る足を固定できるほどの強さを持った手達。
「今じゃ。やれテノス」
それが聞こえたわけではない。トドットが独り言のようにボソッと呟いていただけ。しかし、エレノアにはハッキリと聞こえていた。この手を出現させ、見事敵の隙を作った老人の声を。
ドボッ
単調で、愚直で、怒りのままに放った拳がエレノアの腹を貫いた。
「あがっ……!」
まさかの返り討ち。尋常ではない強さに、流石のエレノアも無傷ではいられない。どころか完全な致命傷。腹を貫いた拳を引き抜き、テノスは背後に飛んだ。
「余計なことすんじゃねぇよジジイ!!」
全部自分の力でやろうとしていたのだが、トドットに寄りそれは叶わぬ夢となった。エレノアは穴の開いたお腹を押さえながら自身の魔力で治癒を行う。しかし、痛みのせいで中々上手に魔力を練られず、血が溢れてしまう。徐々に回復が出来ているが、ここでまた攻撃されれば今度こそ死ぬかも知れない。
「すまんすまん。だがテノス、儂が加勢しとらんかったらおぬしがこうなっとったかもしらんぞ?さぁトドメを刺すのじゃ」
「命令すんじゃねぇ!言われなくてもここで殺す。見てな」
エレノアの腹部に刺し、血で濡れた右手を掲げる。この右手でエレノアの息の根を止めるようだ。足を掴まれて身動きが取れず、痛みから顔をあげるくらいしか出来ないエレノアは死を予感していた。
(ああ、ブレイブ……今から私も……)
ドンッ
無残に消し飛んだ。
テノスの血で濡れた右手が。
「ぐああああぁぁっ!!?」
何が起こったか分からず、手を抱えて蹲る。トドットもテノスの手先が丸ごと消し飛んだのに目を見開き驚きを隠せない。
エレノアがハッとして目を凝らすと、テノスの背後にブレイドの姿が見えた。ガンブレイドを構えたブレイドは血管を浮かせながら睨みつける。
「……お前ら、覚悟は出来てんだろうな?」
0
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!
ちゃむふー
ファンタジー
今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。
なのに突然のパーティークビ宣言!!
確かに俺は直接の攻撃タイプでは無い。
補助魔法師だ。
俺のお陰で皆の攻撃力防御力回復力は約3倍にはなっていた筈だ。
足手まといだから今日でパーティーはクビ??
そんな理由認められない!!!
俺がいなくなったら攻撃力も防御力も回復力も3分の1になるからな??
分かってるのか?
俺を追い出した事、絶対後悔するからな!!!
ファンタジー初心者です。
温かい目で見てください(*'▽'*)
一万文字以下の短編の予定です!
幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話
妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』
『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』
『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』
大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる