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第一章 辺境の町
第24話 初めての共闘・中編
しおりを挟むーーここから反撃するしかない。
ゴブリンって木登り得意だったっけ? 分からないけど、今は下手なことに賭けようと思いますっ。
では早速……。
『火炎噴射』! 『火炎噴射』!!
よしっ、先制攻撃の二連続は成功、両方とも着弾したっ。
今できる一番派手な大技を放った後は、さすがにちょっと怯んだのもいるみたいで、近寄って来ずに周りをソワソワとうろつき様子を見ているだけの個体も出てきた。
見た感じ……特にリーダーとか、上位個体とかは居ないっぽい? 群れ同士で連携して襲って来ることはなさそう……。
ーーだったら手を出してこない今がチャンスだ、この隙に魔法をたたみかけて更なる混乱を招いてやる。
一匹ずつ確実に殺るとかしなくていい。まずは戦意を喪失させることが先決。
……まぁ、真っ先に逃げておいてアレなんだけどさ。
でも反撃はここからだからっ、あれは戦略的撤退だからね! 今からこっちが格上だって、手を出しちゃいけない奴だって虚勢でもいいから思わせてやるっ。それで逃げてってくれたら……逃げてかないかな……逃げてって欲しいなぁ切実にっ。
幸いまだ魔力は満タンだし、おやつ代わりに自家製の、MP微量回復効果付きのパンの実やポポの実をモグモグしてたばかりだから残量を気にせず撃てる。
支援魔法の『MP回復』と『HP回復』もバッチリかけてあるから、魔力・体力ともしばらくは大丈夫のはずだし。
ーーよしっ、じゃあ全力で攻撃再開するよ!!
気合を入れ直し、樹の上からゴブリンに向かって次々と火魔法を放つ。
集団には『火炎噴射』を、バラけているものには『火矢』を放って牽制しつつ、囲まれないように注意しながら途切れることなくバンバン魔法を撃っていく!
無駄打ちの心配なんて必要ないほどの群れ。
う~ん、これは辛いっ。息つく暇がない。魔法を掻い潜って、ワラワラと近寄って来てるしっ。
もうやだっ、倒しても倒しても次々来て切りがないよ、絶体絶命のピンチなんですけど!?
誰か助けて~!!
ーーその時。
切実な心の声が聞こえたわけじゃないだろうけど、タイミングよく助っ人が現れた!
狼人族の青年だ。
「大丈夫か!? 加勢する!」
身長ほどもある大剣を持って、群れの中に飛び込んできた!
勢いに任せて振り下ろし、薙ぎ払い、ひとなぎごとにまとめて五体ぐらい吹っ飛ばし、次々と刈り倒していく!
ーーなんだこのヒーローみたいな登場の仕方、かっこ良すぎるだろ!
あまりの勢いに、それまで様子見をしていたゴブリンたちが我先にと散り散りに森の中へと逃げていった。
それでもまだ向かって来るやつはいるんだな、これが!
もうっ、しつこいっ!
暴れまわってくれている狼人族さんに魔法で援護射撃をしつつ、『索敵』で残数を確認しようとしたんだけど……。
そんなことをせずとも縦横無尽に暴れ回って、瞬く間に殲滅してしまった!
なにそれ!? ゴブリンとはいえあの数をほぼ一人でこんな短時間にっ、信じられないっ。
この人スッゴク強い!
めちゃくちゃカッコいいんですけど!?
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