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第15話 討伐作戦開始
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翌日から、王国の北側へと向かう。
悪魔の祝福の討伐作戦に参加するのは、王宮聖騎士団、魔道師団と有志で集まったBランク以上の冒険者たちだ。
王都にも戦力は残しておかないと、いざという時に困るので、最低限の戦力は残し、あとは全て悪魔の祝福の魔獣討伐チームに振っていく。
「アリーセ、おはよう。昨日はよく寝れましたか?」
「はい、ちゃんと寝たので魔力もバッチリです!」
王宮の庭には騎士団と魔道士団の馬車が7台停車していた。
アリーセは白衣をドレスの上から羽織っている。
「それならよかった。そろそろ出発になります。アリーセは私と同じ馬車に乗ってください」
「分かりました」
ダイン様の手を借りて、アリーセは馬車に乗り込む。
ここから、魔獣が大量発生している、北側までは半日ほどかかる。
今日の夕方には到着するという計算だ。
「では、出発する!」
ダインの声で、馬車が連なって出発する。
馬車はゆっくりと動き始めた。
ダインはアリーセの隣の席に座っている。
「緊張していますか?」
「まあ、少し」
「大丈夫。この剣がある限り、あなたに魔獣の攻撃は届くことはありません」
ダインがアリーセの震える手を握った。
「ありがとうございます」
「まだ、時間がかかりますから休んでいてください。本番は明日です」
学者の計算によれば、明日が悪魔の祝福の当日だという。
今日は魔獣の出現予定の場所から一番近い街で一泊する予定だ。
馬車は順調に進んでいく。
途中、休憩を挟んで談笑する。
「アリーセさんの治癒術はすごいんだ! こんなデカい傷も跡形もなく消えちまったんだからよ」
「僕も折れた骨を治してもらいましたけど、あんな治癒精霊術は初めてです」
「アリーセさんが居れば百人力よ!」
アリーセが以前助けた騎士たちから、賞賛の声が上がる。
「ふふふ、ありがとうございます」
「なにしろ、アリーセさんは美人さんだからなぁ。団長が羨ましいっすよ」
「彼女に手を出したら殺すぞ」
ダインがドスの効いた声で言った。
「団長、声がマジすぎますって。愛されてますねー」
「うんうん、団長がこんなんなっちゃうとはねぇ」
「なんて、プロポーズされたんですか?」
騎士団の人たちから質問責めされる。
「それはまあ、カッコいいこと言ってましたっかね」
アリーセはニコッと笑って言った。
休憩を終えて、馬車はまた進み始める。
「騎士団の連中とも馴染めているようで良かった」
隣に座るダインが言った。
「そうですね。治癒するのにも信頼関係があった方がいいですから」
どこの誰かもわからない人間に怪我の治療をされるのは、少なからず不安が残るものである。
アリーセはその不安要素をできるだけ取り除いておきたかったのだ。
「さすがは、陛下が認めた治癒師だな」
そして、日が傾いてきた頃、目的の街に到着したのであった。
悪魔の祝福の討伐作戦に参加するのは、王宮聖騎士団、魔道師団と有志で集まったBランク以上の冒険者たちだ。
王都にも戦力は残しておかないと、いざという時に困るので、最低限の戦力は残し、あとは全て悪魔の祝福の魔獣討伐チームに振っていく。
「アリーセ、おはよう。昨日はよく寝れましたか?」
「はい、ちゃんと寝たので魔力もバッチリです!」
王宮の庭には騎士団と魔道士団の馬車が7台停車していた。
アリーセは白衣をドレスの上から羽織っている。
「それならよかった。そろそろ出発になります。アリーセは私と同じ馬車に乗ってください」
「分かりました」
ダイン様の手を借りて、アリーセは馬車に乗り込む。
ここから、魔獣が大量発生している、北側までは半日ほどかかる。
今日の夕方には到着するという計算だ。
「では、出発する!」
ダインの声で、馬車が連なって出発する。
馬車はゆっくりと動き始めた。
ダインはアリーセの隣の席に座っている。
「緊張していますか?」
「まあ、少し」
「大丈夫。この剣がある限り、あなたに魔獣の攻撃は届くことはありません」
ダインがアリーセの震える手を握った。
「ありがとうございます」
「まだ、時間がかかりますから休んでいてください。本番は明日です」
学者の計算によれば、明日が悪魔の祝福の当日だという。
今日は魔獣の出現予定の場所から一番近い街で一泊する予定だ。
馬車は順調に進んでいく。
途中、休憩を挟んで談笑する。
「アリーセさんの治癒術はすごいんだ! こんなデカい傷も跡形もなく消えちまったんだからよ」
「僕も折れた骨を治してもらいましたけど、あんな治癒精霊術は初めてです」
「アリーセさんが居れば百人力よ!」
アリーセが以前助けた騎士たちから、賞賛の声が上がる。
「ふふふ、ありがとうございます」
「なにしろ、アリーセさんは美人さんだからなぁ。団長が羨ましいっすよ」
「彼女に手を出したら殺すぞ」
ダインがドスの効いた声で言った。
「団長、声がマジすぎますって。愛されてますねー」
「うんうん、団長がこんなんなっちゃうとはねぇ」
「なんて、プロポーズされたんですか?」
騎士団の人たちから質問責めされる。
「それはまあ、カッコいいこと言ってましたっかね」
アリーセはニコッと笑って言った。
休憩を終えて、馬車はまた進み始める。
「騎士団の連中とも馴染めているようで良かった」
隣に座るダインが言った。
「そうですね。治癒するのにも信頼関係があった方がいいですから」
どこの誰かもわからない人間に怪我の治療をされるのは、少なからず不安が残るものである。
アリーセはその不安要素をできるだけ取り除いておきたかったのだ。
「さすがは、陛下が認めた治癒師だな」
そして、日が傾いてきた頃、目的の街に到着したのであった。
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