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第11話 王女の回復
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翌日、エミリアの魔力は完全に回復した。
「王女様の様子を診せて頂いてもよろしいでしょうか?」
王女お付きの従者へと声をかける。
「エミリア様、もう体調はよろしいのですか?」
「ええ、ご心配をおかけしました」
「何よりでございます。お嬢様はこちらです」
リタ王女はベッドの上で横になっている。
「あなたは?」
「医師のエミリア・メディと申します」
「では、あなたが私の命を?」
「僭越ながら治療させて頂きました。お体の具合はいかがですか?」
顔色は随分と良くなったようだ。
「もう、すっかり良くないりました」
「診察させて頂いても?」
「ええ、もちろんよ」
エミリアは王女の左手を確認する。
悪魔の魔法陣は跡形も無く消えている。
「手に何か違和感などはありませんか?」
「ないわね」
「それならよかったです。他は大丈夫そうですね」
呪いは無事に解除されている。
その他、状態異常も見られない。
一安心だろう。
「何か気になることがあれば、いつでも言ってくださいね」
「ありがとう」
「では、お大事になさって下さい」
エミリアがリタの元を後にする。
「エミリアさん、少し今よろしいですか?」
サルヴァの声がしたので振り返る。
「はい、大丈夫ですよ」
「父上が褒賞を与えたいから来てほしいと」
「分かりました」
いつもの応接間。
陛下と対面に腰を下ろす。
「娘の命を救ってくれたこと、感謝する。受け取ってくれ」
テーブルの上に箱が二つ置かれた。
「これは?」
「こっちには金貨で300枚入っている。生活の足しにでもしてくれ」
「え!?」
やはり、王族というのは感覚がズレているのかもしれない。
普通なら余裕で5年は暮らしていけるほどの大金だ。
「少なかったか?」
「いや、こんな大金受け取れませんよ!」
「そうはいかない。これは、治療に対する正当な報酬だ」
ここで陛下と議論していたら明日の朝になってしまうだろう。
「分かりました。ありがたく頂きます。こっちは?」
「開けてみてくれ」
エミリアが箱を開ける。
そこには金色のメダルが一つ入っていた。
「これは、王家の家紋……」
「我がマルディン王家のメダルだ。この国で何か困ったことがあったらそれを見せるといい」
王家の紋章が入ったメダルをもらうということは、王家が身分を保証するのはもちろん、トラブルがあった時は王家が後ろ盾になるという証だ。
「よろしいのですか?」
「ああ、今後の医療活動でマルディン王家の名前をしようすることを許可する。存分に命を救ってくれ」
「ご期待に添えるように頑張ります」
メダルを白衣のポケットの中にしまった。
「一つ、お尋ねしてもいいですか?」
「なんだね? 言ってみなさい」
「なんで、王女殿下は呪いを受けたのでしょうか?」
その瞬間、部屋の空気が凍りついたように感じた。
「王女様の様子を診せて頂いてもよろしいでしょうか?」
王女お付きの従者へと声をかける。
「エミリア様、もう体調はよろしいのですか?」
「ええ、ご心配をおかけしました」
「何よりでございます。お嬢様はこちらです」
リタ王女はベッドの上で横になっている。
「あなたは?」
「医師のエミリア・メディと申します」
「では、あなたが私の命を?」
「僭越ながら治療させて頂きました。お体の具合はいかがですか?」
顔色は随分と良くなったようだ。
「もう、すっかり良くないりました」
「診察させて頂いても?」
「ええ、もちろんよ」
エミリアは王女の左手を確認する。
悪魔の魔法陣は跡形も無く消えている。
「手に何か違和感などはありませんか?」
「ないわね」
「それならよかったです。他は大丈夫そうですね」
呪いは無事に解除されている。
その他、状態異常も見られない。
一安心だろう。
「何か気になることがあれば、いつでも言ってくださいね」
「ありがとう」
「では、お大事になさって下さい」
エミリアがリタの元を後にする。
「エミリアさん、少し今よろしいですか?」
サルヴァの声がしたので振り返る。
「はい、大丈夫ですよ」
「父上が褒賞を与えたいから来てほしいと」
「分かりました」
いつもの応接間。
陛下と対面に腰を下ろす。
「娘の命を救ってくれたこと、感謝する。受け取ってくれ」
テーブルの上に箱が二つ置かれた。
「これは?」
「こっちには金貨で300枚入っている。生活の足しにでもしてくれ」
「え!?」
やはり、王族というのは感覚がズレているのかもしれない。
普通なら余裕で5年は暮らしていけるほどの大金だ。
「少なかったか?」
「いや、こんな大金受け取れませんよ!」
「そうはいかない。これは、治療に対する正当な報酬だ」
ここで陛下と議論していたら明日の朝になってしまうだろう。
「分かりました。ありがたく頂きます。こっちは?」
「開けてみてくれ」
エミリアが箱を開ける。
そこには金色のメダルが一つ入っていた。
「これは、王家の家紋……」
「我がマルディン王家のメダルだ。この国で何か困ったことがあったらそれを見せるといい」
王家の紋章が入ったメダルをもらうということは、王家が身分を保証するのはもちろん、トラブルがあった時は王家が後ろ盾になるという証だ。
「よろしいのですか?」
「ああ、今後の医療活動でマルディン王家の名前をしようすることを許可する。存分に命を救ってくれ」
「ご期待に添えるように頑張ります」
メダルを白衣のポケットの中にしまった。
「一つ、お尋ねしてもいいですか?」
「なんだね? 言ってみなさい」
「なんで、王女殿下は呪いを受けたのでしょうか?」
その瞬間、部屋の空気が凍りついたように感じた。
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