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第一章 辺境の町
第191話 格好可愛いは最強!
しおりを挟むそうやって選んでいるうちに、次のお目当ての商品がある棚の前から人がいなくなったので移動する。
やって来たのは、魔道具のアクセサリー売り場だ。
ここで『隠蔽』の魔道具を買うんだけど、う~ん……どれだろ?
……アレ?
「ラグナード、あの……」
「ああ、分かっている」
「……え?」
――わ、分かってるの?
まだ何も言っていないのにっ、私の『鑑定』スキルではどれだか判明しないって事までもう、分かっているってことですか!?
「よし、あったな……」
軽く混乱している私をよそに、ラグナードは隣の棚にあったブローチ型の魔道具を二つ、手に取ると渡してくれた。
「ほら、これだよ」
「うん、ありがとう」
掌の上に乗せられたブローチをじっと見てみる。やっぱり鑑定結果が出ないね……。
……もしかして、それが正解?
スキルに引っ掛かってこないってことは、『隠蔽』が効いてるって事で……他にもあったけど、その中からラグナードが選んだのがこのブローチ型の魔道具だったって事は……?
「まあ、ちょっとしたコツがあるんだよ」
小首を傾げて軽くウインクしながら、それで正解だ……とこっそり教えてくれた。
うん……格好いい大人の仕草だったけど、ピンと立った耳と尻尾が誇らしげで、全体的には可愛い成分多めのお姿でしたね……眼福です。
ふわわぁっ……あの耳と尻尾を是非、撫で撫でしてみたいなぁっ。こんなこと絶対、本人には言えないけれどもっ。
――格好可愛い狼さんは、今日も最強です!
「それで、この二つってレベルはいくつなのかな?」
「片方がレベル2で、もう片方がレベル3だな」
「ああ……うん、そうなんだね。ありがと」
成る程、言われてみれば何か分かるかも……。
『隠蔽』スキルの付与については私の『鑑定』では妨害されて読み解けなかったけど、レベルに関してはなんとなくこっちかなって思ったので合ってるみたい。
こういった種類のスキルが付与された魔道具って、スキルの無い人には自力で見つけられない仕様だね。
しかし魔道具ってやっぱり高いなぁ。レベル1なら手が届く値段なんだけど……レベル2だと3000シクルだよ! でも、ラグナードがこの二つを選んでくれたって言うのはこのレベルのが必要なんだよね?
「う~ん。レベルの高い方のが安全だし、良いのはわかるんだけど……」
すっかり貧乏性が身についているからね。買うのに躊躇してしまう。
だって、レベル1なら1000シクルで手に入るけど、レベル2のはその3倍だし、レベル3に至っては何とっ、大銀貨5枚! 5000シクルだよ……日本円だと五十万円だよ……? た、高い……。
「何故レベル1を選ばなかったのか、なんだけどな。今日練習してみて、ちょっとは使えるようになったが、スキルとしてはまだ生えなかっただろう? だからだ」
「え、どういうこと?」
「うん。もう少し詳しく言うと、魔道具って使っているうちに、そのスキルを身体が覚えてしまうことがあるんだ。スキルの種類にもよるんだが、魔道具無しでやるよりコツを掴み易いというのか……だから感知しやすい方がいいと思ってな」
自分のスキルとして習得するには、レベル1の魔道具よりレベル2の方が、より特徴を感じ取れるので早く覚えやすいらしい。
スキルの種類以外にも、種族だけでなく個人によっても得意不得意が違うし個人差はあるので、きちんと努力はしないと身に付かないみたいだけど。
ただ持っているだけで簡単にスキルが発生するという訳ではない。ある種、出たとこ勝負の博打のような部分も含んでいるけど、スキル獲得の可能性が上がることだけは共通しているのでお得だとのこと。
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