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第一章 辺境の町

第104話 魔力感知

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 夕食後の時間を利用して、さっそく今日借りてきた基本魔法教本を読むことにした。

 基本魔法教本を読み解いて訓練すると取れる、『魔力感知』『魔力操作』『魔力強化』『身体強化』の四つのスキル。

 自力でマスターした『魔力操作』や、スキルポイントで取った『魔力強化』などすでに獲得済のスキルもあったけど、効率的な魔力操作の仕方や魔力上限値の増やし方など様々なことが書いてあり、興味深く読んでいく。


 この世界の生き物は全て、四属性魔法の素質を持って生まれるが魔力総量が極僅かなものが大半で、その人の魔力値を上回る魔法は覚えることはできない。
 何故なら、生物であれば生命維持の為に血液と同じように体内魔力も使われるため、スキルとして覚えられるほどの魔力が残らないかららしい。

 だが、基本魔法の地道な訓練を続けることで、個人差や種族差はあれどそれを覆す事が出来るという……。

 体内魔力を空っぽになるまで操作して使い切る。それを繰り返すことで、魔力総量を少しずつ増やしていけるんだとか。

 ただし、魔力は生命維持に支障をきたす程、使いきることはできないようになっている。
 枯渇寸前で気絶などする前に、自然と使えない状態になるんだって。限界が来るとどうなるのかが、きちんと書いてあって安心した。

 いままではそこら辺の知識がなくて分からなかったので、怖くて無意識に少しの余力を残して使っていたんだと思う。
 だけどこれを読んで、ギリギリまで使いきっても大丈夫だと分かった。今後は毎日、寝る前に必ずやっていこう。



『魔力操作』をしっかり練習すればするほど、『魔力強化』のレベルが上がるって言うのが確認出来たので、次は『魔力感知』について……。

『魔力感知』は、魔力の核や魔力量を感じとれるスキル。

 この世界の動植物及び魔物は全て魔力を持っており、多種多様な魔力を感知する経験を積むほど、習得が早まりレベルもアップするらしい。

 私が魔物や魔樹の『魔力感知』がほぼ出来るようになったと思ってからも、スキルとして取れなかったのはこれが原因だったみたい。シルエラさんにも今日、指摘されたんだよね。

 確かに魔物以外は積極的に感知をやってなかったし、特に人族はトラブルが怖くて避けまくっていた。それが駄目だったんだ。感知するとか考えた事なかったもんね。



 なので今日の午後は、町を歩いている人達の魔力をこっそり感知してみたり、「スライム講習会」の時にも、人や魔物以外にも、動植物を魔力感知し続けていた。

 そうやって鍛えた甲斐があって、気がついたら取れてたんだ、『魔力感知Lv1』が……スライム狩りの前までにね!

 それまでも魔物のは感知出来てたんだから、すぐスキルとして取れる下地があったんだと思うけど。

 魔物の中でも弱く魔力量が微弱なスライムもこれで弱点が分かり、一撃で倒せた。素材の損傷も少なくきれいだったのでいい値で売れたし、一石二鳥だったよ!

 それに、初めて人を魔力感知したけど、何かみんな、見られてるって気付かないみたい。
 レベル差で気づくとかあるのかもしれないって思ってたけど、観察してても今のところは大丈夫そう。

 なので、これからもこっそり感知させてもらってレベルを上げていこうと思った。




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