元最強賢者は異世界でメイドカフェを開きます〜転生賢者のメイドカフェ経営〜

第25話 エルフの長老に会いました。

「ふぅ、なんとか入れたな」
「半分以上脅してましたけどね」
「ん？　そうか？　まあ、気にしない気にしない」

御影たちは長老が住んでいるという屋敷に向かっていた。

「ちゃんと会ってくれるといいんだけどね」

長老の屋敷には門番と思われる者が二人立っていた。

「長老に会いたいのだけど」
「お前は？」
「叢雲御影だ。王宮騎士団の特別顧問をしている」

御影はギルドカードを提示した。
プラチナに光るギルドカードにはSランクの文字がある。

「長老様に確認を取るから待っていろ」

門番の男は中に入っていった。
数分待つと、男が戻って来た。

「長老がお会いになるそうだ。入っていいぞ」

御影たちは応接間と思われる部屋に通された。
そこから更に数分待つと長老が入って来た。

「お待たせ致しましたな。世界最強と言われた賢者様が私に何のご用でしょうか？」

長老の後ろには護衛と思われる者が複数人立っていた。
ずいぶんと用心深い野郎だな。

「担当直入に言うぞ、お前らがやっている儀式をやめろ」

その言葉に長老たちは一瞬、驚いた表情をした。

「儀式ですと？」
「クラリスとそこのレイシャから大体の話は聞いている。若い女を生贄に捧げるなどふざけた真似は金輪際行うな」

御影は無表情に言い放った。

「何！？　クラリスは生きているのか？　　　　　　　　　　　それと、賢者様はなんの権限でそれを仰っているのですか？」
「あぁ、生きているよ。これは王様からの勅命でもある。無視はさせないぞ」
「しかしながら、私どもの儀式を知ってしまった以上、賢者様といえ、そう簡単に返すわけには行きませんな」

後に立っていたエルフたちが戦闘態勢に入った。

「いくら賢者様でもこれだけの数を相手にできますかね？」

エルフ族は魔法に長けた種族である。
こんなに複数に囲まれたら普通はかなりやばい状況である。
しかし、御影は余裕の表情を見せていた。

「それがお前たちの答えでいいんだな」
「お前ら、こいつを痛い目に遭わせてやれ！！」

長老が配下に命令した。

「本当にロクでも無いヤツだなぁ」

御影の目には怒りの感情が浮かんだ。

『サンダースピア』
『アクアカッター』

魔法が展開されよとしていた。

「おいおい、こんな所で本気で魔法をぶっ放すつもりかよ」

『解析』

御影は即座に相手の魔法式を解析し、魔術式を勝手に書き換えてしまった。
それにより展開しようとした魔術は大幅に威力を落として放たれた。

「お部屋の中で魔法はやめましょうね」

御影は黒い笑みを浮かべた。
　それから少しばかり長老たちには痛い目を見てもらった。

「金輪際、儀式はやめろ。もし、同じことを繰り返すなら、この里ごと潰す。いいな？」
「わかっ……た」

長老は頷いた。
　御影たちは長老の屋敷を後にした。

「あれだけ脅せば、ひとまずは安心だと思うぞ」
「本当にありがとうございます」
「じゃあ、俺たちは王都に帰るよ。クラリスもいい？　ここに残らなくて」
「はい、私は御影さんについて行くと決めてましたから」
「そうか。ありがとう。これからもよろしくな」

こうして御影たちは日常を取り戻すのであった。