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第11話 貴族様でもお触りは厳禁です。
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メイドカフェを開店してから数日が経過した。
やっと客足も落ち着き店も軌道に乗ってきた。
メイドカフェはこの世界でも好評であり、御影の店は、貴族や王族にまで広まっていった。
「今日ものんびり運営ができるな」
昼間ということもあり、お客様はあまり入っていない。
大体17時頃から少し込み合ってくる。
冒険者たちに休日も平日も関係ないのだが、やはり、昼間は働いている人が多いのである。
御影の方針としてものんびりやっていきたいので特に問題はない。
元々、趣味で始めた店なのだから、赤字でもよかったのだ。
「お邪魔するよ」
「「おかえりなさいませご主人様」」
いかにも高そうな服とアクセサリーの類を身に着けている。
「貴族か。何も問題なければいいのだが」
御影は一抹の不安を覚えた。
貴族はプライドの塊みたいな奴らが多いので接客する側としてはいい気分にはならない。
「ほう、ここが今はやりのメイド喫茶というものか。なかなかいいものかもしれんな」
「はい、クレール様」
おそらく、護衛の騎士か何かであろう。
貴族の男の横には二人の男が立っていた。
「クレール? どっかで聞いた名前だな。確か、子爵だったか。あまりいい噂は聞かなかったような……」
御影が現役のころはそこそこ貴族とも交流があった。
「おかえりなさいませ」
杏が水とサービスのポップコーンを置いた。
「ご注文がお決まりになりましたら、お近くのメイドにお申し付けください。護衛のお二人もお座りになられてはいかがですか?」
「ああ、お前たち、座っていいぞ」
「「はっ」」
クレールの許しを得て護衛の二人も席についいた。
「では、私は果実酒をもらおう。お前たちはどうする?」
「我々は水で」
「はい、かしこまりました。果実酒とお水ですね。少々お待ちください」
杏は注文を取ってキッチンに戻ってきた。
「御影さん、果実酒をお願いします」
「あいよ。あいつ、貴族だから気をつけろよ。何かあったら俺を呼べ」
「はい、大丈夫です。ありがとうございます」
杏は微笑みを浮かべた。
「お待たせしました。果実酒とお水です」
杏は注文された品をそっと置いた。
クレールとかいう貴族はかなりハイスピードで果実酒を煽る。
だいぶ酔いが回ってきたのだろう。
「ねえ、お姉さんかわいいね。店長さんなの?」
杏は胸の位置に店長という肩書と名前が書かれたネームプレートを付けている。
「ありがとうございます。はい、店長を務めています」
「じゃあ、ここの責任者?」
「いえ、私の上にオーナーがいます」
「へぇ、なら俺のところにこない?」
「い、いえ、それはちょっと」
クレールとかいう貴族は杏の腕を掴もうとした。
「ちょっと、やめてください。触るのはご法度です」
「俺は貴族だぞ!!!」
「関係ねぇよ」
御影はドスの効いた声で割って入った。
「誰だ? お前は」
「叢雲御影、ここのオーナーだよ」
「御影……だと。ここがお前の店なのか?」
「ああ、貴族だろうが王族だろうが、ルールを破るやつは許さねぇ。出禁にしてやる」
「貴様、クレール様になんて口の利き方を!」
護衛の一人が剣を抜いた。
「お前、俺に剣を向けたな? 分かっているのだろうな。人に剣を向けるということはお前も死ぬ覚悟をせねばならんことを」
「な、なにを言っている?」
御影は一気に間合いを詰めて剣を叩き落とす。
そのまま足をかけ、投げ飛ばした。
「出ていけ」
「貴様、何者だ?」
倒れていない方の護衛が驚いた表情をした。
「叢雲御影、この世界で最強と言われた者だよ」
やっと客足も落ち着き店も軌道に乗ってきた。
メイドカフェはこの世界でも好評であり、御影の店は、貴族や王族にまで広まっていった。
「今日ものんびり運営ができるな」
昼間ということもあり、お客様はあまり入っていない。
大体17時頃から少し込み合ってくる。
冒険者たちに休日も平日も関係ないのだが、やはり、昼間は働いている人が多いのである。
御影の方針としてものんびりやっていきたいので特に問題はない。
元々、趣味で始めた店なのだから、赤字でもよかったのだ。
「お邪魔するよ」
「「おかえりなさいませご主人様」」
いかにも高そうな服とアクセサリーの類を身に着けている。
「貴族か。何も問題なければいいのだが」
御影は一抹の不安を覚えた。
貴族はプライドの塊みたいな奴らが多いので接客する側としてはいい気分にはならない。
「ほう、ここが今はやりのメイド喫茶というものか。なかなかいいものかもしれんな」
「はい、クレール様」
おそらく、護衛の騎士か何かであろう。
貴族の男の横には二人の男が立っていた。
「クレール? どっかで聞いた名前だな。確か、子爵だったか。あまりいい噂は聞かなかったような……」
御影が現役のころはそこそこ貴族とも交流があった。
「おかえりなさいませ」
杏が水とサービスのポップコーンを置いた。
「ご注文がお決まりになりましたら、お近くのメイドにお申し付けください。護衛のお二人もお座りになられてはいかがですか?」
「ああ、お前たち、座っていいぞ」
「「はっ」」
クレールの許しを得て護衛の二人も席についいた。
「では、私は果実酒をもらおう。お前たちはどうする?」
「我々は水で」
「はい、かしこまりました。果実酒とお水ですね。少々お待ちください」
杏は注文を取ってキッチンに戻ってきた。
「御影さん、果実酒をお願いします」
「あいよ。あいつ、貴族だから気をつけろよ。何かあったら俺を呼べ」
「はい、大丈夫です。ありがとうございます」
杏は微笑みを浮かべた。
「お待たせしました。果実酒とお水です」
杏は注文された品をそっと置いた。
クレールとかいう貴族はかなりハイスピードで果実酒を煽る。
だいぶ酔いが回ってきたのだろう。
「ねえ、お姉さんかわいいね。店長さんなの?」
杏は胸の位置に店長という肩書と名前が書かれたネームプレートを付けている。
「ありがとうございます。はい、店長を務めています」
「じゃあ、ここの責任者?」
「いえ、私の上にオーナーがいます」
「へぇ、なら俺のところにこない?」
「い、いえ、それはちょっと」
クレールとかいう貴族は杏の腕を掴もうとした。
「ちょっと、やめてください。触るのはご法度です」
「俺は貴族だぞ!!!」
「関係ねぇよ」
御影はドスの効いた声で割って入った。
「誰だ? お前は」
「叢雲御影、ここのオーナーだよ」
「御影……だと。ここがお前の店なのか?」
「ああ、貴族だろうが王族だろうが、ルールを破るやつは許さねぇ。出禁にしてやる」
「貴様、クレール様になんて口の利き方を!」
護衛の一人が剣を抜いた。
「お前、俺に剣を向けたな? 分かっているのだろうな。人に剣を向けるということはお前も死ぬ覚悟をせねばならんことを」
「な、なにを言っている?」
御影は一気に間合いを詰めて剣を叩き落とす。
そのまま足をかけ、投げ飛ばした。
「出ていけ」
「貴様、何者だ?」
倒れていない方の護衛が驚いた表情をした。
「叢雲御影、この世界で最強と言われた者だよ」
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