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第72話 元エルフの姫の決断。
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御影はクラリスと対面する形で話していた。
「兄が居ない……?」
「はい、弟と妹は居ましたが、兄は居ません」
「やっぱりそうだったか。里に帰る気は無いって事で本当にいいんだな?」
「はい」
クラリスの目は真剣だった。
「分かった。じゃあ、返還要求には従わない」
御影としては、元々引き渡すつもりは無かったが、クラリスの意思が最優先だ。
「それで構いません。でも、御影さんは大丈夫なんですか? 里と一戦交える事になるんじゃ?」
「まぁ、武力行使も辞さないと言って居るからな。まぁ、その辺は俺に任せておけ」
「何か策があるんですか?」
「ああ、正面突破だ」
「へ!?」
クラリスは予想外の事を言われ、驚いた表情をした。
「相手も多少、武力には自信があるようたが、それを凌駕する力で、その自信を叩き潰してやればいい」
「な、なるほど……」
その日の夜、杏やメレーヌ、ロランにクラリスのことを話した。
「それで、またしばらく屋敷を空ける事になりそうなんだ。すまない」
御影は頭を下げた。
「いってらっしゃい。クラリスさんは家族も同じですから、その危機となれば私も黙っていられません」
いつもは余計な事に首を突っ込むなと言っている杏に珍しく小言を言われなかった。
「旦那様の暴走は今に始まった事ではありません。屋敷の事はお任せを」
「お店の方は私たちに任せない」
ロランも杏も協力的な姿勢だった。
「分かったありがとう」
そして、御影は夕食を食べ終わると部屋に戻り、眠りについた。
翌朝、普段より早い時間にベッドから体を起こすとその足で王宮へと出向いた。
王宮へ着くとメイドさんにより応接間へと通された。
「朝から申し訳ありません」
数分で陛下たちが入って来た。
「いや、構わんよ。それで、クラリスさんの事は決まったかね?」
「はい、クラリスはここに残ると言っています。僕も引き渡す気は更々ありません」
「という事は?」
「武力には武力で対抗します」
「やっぱりそうなるよなぁ。お前さんは大人しそうに見えて、肝が座っておるからのぉ」
陛下は小さなため息を付いた。
「まぁ、好きにやりなさい。くれぐれも国へ被害を出さないようにしてくれ」
「承知しました」
陛下よ許可が下りた所で御影は王宮を後にした。
「よし、やるか!」
御影はスーツの襟を正した。
『三日後、我らが姫、クラリス様をお返し願いたい。要求に応じない場合は、戦争も辞さない』
返還要請の書簡にはそう書かれていた。
三日後、つまり明日がその取り引きの日である。
「久々に全力が出せそうだな」
そんな事を考えながら、御影は屋敷へと戻った。
「おかえりなさい。どうでした?」
クラリスが出迎えてくれた。
「ああ、国への被害を出さない条件で陛下の許可が下りたよ」
「そうですか。あの、気をつけて下さいね」
「もちろん」
そう言って御影はクラリスの頭をそっと撫でた。
「兄が居ない……?」
「はい、弟と妹は居ましたが、兄は居ません」
「やっぱりそうだったか。里に帰る気は無いって事で本当にいいんだな?」
「はい」
クラリスの目は真剣だった。
「分かった。じゃあ、返還要求には従わない」
御影としては、元々引き渡すつもりは無かったが、クラリスの意思が最優先だ。
「それで構いません。でも、御影さんは大丈夫なんですか? 里と一戦交える事になるんじゃ?」
「まぁ、武力行使も辞さないと言って居るからな。まぁ、その辺は俺に任せておけ」
「何か策があるんですか?」
「ああ、正面突破だ」
「へ!?」
クラリスは予想外の事を言われ、驚いた表情をした。
「相手も多少、武力には自信があるようたが、それを凌駕する力で、その自信を叩き潰してやればいい」
「な、なるほど……」
その日の夜、杏やメレーヌ、ロランにクラリスのことを話した。
「それで、またしばらく屋敷を空ける事になりそうなんだ。すまない」
御影は頭を下げた。
「いってらっしゃい。クラリスさんは家族も同じですから、その危機となれば私も黙っていられません」
いつもは余計な事に首を突っ込むなと言っている杏に珍しく小言を言われなかった。
「旦那様の暴走は今に始まった事ではありません。屋敷の事はお任せを」
「お店の方は私たちに任せない」
ロランも杏も協力的な姿勢だった。
「分かったありがとう」
そして、御影は夕食を食べ終わると部屋に戻り、眠りについた。
翌朝、普段より早い時間にベッドから体を起こすとその足で王宮へと出向いた。
王宮へ着くとメイドさんにより応接間へと通された。
「朝から申し訳ありません」
数分で陛下たちが入って来た。
「いや、構わんよ。それで、クラリスさんの事は決まったかね?」
「はい、クラリスはここに残ると言っています。僕も引き渡す気は更々ありません」
「という事は?」
「武力には武力で対抗します」
「やっぱりそうなるよなぁ。お前さんは大人しそうに見えて、肝が座っておるからのぉ」
陛下は小さなため息を付いた。
「まぁ、好きにやりなさい。くれぐれも国へ被害を出さないようにしてくれ」
「承知しました」
陛下よ許可が下りた所で御影は王宮を後にした。
「よし、やるか!」
御影はスーツの襟を正した。
『三日後、我らが姫、クラリス様をお返し願いたい。要求に応じない場合は、戦争も辞さない』
返還要請の書簡にはそう書かれていた。
三日後、つまり明日がその取り引きの日である。
「久々に全力が出せそうだな」
そんな事を考えながら、御影は屋敷へと戻った。
「おかえりなさい。どうでした?」
クラリスが出迎えてくれた。
「ああ、国への被害を出さない条件で陛下の許可が下りたよ」
「そうですか。あの、気をつけて下さいね」
「もちろん」
そう言って御影はクラリスの頭をそっと撫でた。
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