48 / 87
第48話 出版社からのお呼び出し
しおりを挟む
春輝は、アニメで使用する文字デザインも大体書き上げてしまった。
「よし、あとはスキャンして送ればいいだけだな」
データをメールに添付して、担当者編集に送り終わった。
『今回も最高です。今週の土曜日、14時に会社の方に来ていただくことは可能ですか?』
笹井からそう返って来た。
『今週の土曜日ですね。大丈夫です。お伺いします』
そう、返信すると、春輝はパソコンを閉じた。
「お疲れですね」
「ああ、ようやく、アニメの方の文字デザインが一段落してな」
目頭を押さえながら言った。
「なにか飲みます?」
「いや、大丈夫だよ」
そう言うと、春輝はリビングのソファーに身をゆだねた。
「今週の土曜日、出版社に行ってくるわ」
「そうなんですか。忙しいですね」
「ああ、用件は大事な事だから会ってから話すとさ」
「兄さんもお風呂入ってきたらどうですか?」
紗良に促され、風呂に入ると、そのまま早めに休むことにした。
****
土曜日、出版社に向かうべく、家を出た。
「行ってくる」
「いってらっしゃい。気をつけてくださいね」
「おう、また、夕方には帰れると思う」
「分かりました」
紗良に見送られ、駅へと向かう。
そこから、20分ほど電車に揺られて、出版社の最寄り駅に到着した。
「東條と申します。笹井さんとお約束しております」
受付で手続きを済ませ、編集部のある4階へ向かう。
「東條先生、お待ちしておりました。こちらへお願いします」
「はい」
会議室に通された。
「今日は、アニメの件ですか?」
「いえ、今回は別の仕事を先生にお願いしたく、来ていただきました」
「別の仕事?」
「はい、先生は確か、文章系には強かったですよね?」
そう言いながら、笹井は資料を広げていた。
「ええ、まあ、それなりには書けますが」
「ライトノベルを出版してみませんか?」
「え……」
予想にもしていなかった打診を受けた。
「でも、僕、書道家ですよ?」
「だからいいんです。マホガクの題字をされている先生が、小説を書く。話題性としては申し分ないじゃないではありませんか」
「担当は、笹井さんが?」
「そうしたいのは、山々なんですが、私は手一杯でして、別の担当が付きます。呼んできますね」
そう言って、笹井は会議室を出た。
数分後、笹井は戻ってきた。
「お待たせしました。こちらが先生の担当になる、朝桐です」
「初めまして」
笹井が連れてきた担当者は、20代後半と思われる綺麗な女性だった。
「どうも、初めまして」
春輝も立ち上がって挨拶をした。
「朝桐結花と申します」
そう言って、名刺を手渡してくれた。
「東條零です」
二人は握手を交わした。
「よし、あとはスキャンして送ればいいだけだな」
データをメールに添付して、担当者編集に送り終わった。
『今回も最高です。今週の土曜日、14時に会社の方に来ていただくことは可能ですか?』
笹井からそう返って来た。
『今週の土曜日ですね。大丈夫です。お伺いします』
そう、返信すると、春輝はパソコンを閉じた。
「お疲れですね」
「ああ、ようやく、アニメの方の文字デザインが一段落してな」
目頭を押さえながら言った。
「なにか飲みます?」
「いや、大丈夫だよ」
そう言うと、春輝はリビングのソファーに身をゆだねた。
「今週の土曜日、出版社に行ってくるわ」
「そうなんですか。忙しいですね」
「ああ、用件は大事な事だから会ってから話すとさ」
「兄さんもお風呂入ってきたらどうですか?」
紗良に促され、風呂に入ると、そのまま早めに休むことにした。
****
土曜日、出版社に向かうべく、家を出た。
「行ってくる」
「いってらっしゃい。気をつけてくださいね」
「おう、また、夕方には帰れると思う」
「分かりました」
紗良に見送られ、駅へと向かう。
そこから、20分ほど電車に揺られて、出版社の最寄り駅に到着した。
「東條と申します。笹井さんとお約束しております」
受付で手続きを済ませ、編集部のある4階へ向かう。
「東條先生、お待ちしておりました。こちらへお願いします」
「はい」
会議室に通された。
「今日は、アニメの件ですか?」
「いえ、今回は別の仕事を先生にお願いしたく、来ていただきました」
「別の仕事?」
「はい、先生は確か、文章系には強かったですよね?」
そう言いながら、笹井は資料を広げていた。
「ええ、まあ、それなりには書けますが」
