上 下
140 / 308
第一章 辺境の町

第140話 ちょっと休憩

しおりを挟む
  

 エドさんにいろいろ教えてもらって午後の予定も決まったので、先に一件、用事を済ませることに……。

 水光茸や香草塩用の素材が詰まった布袋も嵩張るし、早く宿に置きに行きたいけど、手持ちのお塩がなくなっちゃったんだ。女将さんに、追加の香草塩の納品を頼まれているし、補充しておきたい。

「それじゃあ、先に買いに行きますか?」

「うん、ここから近いしね」

 と言うわけで、冒険者ギルドを出てすぐ、香辛料のお店に向かう事に決めた。

「その後、ちょっとお昼には早いけど、宿の炊事場を借りてさっき採ってきた茸や香草を使って料理しよっか」

「いいですね、私も手伝いますっ。じゃあ、お肉だけちょっと買って来てもいいですか?」

「そうだね。昨日作ったウォークバードの焼き肉だけじゃ少し足りない、かな?」

「はいっ、お腹空いちゃってるんで……。屋台の串焼き肉でいいですか?」

「うん、お願い」

 リノが串焼き肉を買ってくれている間に、私は香辛料のお店に行って、香草に合うお塩をお店の人の話を参考にして選んでみた。

 これでまた、香草塩が美味しくなるといいな。

 二人共に購入した後は、昼食のためと、午前中に採取自分達用の荷物を置くために宿屋へ戻った。





「女将さん、ただいま~!」

「おや、お帰り。なんだい二人とも、今日は随分と早いんじゃないかい?」

「まだこれからもう一度、森に行く予定なんですよ」

「そうそう。荷物を置きにちょっと帰ってきただけで……」

「そうなのかい? そりゃ大変だ。よく働くねぇ、すごい荷物じゃないか。今日の森は茸も大量だったろ?」

「ええ、凄かったですっ。 雨上がりに北の森に入ったのは初めてだったんですけど、あんなに素材で溢れかえってているとは思いませんでした」

「うんうん、壮観だっただろうっ。それで、お目当てのものは採取出来たのかい? このいい香りは香草だね? なにを採ってきたんだい?」

「ふふっ、今出しますね」

 食材に関しては女将さんも興味津々で、ワクワクしながら尋ねられた。頼まれて、その場で採れたての茸や香草を少し取り出して見せる。

 ふんふんと愉しげに採取物を確認していた女将さんから、トレードしないかと提案された。
 二人分の食事代として、現物でいくつか譲る代わりに今から賄い飯を作ってくれるという。新メニューを思い付いたらしい。もちろん大賛成なので、喜んでその物々交換に応じることにした。

「なんか得しちゃいましたね」

「うん、メニューにはない、女将さんの美味しい料理が食べれるなんてちょっと楽しみ」



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

覇者となった少年 ~ありがちな異世界のありがちなお話~

中村月彦
ファンタジー
よくある剣と魔法の異世界でのお話…… 雷鳴轟く嵐の日、一人の赤子が老人によって救われた。 その老人と古代龍を親代わりに成長した子供は、 やがて人外の能力を持つに至った。 父と慕う老人の死後、世界を初めて感じたその子供は、 運命の人と出会い、生涯の友と出会う。 予言にいう「覇者」となり、 世界に安寧をもたらしたその子の人生は……。 転生要素は後半からです。 あまり詳細にこだわらず軽く書いてみました。 ------------------  最初に……。  とりあえず考えてみたのは、ありがちな異世界での王道的なお話でした。  まぁ出尽くしているだろうけど一度書いてみたいなと思い気楽に書き始めました。  作者はタイトルも決めないまま一気に書き続け、気がつけば完結させておりました。  汗顔の至りであります。  ですが、折角書いたので公開してみることに致しました。  全108話、約31万字くらいです。    ほんの少しでも楽しんで頂ければ幸いです。  よろしくお願いいたします。

幼馴染みの2人は魔王と勇者〜2人に挟まれて寝た俺は2人の守護者となる〜

海月 結城
ファンタジー
ストーカーが幼馴染みをナイフで殺そうとした所を庇って死んだ俺は、気が付くと異世界に転生していた。だが、目の前に見えるのは生い茂った木々、そして、赤ん坊の鳴き声が3つ。 そんな俺たちが捨てられていたのが孤児院だった。子供は俺たち3人だけ。そんな俺たちが5歳になった時、2人の片目の中に変な紋章が浮かび上がった。1人は悪の化身魔王。もう1人はそれを打ち倒す勇者だった。だけど、2人はそんなことに興味ない。 しかし、世界は2人のことを放って置かない。勇者と魔王が復活した。まだ生まれたばかりと言う事でそれぞれの組織の思惑で2人を手駒にしようと2人に襲いかかる。 けれども俺は知っている。2人の力は強力だ。一度2人が喧嘩した事があったのだが、約半径3kmのクレーターが幾つも出来た事を。俺は、2人が戦わない様に2人を守護するのだ。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?

夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。 気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。 落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。 彼らはこの世界の神。 キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。 ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。 「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい

戌葉
ファンタジー
気付くと、もふもふに生まれ変わって、誰もいない森の雪の上に寝ていた。 人恋しさに森を出て、途中で魔物に間違われたりもしたけど、馬に助けられ騎士に保護してもらえた。正体はオレ自身でも分からないし、チートな魔法もまだ上手く使いこなせないけど、全力で可愛く頑張るのでペットとして飼ってください! チートな魔法のせいで狙われたり、自分でも分かっていなかった正体のおかげでとんでもないことに巻き込まれちゃったりするけど、オレが目指すのはぐーたらペット生活だ!! ※「1-7」で正体が判明します。「精霊の愛し子編」や番外編、「美食の守護獣」ではすでに正体が分かっていますので、お気を付けください。 番外編「美食の守護獣 ~チートなもふもふに転生したからには全力で食い倒れたい」 「冒険者編」と「精霊の愛し子編」の間の食い倒れツアーのお話です。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/2227451/394680824

処理中です...