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原因
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じゅわあぁぁーー
ハンバーグが焼ける香りが空気中に漂い始め、じんわり焼ける音がキッチンに広がる。焦げ目がついて、ジューシーな肉汁が溢れ出すその瞬間を待ち侘びるように、二人でフライパンを覗き込む。
今日のご飯はハンバーグにして、何日か分の食材を購入しスーパーを後にした。
檸檬くん……いや、廉くんも涙目になりながら玉ねぎの微塵切りに挑戦した。
「いただきまーす」
ハンバーグに大葉と下ろしソースをかけて、トマト、ちぎったレタス、ご飯にお味噌汁。美味しそうにできた。
檸檬くんは写真を撮ってから、一口頬張る。
「うまっ! 美味しい」
「本当、美味しい。廉くん料理できるじゃん」
「いや、桜様あってこそデスヨ。ってかこのハンバーグほんとに美味いね。また食べたい……」
前髪で隠れがちな瞳をキラキラと輝かせながら、檸檬くんは一心不乱にハンバーグを頬張った。
体は大きいのに、意外と子供っぽいところもあって可愛い。
食事が終わると一緒に洗い物をして、この食器はここで、等教えてらもいながらしまっていく。まだ何が何処にあるか慣れないけど、付き合ってもない男性とこんなことしてるなんて、変な感じ。
檸檬くんはコーヒーを淹れながら、スマホで何やら見ている。
コトリとカップが2つテーブルに置かれ、深いいい香りが立ち上る。
「ありがとう」
「どういたしまして。あのさ、このコメント見てよ」
それは先日SNSでバズってしまった、りなちゃんと行った飲食店の写真。
コメント欄には“キャバ嬢じゃない方、職場の後輩に似てる!ってか多分後輩!” と書かれていて……
檸檬くんと顔を見合わせると、こくりと頷く。
その人のページに飛ぶと、いろんな投稿がされているが、“出勤なぅ” とカフェのコーヒーテイクアウトを手で掲げ持つ投稿の背景に、ぼんやり会社が写っていて……
その他にも本人の自撮り等も上がっていた。
「わ……植松先輩だ……」
なんだか見てはいけないものを見た気がする。
「やっぱり? 同じ会社の人か。他にも会社みたいな建物が写ってる写真何枚かあるし……多分、ここから特定されたんじゃないかな……」
会社がバレれば、SNSでバズった“あの写真“イコールゲームの中の“ねこまんま”と言うのはバレてしまっているから、有り得るかもしれない。
「同僚や先輩なら、私の住所知ってる人もいるし……うっかり答えちゃう人がいても不思議はないかも。コメント沢山あったのに、よく見つけたねぇ。廉くん」
そしてゴールドさんも。と心の中でため息を吐く。
「問題は、相手が何が目的か……」
「あ、ゲームで聞いてみるとか?」
割り当てられた部屋に行くと、ノートパソコンを持ってダイニングへ戻る。
「桜、パソコン持ってきたんだ」
「へへー。時間あったら、一緒にゲームできるかと思って。一回友達と並んで狩りとか、して見たかったんだよね」
檸檬くんが向かい側から回り込んで、ネットの設定をする。
「ちょっと貸して」
そう言って私の背後から覆い被さるように両手を伸ばすと、カタカタとキーボードでパスワードを入力し、マウスに置きっぱなしだった手の上から手を重ねられ思わずドキッとする。
いや、ドキって何ドキって。親切にしてくれている檸檬くんに対してーー。
「れも、廉くんって腕長いね! 手も大きくてびっくりしちゃった!」
誤魔化すように、何か話さなきゃと思って開いた口からはそんなことしか出てこなかった。
「あ。いきなり触ってごめん」
「ううん! 全然大丈夫! 居候する上インターネットまで借りる気でいてむしろごめん!」
「そこは気にしないで。流石に、ゲームの元相方が現実で住所特定して押しかけてきた、なんて放っておけないよ。家が桜の職場から近くて良かったって思う」
アハハと、お互いカラ笑いの気まづい空気が流れる中、ゲームがようやく起動した。
ハンバーグが焼ける香りが空気中に漂い始め、じんわり焼ける音がキッチンに広がる。焦げ目がついて、ジューシーな肉汁が溢れ出すその瞬間を待ち侘びるように、二人でフライパンを覗き込む。
今日のご飯はハンバーグにして、何日か分の食材を購入しスーパーを後にした。
檸檬くん……いや、廉くんも涙目になりながら玉ねぎの微塵切りに挑戦した。
「いただきまーす」
ハンバーグに大葉と下ろしソースをかけて、トマト、ちぎったレタス、ご飯にお味噌汁。美味しそうにできた。
檸檬くんは写真を撮ってから、一口頬張る。
「うまっ! 美味しい」
「本当、美味しい。廉くん料理できるじゃん」
「いや、桜様あってこそデスヨ。ってかこのハンバーグほんとに美味いね。また食べたい……」
前髪で隠れがちな瞳をキラキラと輝かせながら、檸檬くんは一心不乱にハンバーグを頬張った。
体は大きいのに、意外と子供っぽいところもあって可愛い。
食事が終わると一緒に洗い物をして、この食器はここで、等教えてらもいながらしまっていく。まだ何が何処にあるか慣れないけど、付き合ってもない男性とこんなことしてるなんて、変な感じ。
檸檬くんはコーヒーを淹れながら、スマホで何やら見ている。
コトリとカップが2つテーブルに置かれ、深いいい香りが立ち上る。
「ありがとう」
「どういたしまして。あのさ、このコメント見てよ」
それは先日SNSでバズってしまった、りなちゃんと行った飲食店の写真。
コメント欄には“キャバ嬢じゃない方、職場の後輩に似てる!ってか多分後輩!” と書かれていて……
檸檬くんと顔を見合わせると、こくりと頷く。
その人のページに飛ぶと、いろんな投稿がされているが、“出勤なぅ” とカフェのコーヒーテイクアウトを手で掲げ持つ投稿の背景に、ぼんやり会社が写っていて……
その他にも本人の自撮り等も上がっていた。
「わ……植松先輩だ……」
なんだか見てはいけないものを見た気がする。
「やっぱり? 同じ会社の人か。他にも会社みたいな建物が写ってる写真何枚かあるし……多分、ここから特定されたんじゃないかな……」
会社がバレれば、SNSでバズった“あの写真“イコールゲームの中の“ねこまんま”と言うのはバレてしまっているから、有り得るかもしれない。
「同僚や先輩なら、私の住所知ってる人もいるし……うっかり答えちゃう人がいても不思議はないかも。コメント沢山あったのに、よく見つけたねぇ。廉くん」
そしてゴールドさんも。と心の中でため息を吐く。
「問題は、相手が何が目的か……」
「あ、ゲームで聞いてみるとか?」
割り当てられた部屋に行くと、ノートパソコンを持ってダイニングへ戻る。
「桜、パソコン持ってきたんだ」
「へへー。時間あったら、一緒にゲームできるかと思って。一回友達と並んで狩りとか、して見たかったんだよね」
檸檬くんが向かい側から回り込んで、ネットの設定をする。
「ちょっと貸して」
そう言って私の背後から覆い被さるように両手を伸ばすと、カタカタとキーボードでパスワードを入力し、マウスに置きっぱなしだった手の上から手を重ねられ思わずドキッとする。
いや、ドキって何ドキって。親切にしてくれている檸檬くんに対してーー。
「れも、廉くんって腕長いね! 手も大きくてびっくりしちゃった!」
誤魔化すように、何か話さなきゃと思って開いた口からはそんなことしか出てこなかった。
「あ。いきなり触ってごめん」
「ううん! 全然大丈夫! 居候する上インターネットまで借りる気でいてむしろごめん!」
「そこは気にしないで。流石に、ゲームの元相方が現実で住所特定して押しかけてきた、なんて放っておけないよ。家が桜の職場から近くて良かったって思う」
アハハと、お互いカラ笑いの気まづい空気が流れる中、ゲームがようやく起動した。
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