「ライトノベルを出版してみませんか?」
「え……」
予想にもしていなかった打診を受けた。
「でも、僕、書道家ですよ?」
「だからいいんです。マホガクの題字をされている先生が、小説を書く。話題性としては申し分ないじゃないではありませんか」
「担当は、笹井さんが?」
「そうしたいのは、山々なんですが、私は手一杯でして、別の担当が付きます。呼んできますね」
そう言って、笹井は会議室を出た。
数分後、笹井は戻ってきた。
「お待たせしました。こちらが先生の担当になる、朝桐です」
「初めまして」
笹井が連れてきた担当者は、20代後半と思われる綺麗な女性だった。
「どうも、初めまして」
春輝も立ち上がって挨拶をした。
「朝桐結花と申します」
そう言って、名刺を手渡してくれた。
「東條零です」
二人は握手を交わした。
0
お気に入りに追加
84
あなたにおすすめの小説
脅され彼女~可愛い女子の弱みを握ったので脅して彼女にしてみたが、健気すぎて幸せにしたいと思った~
みずがめ
青春
陰キャ男子が後輩の女子の弱みを握ってしまった。彼女いない歴=年齢の彼は後輩少女に彼女になってくれとお願いする。脅迫から生まれた恋人関係ではあったが、彼女はとても健気な女の子だった。
ゲス男子×健気女子のコンプレックスにまみれた、もしかしたら純愛になるかもしれないお話。
※この作品は別サイトにも掲載しています。
※表紙イラストは、あっきコタロウさんに描いていただきました。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ジャグラック デリュージョン!
Life up+α
青春
陽気で自由奔放な咲凪(さなぎ)は唯一無二の幼馴染、親友マリアから長年の片想い気付かず、咲凪はあくまで彼女を男友達として扱っていた。
いつも通り縮まらない関係を続けていた二人だが、ある日突然マリアが行方不明になってしまう。
マリアを探しに向かったその先で、咲凪が手に入れたのは誰も持っていないような不思議な能力だった。
停滞していた咲凪の青春は、急速に動き出す。
「二人が死を分かっても、天国だろうが地獄だろうが、どこまでも一緒に行くぜマイハニー!」
自分勝手で楽しく生きていたいだけの少年は、常識も後悔もかなぐり捨てて、何度でも親友の背中を追いかける!
もしよろしければ、とりあえず4~6話までお付き合い頂けたら嬉しいです…!
※ラブコメ要素が強いですが、シリアス展開もあります!※
キャバ嬢(ハイスペック)との同棲が、僕の高校生活を色々と変えていく。
たかなしポン太
青春
僕のアパートの前で、巨乳美人のお姉さんが倒れていた。
助けたそのお姉さんは一流大卒だが内定取り消しとなり、就職浪人中のキャバ嬢だった。
でもまさかそのお姉さんと、同棲することになるとは…。
「今日のパンツってどんなんだっけ? ああ、これか。」
「ちょっと、確認しなくていいですから!」
「これ、可愛いでしょ? 色違いでピンクもあるんだけどね。綿なんだけど生地がサラサラで、この上の部分のリボンが」
「もういいです! いいですから、パンツの説明は!」
天然高学歴キャバ嬢と、心優しいDT高校生。
異色の2人が繰り広げる、水色パンツから始まる日常系ラブコメディー!
※小説家になろうとカクヨムにも同時掲載中です。
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
男女比の狂った世界で愛を振りまく
キョウキョウ
恋愛
男女比が1:10という、男性の数が少ない世界に転生した主人公の七沢直人(ななさわなおと)。
その世界の男性は無気力な人が多くて、異性その恋愛にも消極的。逆に、女性たちは恋愛に飢え続けていた。どうにかして男性と仲良くなりたい。イチャイチャしたい。
直人は他の男性たちと違って、欲求を強く感じていた。女性とイチャイチャしたいし、楽しく過ごしたい。
生まれた瞬間から愛され続けてきた七沢直人は、その愛を周りの女性に返そうと思った。
デートしたり、手料理を振る舞ったり、一緒に趣味を楽しんだりする。その他にも、色々と。
本作品は、男女比の異なる世界の女性たちと積極的に触れ合っていく様子を描く物語です。
※カクヨムにも掲載中の作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる