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第一章 辺境の町

第66話 慣れって大切

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 こうして予定していたよりもずっと早く、スモール・ワームを倒しきることができた。

 そして幸いなことに、虫系が苦手な私が戦闘後の後始末に苦手意識を持たずに済みそうなんです。


 ――グロくないんだよね、これが。


 スモール・ワームの体毛が黄色にピンクのシマシマというメルヘンチックな色合いをしていることもあって、果樹の下にモコモコのファンシーなクッションを積み重ねてあるみたいに見える。
 それにスモール・ワームの体液って、なんか甘くていい匂いがするから血の匂いに酔うこともなくて、精神的にとっても楽なんだ。よかった、これなら触れる。


 さすがに全部は持てないので、冒険者ギルドで買った大きくて丈夫な皮袋に、傷が少ないスモール・ワームだけを選んでを詰めていく。
 三十匹は軽く入ると言われていただけあって、楽々収納できた。

 肉が売り物にならない、傷だらけのやつからは万能ナイフを使って魔石を取り出しておく。
 残りはまとめて火魔法の『火炎噴射』を使って一気に燃やし、後始末をした。



 ――なんか今日の戦闘で、スモール・ワームに対する苦手意識がちょっとだけ減ったよね。

 これからも遭遇したら討伐しないといけない魔物だから、本当によかったよ。
 それに実物を見た今なら、昆虫型の魔物を使った料理に前ほど嫌悪感を抱かずに済みそうだしっ。なんだか地球にいる昆虫とは別物に見えてきたから。

 エルフとしてこの世界に、順応できそうな気がしてきたっ。



 さて、スモール・ワーム討伐のついでに、思いがけず大きなウルルの実がきれいな状態でたくさん手に入ったんだけど、これで背負子がいっぱいになっちゃった。ちょっと、重いです……。

 一旦ギルドに行って、買取して貰おうかな。

 まだ魔力も体力もそれに時間にも余裕があるけど、疲労を溜めて疲れたって思う前に余力を残して止めないと命に関わるからね。

 ここら辺にはあまり冒険者も来ないということは、何かあっても誰も助けにてくれないって事だから、引き際を見誤らないようにしないと。


 ――うん、いいタイミングだったと思おう!



 ◇ ◇ ◇



 あれから『索敵』スキルを使い、少し回り道をしながらも魔物を上手に避けていった。
 かさばる荷物を背負っていたので、一度も戦闘せずに安全な街道まで出れた時はホッとしたよ。よかった。



 ――中途半端な時間帯だった為か、街道でも誰とも会わずに町まで戻ることになった。

 さっそく冒険者ギルドへ行き、背負子いっぱいにある午前中の成果を買取カウンターへと持っていく。

 さすがに量がある為、査定には結構時間が掛かると言われたので、それなら一旦、ギルドに全部預けておけるかを確認してみた。
 これからもう一度採取予定なので夕方に再度来る事になる。そのときにまとめて精算してもらえたら、時間のロスもなくて助かるんだけど。

 出来るか聞いてみた所、大丈夫だというのでお願いしておいた。

 一日に何度も運び込む人もいるそうで、引き換えの番号札を貰った。便利な制度があってよかったよ。




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