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第一章 辺境の町

第14話 実験中

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 確か、この世界のポーションは、魔力の回復や一時的な上昇は出来ても、魔力総量のことは出来なかった、はず。『異世界知識』にはそう載ってた。
 これを食べれば魔力総量を上昇させる、とは書いてないから、単純に火魔法に限り技の威力が増す、とかなのかな?

 採取する際も条件付きだし、『鑑定』なかったら確実に採るの失敗してたやつだよね、これ。

 どうやら私に採取可能なマジックキノコは二種類。

 使えるのが火魔法の他には水魔法だけだから、赤の他に青の水玉茸も採れるってことか。ただ、この採取条件、『鑑定』レベル1と低いからか、そこそこの情報しかないような?

 同属性魔法以外で採れないってことと、根本から採る前に手で触るのはダメっていうのは分かったけど、例えば、周りの土を手で崩したり、道具を使って採っちゃダメとは書いてない。


 ――ちょっと実験してみよう。

 青の水玉茸で試してみたところ、どちらの方法もすぐ水玉が消えた。『鑑定』してみると、効能の欄が消えてる。生でも食用可能としか表示されなくなった。これは失敗だね……。

 と言うことで結局、魔法以外で採るのは無理なことが分かった。

 しかしこの採取条件、水魔法はともかく火魔法で採るって難しくないですか? 消し炭になりそうな予感がするんですけどっ。
 まあ、多分貴重な茸だろうし、次にいつ見つかるか分からないから挑戦してみますけれどもねっ。



 まずは簡単そうな水魔法から。地面と茸の接地点をよく狙って……。


水弾ウォーターショット』!


 う~ん、ちょっと勢いを消しきれなかったけどちゃんと当たってるっ。

 どうかなっ、成功したかな?

 んん? あれっ? 水玉が……消えてる?
 
 ちゃんと同属性魔法を使って採ったよ?


 ――何で!?


 う~ん、マジックなキノコがただの茸になった原因が分からない……。

 どうしよ、もう一度やってみる?


水弾ウォーターショット』!


 ま、また消えた?

 う~ん……採れた茸をちょっと見てみようか。


 ――んっ?

 んむむっ、これは!?

 よ~く見ると二つ共、傘の部分にも水滴がかかっちゃってるね、ちょっぴりと……そう、一滴ぐらいかなっ!

 ………………。

 ……ねえこれめちゃくちゃ難しくない?

 誰だ水魔法の方が簡単だと言ったの。

 というか、もしかして根元以外に魔法当てちゃダメとかそういうのなの?

 こんなのできるわけないじゃん!

 3、4cmぐらいの大きさしかないんだよこの茸、的すっごくちっちゃいんだよ。な・の・に! ちょっぴりしか掛かってなくてこれだよ、だ、駄目なの?

 ……。

 うん分かってる、駄目なんだよね、水玉消えたもんね。効果も消えたってことなんでしょ……ちーん。

 まあすぐ成功するとか思ってなんかないさ、私だもんね、チートとかないしノーコンだし。

 ……。

 ……自分で言ってて悲しくなってきた。果てしなく落ち込みそう。




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