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第一章 辺境の町

第185話 くれぐれも油断しないようにな!

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「さて、リノの方はどうだ?」

「うううっ。それが、魔力がすぐ足りなくなっちゃってキツイんです」

「ああ、成る程」

 そう言ってラグナードは、彼女の魔法を近くから観察し始めた。

 リノも初めに比べればパーソナルレベルが上がってきているだろうし、魔力も増えてきている。

 それでも念のため、飲食や私の聖魔法や支援魔法で魔力を補給し、ラグナードにアドバイスを貰いながら練習を続けた。

 その甲斐あって、何とか『特殊スキル』を少しの時間は隠蔽出来るようになってきたけど、まだまだ完璧とは程遠いらしい。魔力も気力も足りないみたいで、揺らぎがあるんだとか。う~ん、大変だなぁ。

「お前は魔力総量が少ないから、ローザより習得に苦労するだろう。でも、神父さんのアミュレットがあるからな。それくらい出来ればまあ、十分だろう」

「ほ、本当ですか? はぁ、よかったですぅ」

「ただアミュレットだけだと、直感スキルを持ってる奴がいたらバレやすい。理想は、両方スキルとして鍛えることだ」

「さ、先は長そうですね。でも身の安全のため、二人の足手纏いにならないためにも、やってみますね!」

「ああ、一緒に頑張っていこう」

「はいっ」

 ラグナードに励まされ、ポンポンと頭を撫でられたリノは嬉しそうに笑った。






「よしっ。二人共まずは、こんなもんでいいだろう。毎日練習を続ければ、スキルとして『偽造』や『隠蔽』のを習得できる可能性があるから、最終的にはそこを目指してもらう」

「うん、分かった」

「はい、頑張ります!」



 ――『偽造』と『隠蔽』のスキル。

 ラグナードによると、似ている部分もあるけど全く異なるスキルらしい。だけど、習得方法は被っているところが多いんだって。

 なので、どちらが取れるかは出たとこ勝負みたいなところがあるらしい。上手く行けば両方共、習得出来る可能性があるとか……。

 おおっ、それはいいこと聞いた。

 是非、二つとも取りたいです!

「一つでもスキルとして取れると、よりバレにくくなったりするのかな?」

「確実にな。ただ、無理矢理引き出す方法もあるからレベルが上がらない内は気休め程度だと思っておいた方が安全だ。くれぐれもっ。くれぐれも油断しないように! 特にローザ、分かっているな?」

「う、うん。分かった。油断しないように頑張る」

 色々と前例がありまくるので、そこはしっかりと念入りに釘を刺された……。

 ――本当、ご心配をお掛けしております。

 これまでの私の行動を鑑みると……うん、全然、 反論できないですね!?

「是非、そうしてくれ。俺の心の平穏のためにもなっ。それと、もう一つだけ教えておく。魔道具は、頼りすぎるとかえってスキルが成長しないっていう弊害があるんだよ。覚えておいた方がいい。使い方には注意すること」

 成る程、便利すぎて成長を妨害してしまう可能性があるのか。気をつけよう。

「は~い」

「分かりました」

「よしっ。じゃあ今日の練習はここまでだな」

「「はいっ、ありがとうございました!!」」

 こうしてきめ細やかに教えてもらえるのって本当、ありがたいよね。ラグナードには感謝しかない。早く結果を出して彼の期待に答えたいな。




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