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第一章 辺境の町

第91話 休暇が消えた……

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「どうかお願いします。魔素が濃い場所に根を張った個体がいた場合、一日過ぎると思わぬ成長をする可能性があるんです。そうなると一気にスモールトレントを増やさないとも限りませんので……」

「そ、それは、分かります……けど」

 ……でも、もう休日モードになってたんだもん。

 そのために今日いつもより長い時間、頑張ったんだから。

 エドさんによると、他のベテラン冒険者達にももちろん頼んでいるそうだが、やはり種族的に人族よりもエルフの方が迷いの魔樹を見つけ、討伐するのが段違いに上手いとのことで重ねて依頼された。



「新人のローザさんにこんなお願いをするのはギルドとしても心苦しいのです。ですが、広大な周辺の森を探索するには深刻な人手不足が続いておりまして……助けていただけませんでしょうか?」

 ……はぁ、エドさんに頭まで下げられちゃったらもう断れないよ……お世話になっているし。

「……分かりました。北の森の外周付近だけでいいのなら頑張ります」

「ありがとうございますっ」

 虫根コブ草の緊急依頼は一旦中止してもいいので、当分は迷いの魔樹の殲滅に専念してほしいとも言われた。了解です。


 ――あぁ、初めての休暇よ、さようなら~。


 とっても嫌だけど、町の安全の為、明日も仕事しま~す……シクシク。

 緊急依頼だし仕方ないんだよ……頑張れ、私。






 リノとの約束の時間が迫っているので、ちょっとだけ買い物をした後はすぐ宿に戻った。

 迷いの魔樹の討伐で潤ってきた資金を使い、十日分の宿代を前払いで支払う。

 これで明日からは二階にある長期滞在用の部屋に移る事になるんだけど、おかみさんのご厚意で、今からその部屋をいくつか見せて貰える事になった。
 一部屋ずつ壁紙や家具の意匠も違うため、私が好きなのを選んでいいんだって。やったぁ!



 ふ~ん。どれも同じ大きさの部屋なのに、内装が違うだけで随分と雰囲気が変わって見えるなぁ。

 ――うん、今空いている中からだと、これがいいかも。

 白地にブルーの小さな花柄が可愛らしい壁紙の部屋。落ち着いた雰囲気だし寛げそう。

「この部屋にしますっ」

「はいよっ。気に入ったのがあってよかった。じゃあ明日からだね」

「はい、お願いします」

 そこは今まで使っていた三階の部屋よりも広くて、テーブルや椅子の他に、クローゼットなんかも備え付けてあり、小さいけどバスやトイレもついてた。

 ここに一泊からの短期滞在も出来るらしいけど、その場合は銀貨一枚になる部屋みたい!
 長期滞在者は三階のと同じ値段で宿泊できるとのことでお得感があるよねっ。

 思った以上に設備が充実していたし、この部屋に泊まれるのが今から楽しみです!


 ――これで明日が予定通り休日に出来ていたら最高だったのに……。




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