41 / 42
帰り道
しおりを挟む
タタンーータタンーー
入り口付近の手すりに寄りかかり揺られる。
「今回の集まりはハードだったなぁ」
「あはは。楽しかったけど、毎回朝までは厳しいかも」
まだ混むには少し早い時間の電車は、朝の静かな空気を纏っていて声を抑えて話す。
桐谷さんがちらりとこちらを見る。
「それにしても、ねこまんまはホント化けたなぁ。女ってコエー」
「それ、ちょっと失礼すぎるのわかってるのかなぁ?」
空いている手でグーを作りながら顔の横に掲げる。
カラオケを出る前に、りなちゃんがまた整形レベルのメイク直しを施してくれたのだ。
「自分じゃここまでできないけどねーー。流石りなちゃんだよ」
途中の駅で桐谷くんは降りると、帰って行った。
駅で止まるたびに、段々電車が混んでくる。
ーーカシャーー
駅のホームでこちらに向かってシャッター音が聞こえた気がして、辺りを見回す。
程よく人のいるホームは、スマホを持っている人が多くてわからない。
気のせいかな。
ーー“駅”いつかのバズ美女発見ーー
画像と共に、SNSにそんな投稿がされたことをこの時は知らなかった。
最近何かおかしい。
仕事帰りに、視線を感じる。
元々車通りの多い時間だし、気のせいかもしれないが……
アパートの駐車場を降りて、部屋に向かう。
ーーカシャーー
何処かで微かにシャッター音が聞こえ、怖くなって駆け足で部屋に入った。
ーーやばい、何かやばいーー
ゲームにログインすると、棗、あゆみさん、ダークトリガー、檸檬くんがギルドの溜まり場にいた。
「ねこまんまちゃん、こんばんはーー」
「よ、有名人」
「唄う者ギルド一の有名人ご来臨ーー」
そんなチャットが同時に流れる。
「ばんわー。って有名人って?」
「SNS見てない? ねこまんま、またバズってるよ」
魔術師キャラの檸檬くんが言った。
パソコンの横でスマホが振動し、檸檬くんからリンクが送られてきた。
そこには、最寄りの駅ホームで撮られた写真が載せられていた。
ゲームの中で檸檬くんにお礼を言う。
「この前、みみみさん達と遊んだ帰りの写真だ……いつの間に撮られたんだろ」
「ま、あれが化粧の力だと知らない奴らは騙されるよな」
ニヤニヤの表情と共に、ダークトリガーが言うが……
「わ、笑い事じゃないかも知れない……」
「「なんかあった?」」
「あの日以来……仕事から帰ると、見られているような……きょ、今日もアパートに入る時シャッター音が聞こえた気がして、怖くなって慌ててゲームにインしたんだよね……」
みみみが、ゲームの中でねこまんまの肩をガシッと掴む。
「ねこまんまちゃんそれってーー」
「ガチなやつじゃんーーやばいって」
「や、やっぱりーー? 気のせいかなって気もするんだけどーー」
檸檬くんが立ち上がる。
「俺、そっち行こうか?」
「檸檬くん……最近忙しいんでしょ? 悪いよ」
「今日はゲームしてるんだし、大丈夫だよ。すぐ行く」
ゲームの中の檸檬くんが落ちると、心配したみみみさん、ダークトリガー、棗が一緒にいてくれた。
「ポストとかは変なもの入ってなかったかな?」
「あ……今夜は見てないや。今朝までは大丈夫だった」
「客観的に見て詐欺メイクのねこまんま、美人さんだもんなーー。気づいてなかったかも知れないけど、電車の中でも結構チラチラ見られてたよ。真白ちゃんはあれ以来お客増えたみたいだしハヤトいるからなんとかなってると思うけど……」
「だな。で今回ねこまんま単発で撮られてるんだもんな」
しばらくすると、玄関のチャイムが鳴った。
「あ、檸檬くん来たかも。ちょっと玄関出てくるね」
「おい、外ちゃんと確認しろよ!! 」
ダークトリガーのそのチャットを見ないまま、ゲームキャラを放置して玄関に向かう。
ーーピンポーンーー
二度目のチャイムが鳴る。
「はーい! 早かったねーー」
サンダルを突っかけて、仕事の服のまま笑顔で玄関を開けるとーー
入り口付近の手すりに寄りかかり揺られる。
「今回の集まりはハードだったなぁ」
「あはは。楽しかったけど、毎回朝までは厳しいかも」
まだ混むには少し早い時間の電車は、朝の静かな空気を纏っていて声を抑えて話す。
桐谷さんがちらりとこちらを見る。
「それにしても、ねこまんまはホント化けたなぁ。女ってコエー」
「それ、ちょっと失礼すぎるのわかってるのかなぁ?」
空いている手でグーを作りながら顔の横に掲げる。
カラオケを出る前に、りなちゃんがまた整形レベルのメイク直しを施してくれたのだ。
「自分じゃここまでできないけどねーー。流石りなちゃんだよ」
途中の駅で桐谷くんは降りると、帰って行った。
駅で止まるたびに、段々電車が混んでくる。
ーーカシャーー
駅のホームでこちらに向かってシャッター音が聞こえた気がして、辺りを見回す。
程よく人のいるホームは、スマホを持っている人が多くてわからない。
