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第一章 辺境の町

第196話 心残りなく

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 三人共に非常に惜しんでくれたが、元々いついなくなってもいいという条件で契約を結んでいたからと惜しみながらも了承はしてもらえた。

 ただ、このスーツを量産するにあたってはここ最近、ローザの能力に頼っていたことも事実だ。スライムが大量入荷する事を見越して種類を増やし、一定時間までは繰り返し使える物等も開発されたのだが、その新商品にも効果的に聖魔法が使われているのだ。
 と言うことで、快く了承はしてくれたものの、稀少な聖魔法の持ち主は特に、こんな辺境の地だとそう簡単に見つからないしどうしようかと、三人の顔色が目に見えて真っ青になってしまったのを見てしまい……このまま別れてしまうのは気が引けるし、チクチクと罪悪感を刺激されてしまうんですけど。



 そんな私の様子を見ていたラグナードが、最後のご奉仕として今工房にある分のスライムの処理を全て、引き受けることにしてはどうかと提案してくれた。

 焼け石に水かもしれないが、やらないよりは良いだろう……と。

「……いいの?」

「ああ。このまま別れてもきっと気にするだろう? それなら少しでも憂いを晴らしておくべきだ」

「うん。ありがとう、ラグナード。じゃあ親方、今からやっていってもいいですか?」

「いいのか? 正直、こちらからお願いしたいくらいだが……」

「はい、やらせてくださいっ」

「分かった。よろしく頼む」

 そう言う訳で早速、片っ端から聖魔法をかけて回り……無事に全部終わらせることができたのだった。



「助かったよ、ローザ。ここにあるやつだけでもやってもらえて」

「親方……ううん。こちらこそ、本当、急ですみませんでした。今まで、色々とありがとう」

「ああ」

 スライムの在庫が少ない今は、もうこれ以上できることはないけど……私にやれることはやりきったから少しは気が楽になったかな。提案してくれたラグナードに感謝です!

 最後に、品薄の中でも新商品をパーティーの人数分売ってくれたので助かったよ。ただ、形状についてはもう、ね……やっぱり絶対防御スーツという名の、実質、全身タイツだよねっていう……このチープなデザインに手を加える気はなさそう。
 つまりは相変わらず着用に精神的なダメージを受けちゃうことになるんだけど、冒険の際には機能優先、安全安心が第一っていう方針は共感出来るし志が立派なのもわかるから、下手に注文をつけれないし……親方って頑固だし……。研究者として尊敬しているけど、センスについてはアレだよね。壊滅的と言うか? 困ったものです。




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