気のせいかな。
ーー“駅”いつかのバズ美女発見ーー
画像と共に、SNSにそんな投稿がされたことをこの時は知らなかった。
最近何かおかしい。
仕事帰りに、視線を感じる。
元々車通りの多い時間だし、気のせいかもしれないが……
アパートの駐車場を降りて、部屋に向かう。
ーーカシャーー
何処かで微かにシャッター音が聞こえ、怖くなって駆け足で部屋に入った。
ーーやばい、何かやばいーー
ゲームにログインすると、棗、あゆみさん、ダークトリガー、檸檬くんがギルドの溜まり場にいた。
「ねこまんまちゃん、こんばんはーー」
「よ、有名人」
「唄う者ギルド一の有名人ご来臨ーー」
そんなチャットが同時に流れる。
「ばんわー。って有名人って?」
「SNS見てない? ねこまんま、またバズってるよ」
魔術師キャラの檸檬くんが言った。
パソコンの横でスマホが振動し、檸檬くんからリンクが送られてきた。
そこには、最寄りの駅ホームで撮られた写真が載せられていた。
ゲームの中で檸檬くんにお礼を言う。
「この前、みみみさん達と遊んだ帰りの写真だ……いつの間に撮られたんだろ」
「ま、あれが化粧の力だと知らない奴らは騙されるよな」
ニヤニヤの表情と共に、ダークトリガーが言うが……
「わ、笑い事じゃないかも知れない……」
「「なんかあった?」」
「あの日以来……仕事から帰ると、見られているような……きょ、今日もアパートに入る時シャッター音が聞こえた気がして、怖くなって慌ててゲームにインしたんだよね……」
みみみが、ゲームの中でねこまんまの肩をガシッと掴む。
「ねこまんまちゃんそれってーー」
「ガチなやつじゃんーーやばいって」
「や、やっぱりーー? 気のせいかなって気もするんだけどーー」
檸檬くんが立ち上がる。
「俺、そっち行こうか?」
「檸檬くん……最近忙しいんでしょ? 悪いよ」
「今日はゲームしてるんだし、大丈夫だよ。すぐ行く」
ゲームの中の檸檬くんが落ちると、心配したみみみさん、ダークトリガー、棗が一緒にいてくれた。
「ポストとかは変なもの入ってなかったかな?」
「あ……今夜は見てないや。今朝までは大丈夫だった」
「客観的に見て詐欺メイクのねこまんま、美人さんだもんなーー。気づいてなかったかも知れないけど、電車の中でも結構チラチラ見られてたよ。真白ちゃんはあれ以来お客増えたみたいだしハヤトいるからなんとかなってると思うけど……」
「だな。で今回ねこまんま単発で撮られてるんだもんな」
しばらくすると、玄関のチャイムが鳴った。
「あ、檸檬くん来たかも。ちょっと玄関出てくるね」
「おい、外ちゃんと確認しろよ!! 」
ダークトリガーのそのチャットを見ないまま、ゲームキャラを放置して玄関に向かう。
ーーピンポーンーー
二度目のチャイムが鳴る。
「はーい! 早かったねーー」
サンダルを突っかけて、仕事の服のまま笑顔で玄関を開けるとーー
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
完結【R―18】様々な情事 短編集
秋刀魚妹子
恋愛
本作品は、過度な性的描写が有ります。 というか、性的描写しか有りません。
タイトルのお品書きにて、シチュエーションとジャンルが分かります。
好みで無いシチュエーションやジャンルを踏まないようご注意下さい。
基本的に、短編集なので登場人物やストーリーは繋がっておりません。
同じ名前、同じ容姿でも関係無い場合があります。
※ このキャラの情事が読みたいと要望の感想を頂いた場合は、同じキャラが登場する可能性があります。
※ 更新は不定期です。
それでは、楽しんで頂けたら幸いです。
鬼上司の執着愛にとろけそうです
六楓(Clarice)
恋愛
旧題:純情ラブパニック
失恋した結衣が一晩過ごした相手は、怖い怖い直属の上司――そこから始まる、らぶえっちな4人のストーリー。
◆◇◆◇◆
営業部所属、三谷結衣(みたに ゆい)。
このたび25歳になりました。
入社時からずっと片思いしてた先輩の
今澤瑞樹(いまさわ みずき)27歳と
同期の秋本沙梨(あきもと さり)が
付き合い始めたことを知って、失恋…。
元気のない結衣を飲みにつれてってくれたのは、
見た目だけは素晴らしく素敵な、鬼のように怖い直属の上司。
湊蒼佑(みなと そうすけ)マネージャー、32歳。
目が覚めると、私も、上司も、ハダカ。
「マジかよ。記憶ねぇの?」
「私も、ここまで記憶を失ったのは初めてで……」
「ちょ、寒い。布団入れて」
「あ、ハイ……――――あっ、いやっ……」
布団を開けて迎えると、湊さんは私の胸に唇を近づけた――。
※予告なしのR18表現があります。ご了承下さい。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる